↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未来の自分からの指示は、すべて正しいはずだった  作者: ゆうあ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
24/25

第24話「理由のない指示」

家に帰ってからも、翔太の言葉が頭から離れなかった。


「お前が見たものを、無理に思い出そうとするな。」


どうして、あんなことを言ったんだ。


机にスマホを置く。


画面には、これまで俺に届いた通知が残っている。


『その席には座るな』


『そいつを信じるな』


『その女に近づくな』


一つずつ、思い返していく。


俺は今まで、何度もこの通知に振り回されてきた。


従ったこともある。


従わなかったこともある。


そのたびに、何かが変わった。


でも。


ふと、あることに気づいた。


「……理由がない。」


どの通知にも、理由が書かれていない。


何をするな。


誰から離れろ。


それだけ。


どうしてなのかは、何も教えてくれない。


スマホを見つめる。


「……なんでだよ。」


答えが返ってくるはずもない。


通知は、いつも一方的だった。


俺がどれだけ考えても、次の通知が来るまで何も分からない。


それでも、今まではそれでいいと思っていた。


通知が何かを伝えようとしている。


そう信じていたから。


でも。


『その女に近づくな』


あの通知だけは、どうしても引っかかる。


雨宮が何をした。


何が起きる。


それすら、何も書かれていない。


「……なんで雨宮なんだ。」


スマホを伏せる。


しばらく天井を見つめた。


考えても答えは出ない。


そのままベッドに横になる。


目を閉じても、眠れなかった。


*


翌朝。


教室に入ると、雨宮が自分の席に座っていた。


「おはよう。」


「……おはよう。」


いつもと変わらない。


それだけの会話だった。


なのに、俺は少しだけ雨宮を意識してしまう。


雨宮は何も知らない。


少なくとも、今の俺にはそう見える。


「眠そう。」


「ちょっと寝不足。」


「珍しいね。」


「……まあ。」


雨宮が小さく笑う。


「ちゃんと寝なよ。」


「うん。」


それだけだった。


雨宮はそれ以上何も聞かなかった。


俺も何も言わなかった。


席に座って、鞄を置く。


ふと、翔太の席を見る。


まだ来ていなかった。


昨日の翔太の言葉が頭をよぎる。


――お前が見たものを、無理に思い出そうとするな。


どうしてあんなことを言ったのか。


考えていると、ポケットの中でスマホが震えた。


反射的に手を入れる。


画面を見る。


通知は来ていなかった。


ただ、ロック画面に表示された時間だけが目に入る。


「……」


スマホをしまう。


授業が始まる。


先生の声を聞きながら、ぼんやり黒板を見る。


けれど、頭の中には別のことが浮かんでいた。


通知は、何のために俺へ届いているんだろう。


危険を避けるため。


未来を変えるため。


それとも――。


俺を、何かに向かわせるため。


そこまで考えて、手が止まった。


「……」


自分で考えておいて、妙に嫌な感じがした。


通知は、いつも俺に何かを選ばせている。


座るな。


信じるな。


近づくな。


その言葉に従うかどうかを決めるのは、結局俺だ。


でも。


もし最初から、その選択まで含めて通知されていたとしたら。


俺は今まで、自分で選んでいたつもりで――。


「……違う。」


小さく呟く。


そこまで考えるのはやめた。


まだ何も分からない。


ただ一つ。


俺は今まで、通知の内容ばかり気にしていた。


でも本当に考えるべきなのは、その先だった。


――なぜ、この通知は俺に届くのか。


そして。


――誰が、何のために俺を動かしているのか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。