12話
朝の光が神殿の入り口に差し込む。
ラファは触手に包まれて、目を覚ました。
ラファは一瞬体を固くしたが、すぐに力を抜いた。
「神様……今日もここにいていいですか」
ラファは小さな声で尋ねた。
触手が軽く彼女の腕を包むように巻きついた。
リョウの声が頭の中に直接響いた。
『もちろんいいぞ。今日は一日中、一緒にいよう』
ラファは触手を両手でそっと握った。
温かい感触が指先から伝わり、胸の奥がふっと軽くなる。
彼女は触手を自分の頰に押し当て、目を細めて頬ずりする。
「この感触……落ち着きます」
触手が彼女の背中を優しく撫でる。
ラファは自然と体を、触手に預けた。
二人はそのまましばらく動かずにいた。
ラファは触手を握ったまま小さな声で話しかけた。
「昨日まで外でのことを思い出して、ずっと怖くて、あんまり眠れなかったんです。でも、神様に触れてもらうと、安心して眠れるようになりました」
触手が彼女の腰のあたりを軽く抱きしめるように巻きつく。
「神様の声が頭の中に聞こえるのも、なんだか不思議です」
『慣れてくれば普通のことになる。今日はゆっくり話そう』
ラファは指で一本一本なぞるように触手に触れる。
安心感が波のように胸に広がり、肩の力が抜けてく。
昼近くになるとティアが神殿に入ってきた。
彼女は簡単な食事を置くと、すぐに外へ出た。
ラファは触手に寄りかかったまま食事を口に運んだ。
触手が彼女の背中を支えていた。
「ティア様も神様の巫女なんですよね。私も頑張ってティア様のようになります」
触手が彼女の手に軽く絡みついた。
ラファはそれを握り返し、頰をまた触手に寄せた。
食休みが終わると、ラファは神殿の床に横になり、触手を抱き枕のように抱きしめた。
体全体で触手にしがみつき、時折顔を埋めるように頰ずりを繰り返す。
「神様……もっと神様を感じたいです」
触手が彼女の体を優しく包み込むように何本も巻きつく。
ラファは目を閉じてその感触に浸り、安心した息を吐いた。
夕方近くにラファは体を起こし、触手を両腕で抱え込んだ。
彼女は触手の表面を指で優しく撫でながら話しかけた。
「外で両親が亡くなってからは、いつも一人で震えてました。でも今は神様が一緒にいてくれて、心が温かくなります」
触手が彼女の頭を軽く撫でる。
ラファは嬉しそうに触手に頰を押しつけ、目を細めた。
夜が深まる頃、ラファは完全に触手にべったりと寄りかかっていた。
「神様……今日は本当にありがとうございます。ずっとこうしていたいです」
ラファは満足した表情で、触手にしがみついたまま、夜がゆっくりと過ぎていった。




