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未来の自分からの指示は、すべて正しいはずだった  作者: ゆうあ


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17/25

第17話「後でいい」

二日連続で掲載します!

翌朝。


目が覚めても、昨日の通知が頭から離れなかった。


『まだ返すな』


たった一言。


その意味を何度考えても、答えは出ない。


机の上に置いた翔太のスマホを手に取る。


画面は真っ暗なまま。


「……いや、返さない方がおかしいだろ。」


小さく呟き、スマホをポケットにしまった。


未来の俺が何を知っているのかは分からない。


でも。


このまま持ち続ける理由も、俺には分からなかった。



教室に入ると、翔太はもう来ていた。


友達と笑いながら話している。


その姿は昨日と何も変わらない。


俺だけが、ポケットの重みを気にしていた。


授業中も。


休み時間も。


何度も翔太の方を見る。


返そう。


そう思うたびに、タイミングを逃した。


そして四時間目が終わる。


翔太は一人で教室を出ようとしていた。


今しかない。


俺は立ち上がった。



「翔太。」


呼び止めると、翔太はゆっくり振り返った。


「ん?」


俺はポケットからスマホを取り出す。


「これ……。」


翔太の視線がスマホに向く。


その瞬間だった。


ほんの一瞬だけ。


翔太の表情が固まる。


でも、それはすぐに消えた。


「……やっぱり、お前のだよな。」


翔太は何も答えない。


スマホを見つめたまま、小さく息を吐いた。


数秒の沈黙。


やがて翔太は静かに口を開く。


「……後でいい。」


「え?」


思わず聞き返す。


「今じゃない。」


「いや、でも……。」


「後で。」


それだけ言うと、翔太は俺の横を通り過ぎていく。


結局、スマホを受け取ることはなかった。



俺はその場に立ち尽くしていた。


手の中には、返せなかったスマホ。


訳が分からない。


昨日の通知。


『まだ返すな』


あの言葉を知っていたみたいな反応だった。


でも。


翔太は何も説明しない。


未来の俺も、何も教えてくれない。


ポケットにスマホをしまう。


画面は最後まで光らなかった。


通知は、一度も来ない。


それなのに。


『まだ返すな』


その一言だけが、頭の中で何度も繰り返されていた。

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