魔獣大戦!!
あの後、俺達は城の中で団三郎との最終決戦の作戦を3人で協議したが。
「「「うーーーーむ……」」」
妙案が浮かぶでもなく。堂々巡りを繰り返してるうちに深夜になってしまった。
「眠いから、もう寝ない?」
挙句の果てにドラ助六がそんなことを言い出す有り様。
「ドラ助六、こんな事態に眠っている場合じゃ」
「今は寝るのが得策かも知れません」
俺が意見を言いきる前にヴィズゥネスがドラ助六に賛同する。
「おい、ヴィズゥネス!」
俺はこのヴィズゥネスの考えに反対論を言おうとした。だが……。
「離岸さん、お気持ちは分かりますが。疲労した状態で考えても良い案は生まれません」
またしても先に言われてしまった。
「むむっ……」
更に、その考えが的を射たものだった為、俺は反論できなくなる。
「それに、眠っているときに 『※アイデアの神様』 が現れるかも知れません」
※アイデアの神 眠っている人の夢の中に現れてアイデアを授けてくれる神様。
「うーー……。確かに」
これには返す言葉がなかった。
かくして、俺達は眠りにつくことを決定する。
「……」
この選択、少々不本意だったが。
一方で 『限界ギリギリまで使って、オーバーヒート寸前の頭を休ませることができる』 と、内心これで良かったのかも知れない。とも思った。
「ほんじゃ、おやすみなさい」
「おやすみなさい」
「……おやすみ」
んで、俺達は城の1階にある 『商家コーナー』 で雑魚寝する。
「「スヤスヤ。グースカ」」
ヴィズゥネスとドラ助六は寝付きが早く。1分もしないうちに深い眠りについた。
「……」
しかい不安感からか、俺は中々眠れなかった。
そんなんだから、俺は寝ながら団三郎が来てからの出来事を振り返っていた。
団三郎の被害により、学校が休校した事や避難勧告が出された事。
思い返してみたら、短い期間にいろいろな事が起きてた。
(姉ちゃんや父ちゃん母ちゃん、クラスメートのみんなは無事かな?)
心配になり、携帯電話で分かるだけメールを送信して安否を確認。
すると、みんな無事に避難していたことが分かる。
「うーーーーん」
それに安心したのか、急に睡魔が。
「グガァ~~~~~~」
そのまま爆睡してしまうのだった (笑)
◇
「「「うーーーーん……」」」
翌朝、日の光に照らされて、俺達3人は同時にむっくりと目を覚ます。
小牧城の中で眠ったので、城主になった夢を見てしまった (笑)
しかし、アイデアの神が夢の中に現れることはなかった。
「「……」」
それはヴィズゥネスとドラ助六も同じようだ。
そのせいか、ヴィズゥネスはやや低いテンション。
「まあ、くよくよするなよヴィズゥネス!」
一方、ドラ助六はあまり気にしてないようで、ヴィズゥネスを励ましていた。
「……そうですね。ドラ助六」
そのお陰か、ヴィズゥネスは少し元気になった。
「そんじゃあ、朝食にしよう♪」
「なんと呑気な」
「離岸、腹が減っては戦はできぬだぞ」
「……」
少々呆れたが、結局3人で朝食を食べることに。
◇
「では、いざ出陣じゃ!」
ドラ助六は時代劇に出てくる大将になったつもりで宣言する。
その口調は勇ましかった。
だが、コスチュームがやたらと露出の激しいインナースーツだったので、せっかくのカッコイイ台詞が台無しだ。
「なんだよ、その恰好は?」
俺はドラ助六のコスチュームを指差す。
「これか? テイ〇イエロー装甲排除形態♪」
「コスプレかよ!」
これから最終決戦に向かう者の格好にはとても思えない。
「そもそも、なんでそんな格好すんだ?」
「強いヤツと同じ格好すれば強くなれると思ってな」
「ならないから!」
確かにテイ〇イエローは強いが。
だからと言って、格好を真似ただけで強くなったら苦労しないぜ。
「なあ、ヴィズゥネス。オマエからもドラ助六になんか言ってくれよ」
ドラ助六にツッコミを入れつつ、ヴィズゥネスに目線をやると。
「はい、なんでしょう?」
「ぶっ!?」
ヴィズゥネスは鎧武者風のコスチュームを着込んでいた。
オマエもか!!
「……」
揃いも揃って同じ考えに、俺は呆れ果てて困り顔。
どうしたものかと考えていると。
「離岸さん、頭の後ろの方のアタッチメント外してまらえませんか?」
「アタッチメント!?」
最初は驚いたが。とりあえずヴィズゥネスの後頭部にある留め金らしきものを触ってみる。
「取れた!?」
すると、ヴィズゥネスの後頭が外れ、電気ケーブルみたいなものが出てくる。
(なんだこれ?)
