第2話「近すぎる距離」
少し間が空きましたが、続きです。
『友達と距離を置け』
画面に残ったその文字を、 俺は何度も見返した。
何かの悪ふざけ。 そう思いたかった。
でも、 一つ前のメッセージは 俺の命を救っている。
だからこそ、 その次の指示を ただ無視することもできなかった。
友達。
そんな曖昧な言い方をされても、 頭に浮かぶ顔は一人しかいない。
「おい、大丈夫か?」
背中を軽く叩かれて、 俺は反射的に肩を震わせた。
「翔太……」
振り返ると、 そこには小学校の頃からずっと一緒にいる、 俺の親友の翔太が立っていた。
「顔色悪いぞ」
そう言って笑う翔太から、 俺は無意識に一歩だけ距離を取った。
「……いや、なんでもない」
自分でも驚くくらい、 声がぎこちなかった。
翔太は一瞬だけ不思議そうな顔をしたあと、 すぐにいつもの笑みに戻った。
「ならいいけど」
そう言って、 翔太は俺との距離を少しだけ詰めた。
まだ教室のあちこちでは、 落ちた蛍光灯のことで みんなが騒いでいる。
その中で、 翔太だけが妙に静かだった。
変わらないはずなのに、 さっきまで普通だったその距離が、 妙に近く感じた。
ポケットの中で、 スマホが小さく震えた。
心臓が跳ねる。
俺は翔太に気づかれないように、 そっと画面を開いた。
『近づけるな』
たった五文字。
その意味を考えるより先に、
「誰から?」
すぐ横で声がした。
顔を上げると、 翔太が俺のスマホを覗き込んでいた。
さっきまで笑っていたはずなのに、 その目だけが、 まるで笑っていない。
「……また来たんだろ」
小さくそう言って、 翔太は俺の手の中の画面を見つめた。
そして、
「未来の、お前から」
俺の呼吸が、 その瞬間止まった。




