第3話「未来からの警告」
「未来の、お前から」
俺の呼吸が、 その瞬間止まった。
教室のざわめきが、 急に遠くなった気がした。
落ちた蛍光灯の破片を片付ける音も、 誰かの笑い声も、 もう耳に入ってこない。
目の前にいる翔太だけが、 やけにはっきり見えた。
「……なんで知ってる」
ようやく出た声は、 自分でも驚くほど震えていた。
翔太はすぐには答えなかった。
俺のスマホを見たまま、 何かを迷うように視線を落とす。
「知ってるっていうか……」
そこまで言って、 翔太は小さく息を吐いた。
「俺も、見たことがある」
「は?」
思わず聞き返した。
でも、 翔太の顔は冗談を言っているようには見えない。
「最初はいたずらだと思った」
「でも、書いてある通りになった」
その一言で、 背筋が冷たくなった。
まるで、 俺と同じだ。
「……いつから」
「一週間くらい前」
たったそれだけの言葉なのに、 心臓が嫌な音を立てる。
一週間。
もし本当なら、 俺より前から 翔太のところに未来のメッセージが届いていたことになる。
「なんで言わなかった」
「言えるわけないだろ」
翔太は苦く笑った。
「頭おかしくなったって思われる」
それは、 ついさっきまでの俺が考えていたことと同じだった。
何を信じればいいのか、 もう分からなくなる。
その時、 ポケットの中でスマホが震えた。
二人同時に動きが止まる。
俺はゆっくり画面を開いた。
そこにあったのは、
『そいつを信じるな』
たった一行。
喉が張りつく。
顔を上げると、 翔太も俺の画面を見ていた。
そして次の瞬間、
翔太のポケットの中でも、 スマホが小さく震えた。
翔太は無言でスマホを取り出す。
画面を見たその表情が、 一瞬で変わった。
「……嘘だろ」
「何て書いてある」
震える声で聞くと、
翔太は青ざめた顔のまま、 ゆっくり俺を見た。
そして、 かすれた声で言った。
「お前から、離れろって」