「離岸さん。ついで言って申し訳ありませんが、髪を丁髷に結ってもらえませんか」
「これ髪の毛だったのか!?」
疑問に思ったのも束の間。この電気ケーブルみたいなものがヴィズゥネスの髪の毛だと知る。
「やってくれますか?」
「あっ、あぁ」
ついそう言ってしまったが。丁髷など結ったことない。
「えーーーーい」
そこで見様見真似でやってみるが。
「……う~~ん。バ〇殿様みたいになってしまった」
見様見真似でやってしまったものだから、茶筅髷みたいになってしまった (汗)
「……」
出来上がった髪型をヴィズゥネスは鏡でじっと見詰める。
少々違う髪型になっちゃったので、ガッカリするかと思ったが。
「ステキ♪」
「ズコッ!?」
ご満悦だった (笑)
そんな2人の大ボケにずっこけつつも、決戦の準備は着々と進んだ。
◇
「準備完了!」
なんやかんやで準備が整う。
しかし、もうお昼前。
こんな呑気に構えて大丈夫なのか?
「それでは名古屋駅え!」
「はい」
ドラ助六が指示すると、ヴィズゥネスが地球魔獣を動かす。
「全速力!」
そして地球魔獣は名古屋駅に向かって飛び立つ。
◇
山から名古屋駅まで二十キロ以上の距離があったが、僅か数分で到着した。
「……」
上空から名古屋駅を眺めると。武装した狸達が 『掛かってこい!』 と言わんばかりに俺達を狙っている。
この武装は恐らく、警官や兵隊から奪った戦利品だと思われる。
「着陸!」
そんなことを思いつつも。ヴィズゥネスは地球魔獣を名古屋駅に着地。
すると土煙が舞い上がる。
地球魔獣の巨大感は分かっていたが。
今ので重量感もばっちり体感した。
「攻撃開始!!」
「「「「おーーーーーー!」」」」
地球魔獣が着地すると、狸達は一斉に攻撃を始める。
ピストル、軍用ライフル、マシンガンなどなどの武器の弾が地球魔獣目掛けて発射される。
「クソ! 駄目か!」
だが、その程度の武器では地球魔獣に傷1つ付けることはできない。
「歩兵隊を下がらせろ! 大砲車を出せ!」
隊長格と思われる狸が歩兵隊を下がらせるよう命令。
変わりに戦車が十数台出てくる。
恐らくこの戦車は破壊したものを修復したと思われる。
「砲撃開始!!」
無数の砲弾を食らい、地球魔獣は爆煙に包まれる。
数秒後、シューと煙が消える。だが、地球魔獣は健在。
流石に戦車の攻撃を食らったら危ないと思ったが。まったく問題なかった。
「クソ! 撃て撃て! 圧倒しろ!」
必死に打ちまくる狸達。しかし地球魔獣は戦車の砲撃にもびくともしない。
「進撃開始!」
地球魔獣は戦車に向かって歩き始める。
それにビビった戦車隊は1台を残して後退。
「馬鹿、ビビるんじゃない! 逃げるな!」
だが、戦車の1台が地球魔獣の足に懸命に砲撃を続けていた。
「よし、いいぞ! ちっとは骨の有るヤツがいたか!」
しかし、地球魔獣はそのまま進行。戦車を踏みつけると、そのまま踏み潰す。
「駄目だ。歯が立たない!」
狸達の懸命な攻撃も地球魔獣には無力。
まさに、ゴ〇ラに向かっていく自衛隊みたいなもんだ。
正直言って、これじゃあどっちが悪役か分からないな (汗)
そうこうしてるあいだに地球魔獣の活躍で団三郎軍団の戦車隊は壊滅状態。
その戦う姿を一言で例えるなら 『新劇の魔獣』 だな (笑)
◇
「もうよい。大砲車隊を下がらせろ」
地球魔獣の強さに戦車隊では敵わないと察した団三郎は、戦車隊を下がらせるよう命令。
「わしが戦いに出る!」
そして、遂に自ら戦いに向かった。
◇
「いいぞ! 地球魔獣!」
「狸共など木っ端微塵だ!」
地球魔獣を操縦するヴィズゥネスの後ろで俺とドラ助六は 『悪の幹部』 にでもなったつもりではしゃいでいた。
「狸共を踏み潰せ!」
特にドラ助六はテンション高く跳ね上がり、おどけて、ふざけ騒ぐ。
「破壊光線発射!」
「「「「ギャーーーーーー!!」」」」
地球魔獣の破壊光線の破壊力は凄まじく。一撃で数万人のビップバップ族を葬る。
「狸共など敵ではありませんね」
その圧倒的な力の差は、あのヴィズゥネスでさえ慢心を覚えさたものだ。
俺達は地球魔獣をガンガン突き進めるが……。
「現れよ大妖怪!!」
「「「!?」」」
