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未来の自分からの指示は、すべて正しいはずだった  作者: ゆうあ


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7/16

第7話「そこにいた」

投稿遅くなりましたm(_ _)m

これからは月4~5ぐらいのペースで投稿したいと思います。

『だから動くなと言った』

その文字を見たまま、しばらく動けなかった。

手の中には翔太のスマホがある。

蛇口から流れ続ける水の音だけが、静かなトイレに響いていた。

――間に合わなかった。

その感覚だけが頭の中に残っている。


気づけば、俺はトイレを出ていた。

廊下を歩く足音がやけに大きく聞こえる。

教室の前まで来たところで、足が止まった。

ドアの向こうから先生の声が聞こえてくる。授業はまだ続いていた。

何も変わっていない。

そのはずなのに、ポケットに入った翔太のスマホだけが、現実から浮いているみたいだった。


ゆっくりとドアを開ける。

先生が一瞬だけこっちを見る。

「遅いぞ」

軽くそれだけ言って、また黒板へ向き直った。

教室の中はいつも通りだった。

チョークの音。ページをめくる音。誰かの小さな咳。

そんな普通の音が、今は妙に鮮明に聞こえる。

席へ向かいながら、斜め前を見る。

廊下側の席。

そこに、翔太が座っていた。

思わず足が止まりそうになる。

普通に前を向いている。

何事もなかったみたいに。

頭が追いつかない。

じゃあ、さっきのは何だった。

あのスマホは。

『もう終わった』は。

その時、翔太がゆっくりこっちを見た。

目が合う。

ほんの一瞬。

でも、翔太は何も言わなかった。

すぐに前へ視線を戻す。

まるで、知らないふりをするみたいに。


「……大丈夫?」

不意に声がした。

その声で、はっとする。

前の席の雨宮が、肩越しにこっちを振り返っていた。

「顔色悪いけど」

騒ぐでもなく、ただ違和感に気づいただけみたいな声だった。

「あ……いや、大丈夫」

そう返したつもりだったけど、自分でもわかるくらい声がうまく出ていなかった。

雨宮は少しだけ俺を見たまま、

「……ならいいけど」

小さくそう言って前へ戻る。

席に座る。

鼓動だけがやけにうるさい。

斜め前には翔太がいる。

でも、ポケットの中には翔太のスマホがある。

その違和感が、頭から離れなかった。

その時。

机の中でスマホが小さく震えた。

反射的に取り出す。

画面を見る。

そこに表示されていたのは――

『まだ話すな』

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