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異世界に転生したら触手で、助けた少女に神様って言われたので神様ごっこします!  作者: frandre scarlet


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15話

 昼の陽射しが神殿の床にさし込んでいた。

 ティアは神殿の中央に立って体を軽く前傾させる。

 彼女は両手を胸の前に構え、ゆっくりと拳を突き出す動きを始めた。


 シャドーボクシングのように体を流れるまま左右にステップを踏む。

 魔力が体内を滑らかに巡り、足の裏から腰を通って拳先に集中する。

 拳を伸ばす瞬間に魔力を一気に乗せると、パンッと空気がはじけた。


 ラファは少し離れた場所に座ったまま目を閉じていた。

 両手を膝の上に置き、呼吸を整えながら魔力をゆっくりと体内に流す。

 まだ動きはぎこちなくて、魔力の流れが途中で滞る。


 ティアは体を低く沈めて横にステップを切り、すぐに拳を振った。

 魔力が足の動きに合わせて自然に回転し、打撃の瞬間に鋭く尖ると、シュッと空気を裂く。

 集中した表情をした彼女の額に汗が少し浮かんでくる。


 ラファは座った姿勢を崩さずに息を長く吐いた。

 魔力を丹田のあたりから胸へ、胸から腕へゆっくり送り込む。

 指先から魔力が漏れそうになるのを、彼女は歯を食いしばって抑える。


 リョウは神殿の奥から二人の様子を静かに見守っていた。

 触手を微かに動かして周囲の魔力を感じ取り、少しずつ自分の中に引き寄せ始める。

 空気中に漂う魔力が細い糸のように集まってきて、リョウの体内に吸収されていく。


 ティアは今度は低い姿勢から急に跳ね上がり、拳を上段に打ち上げた。

 魔力が全身を一瞬で駆け巡り、打撃の頂点で爆発的に放出されるとバババッパンッと重なる様に複数回、空気がはじける。

 彼女の小さな体が軽やかに着地し、すぐに次のステップに移った。


 ラファは座ったまま背筋を伸ばして魔力を再び循環させる。

 今度は少しだけ流れが滑らかになり、胸から腕まで温かい感覚が伝わってきた。

 彼女は小さく息を吐きながら、魔力を腕から指先にまで送り込む練習を続ける。


 リョウは二人の修行を見つつも、さらに周囲の魔力を貪欲に取り込む。

 村の全体に広がる誰のものでもない魔力が、ゆっくりと自分に向かって流れ込んでくる。

 体内の力が少しずつ密度を増し、触手の先端が熱を帯び始める。


 ティアは連続で拳を繰り出しながら体を回転させた。

 魔力がステップのたびに足から腰へ、腰から肩へ連動して乗っていく。

 動き全体が一つの流れになり、彼女の周りでは空気が裂けはじける。


 ラファは座った姿勢のまま何度も魔力を巡らせる。

 まだ途中で乱れる部分があったが、少しずつ安定してきている。

 彼女は目を閉じたまま、少しずつ魔力が体全体を温かく巡る感覚を丁寧に味わう。


 リョウは触手を軽く地面に這わせて魔力をさらに取り込んだ。

 これまで感じたことのない、力が積み重なるような実感が胸の奥に芽生えた。

 強くなるための兆しを、ようやく掴んだ気がした。


 ティアは最後に大きく息を吐いて動きを止めた。

 彼女は汗を拭いながらラファの方へ視線を向けた。

 ラファもゆっくりと目を開けてティアに小さくうなずいた。


 二人は神殿の床に並んで座った。

 修行の余韻がまだ体に残っていて、少し洗い息遣いが響いていた。

 リョウは二人の様子を満足げに見ながら、体内に溜まった魔力をゆっくりと確かめる。


(この肉体はすごいな。俺は更なる進化ができそうだ)



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