空が一瞬暗くなったかと思ったら、どこからともなく団三郎の魔獣・大妖怪が地球魔獣の前に出現する。
この大妖怪の出現に驚いた俺達は怯んでしまい、地球魔獣を操作する手が止まっていた。
「やれ、大妖怪!!」
その隙に大妖怪は地球魔獣目掛けて突進する。
「「「だぁっ!?」」」
この攻撃で地球魔獣はよろける。
だが、踏ん張って立て直す。
「あ! 団三郎!!」
「「なにっ!?」」
大妖怪に注意がいって気付かなかったが。
地球魔獣の足元に団三郎がいた。
「しゅっ!」
団三郎は大ジャンプ。大妖怪の真ん中の頭に乗っかる。
「大妖怪! 火炎放射じゃ!」
大妖怪の3つの口を揃えて一斉に火炎放射を吐く。
「地球魔獣! こちらは破壊光線です!」
それに対抗すべく、ヴィズゥネスは地球魔獣に破壊光線を吐かす。
バチバチと打ち合いになる。
「!?」
壮絶な撃ち合いの末、撃ち合いに買ったのは地球魔獣だった。
撃ち負けた大妖怪は撃ち返された攻撃でボロボロ。地面に倒れ込む。
「クソ!」
団三郎は大妖怪の背中側に隠れた為、無事だったが。撃ち合いに負けたことを悔しがる。
「トドメです!」
この絶好のチャンスにヴィズゥネスはトドメを刺そうとするが。
「大妖怪! 本気を出せ!」
団三郎がそう叫ぶと、大妖怪は起き上がって姿を変化させ始める。
薄汚れた白い生物的な肌は金属質なつるんとした白色に変わり、3つの頭はコブラのように変化。下半身からは刃物のように鋭い翼のような足が生えてくる。
それ以外にも大きさが一回りもスケールアップしている。その姿は無機質で狂気じみていた。
形で不気味さが伝わってくるように思えて仕方ない。
一言で例えるならば 『得体の知れない恐怖感』 と言う言葉が適切だろう。
「やれ! 真・大妖怪!!」
団三郎の命令で、真・大妖怪は地球魔獣に突っ込んできた。
「真っ向勝負です!」
俺は真・大妖怪が少し怖かった。
だが、ヴィズゥネスは恐れている様子はなく。勇敢に地球魔獣を操り、真・大妖怪に突進していく。
そして互いにぶつかり合い、力比べとなる。
2体の魔獣の力は殆ど互角。互いに膠着状態となってしまう。
これは強い力士の相撲勝負に似ているものがあった。
「真・大妖怪、地球魔獣を切り裂け!」
真・大妖怪は鋭い脚部で地球魔獣の腹部を斬りつける。
地球魔獣の皮膚は切り裂かれ出血。赤黒い血がダラダラと滴り落ちる。
「馬鹿な!?」
戦車隊の総攻撃を食らっても傷一つ負わなかった地球魔獣が切り傷を負うなんて……。恐るべき切れ味の足だ!?
「地球魔獣、バックです!」
この攻撃に危機感を感じたヴィズゥネスは地球魔獣をバックステップさせ、真・大妖怪から距離をとる。
だが。
「今だ! 出番じゃぞ! 羽鰐!」
突如、地球魔獣の背後から、虫のような羽の生えた赤い体色の巨大なワニが現れる。
現れたと同時にこのワニは地球魔獣の背中にガブッと噛み付く
「うわぁ!?」
このワニ、大きさは五十メートル級と、地球魔獣よりも小さいが。
その噛み付き攻撃は意外と強力。
地球魔獣はこのワニを振り払おうとした次の瞬間。
「いでよ! 貝獣!」
地球魔獣の目の前に四十メートルはあろうかという二枚貝が現れた。
「なんだあれは!?」
「また変なのが出てきた!?」
この2体の巨大生物の出現に俺とドラ助六は軽いパニック状態。慌てふためいてしまう。
「これは……」
一方、ヴィズゥネスは冷静に2体を見つめている。
その眼差しはなにか知っているようにも見えた。
「ちょっとあの2体を分析に行ってきます!」
そう言うとヴィズゥネスは2階のサブ操縦室に行こうとする。
「ちょっ! 操縦はどうすんの!?」
「離岸さんにお任せします」
「マジか!?」
結局、ヴィズゥネスは2階に行ってしまった。
◇
2階のサブ操縦室に行ったわたくしは直ぐに分析をすべく、サブ操縦室に座る。
メイン操縦の3階と異なり、2階のサブ操縦室は操縦機能を最小限に、索敵や分析にシステムの大部分を使用。
電子戦用に調整したと言っていいでしょう。
「スキャナー起動。スキャン開始」
「分かったか?」
「うわぁ!?」
いつの間にかドラ助六が背後に立っていた。
2階に自分1人だけだと思ってたわたくしは驚いてしまいました。
「そんでヴィズゥネス。あの2体の正体は分かったのか?」
「はい。あの2体は遺伝子操作された怪物です」
「なんと!?」
2体の正体は判明しました。
しかし、謎なのは団三郎がどのようにしてあの怪物を作ったのかです。
「「うーん……」」
わたくしとドラ助六は腕を組みながら首を傾げて考えると。
「「DNAジェネレーター!!」」
心当たりに行き当たる。
これで狸共がわたくし達の宇宙船を盗んだ理由がはっきり分かりました。
彼らは宇宙船そのものを戦力として奪ったのではなく、生物兵器生産装置として奪ったのだと。
「団三郎……なんとしたたかな相手なんでしょう!?」
強さは魔獣よりも遥かに劣るものの。促成栽培で強力な生物を作るなんて、わたくしにはまったく思い付かないアイデアでした。
敵ながら素晴らしい発想力に感心してしまいました。古狸の異名はダテじゃなかった訳です。
団三郎の悪賢さにわたくしはぞくぞくしてしまいました。
◇
「やるしかないのか!」
ヴィズゥネスに操縦を (強引に) 任された俺は躊躇っていた。
いつも初めてやることは怖い。
でも、ここでなにもしなかったら一生悔いが残るだろう。
「やってやる!」
躊躇いを飲み込んで操縦席に座る。
すると。
「なんて力強い生命力なんだ!?」
操縦席越しでも地球魔獣の凄まじい生命力を感じた。
「コイツならやれる! やれるぞ!」
地球魔獣の生命力に後押しされて俺は操縦を開始。
「いけ! 地球魔獣!」
操縦桿を握ると、地球魔獣は天に向かって大きく咆哮をあげる。
「アタックだ!」
俺は地球魔獣の角を突き立てるかのごとく振り回す。
角がぶち当たった3体の敵は軽く吹っ飛んだ。
「なにっ!?」
しかし、殻にこもり攻撃を防いでいた貝獣は機敏に反撃した。
怪獣は殻から水管を出して地球魔獣の首に巻き付け、締め上げる。
マズイ、ヤツは地球魔獣を窒息死させる気だ。
地球魔獣は苦しむ。俺は慌てて操縦すると……。
地球魔獣は目を光らせ、全身から熱戦エネルギーを放出。その攻撃で貝獣の水管を跳ね飛ばした。
貝獣は殻を大きく開け閉めして悶え苦しむ。
「今だ地球魔獣!」
貝獣の殻が大きく開いたタイミングを見計らい、地球魔獣の破壊光線を貝獣目掛けて発射。
すると貝獣は大爆発。跡形もなく消し飛び、爆炎が上がる。
しかし、貝獣を倒したのも束の間。爆煙の中から真・大妖怪が地球魔獣に向かって体当たりを仕掛ける。
だが、地球魔獣は真・大妖怪の体当たりを受け止める。
地球魔獣は真・大妖怪の体当たりを受け止める。
「踏ん張れ地球魔獣!」
地球魔獣は真・大妖怪を受け止めた状態でしゃがみ込むように後ろ足で踏ん張る。
「敵ながらなんてパワーだ!」
真・大妖怪の戦闘力の高さに、不覚にも関心してしまう。
なんて思っていると、地球魔獣と真・大妖怪は相撲でもするかのように力比べする。
だが、そんあとき……。
「離岸さん! 例の2体の正体が分かりました!」
突如、背後からヴィズゥネスとドラ助六が現れる。
「おわっ!?」
操縦に夢中になってた俺は驚いてしまう。
「ビックリしたなぁ、もう!」
そんなんだから、ついヴィズゥネスをギロリと睨んでしまう。
「オッ!?」
俺の目を見たヴィズゥネスは1歩後ろにバックして、ちょっと怯んだように驚く。
「んで、ヴィズゥネス。なんの用だ?」
「あ! そうでした。あの2体の正体が分かったんですよ」
「本当か!」
「はい。あの2体はDNAジェネレーターで促成栽培された合成獣でした」
「なんと……」
正直、ちょっと予想外の答え。なんともいえない気持ちになってしまう。
だがそんなとき、真・大妖怪の突進攻撃を繰り出す。
「「「!?」」」
話しに夢中で操縦が疎かになった為。攻撃を避けられずに直撃。
地球魔獣は横倒しになってしまい、俺達3人は体を打ってしまう。
「皆さん、無事ですか?」
「俺は大丈夫だ」
俺は横倒しになった際にドラ助六にダイブしたので大丈夫だったが。
「僕はあんまり大丈夫じゃない」
俺の下敷きになったドラ助六はちょっと痛そうにしている。
「離岸、いつまでも僕の上に乗っかってないで早く退いて!」
「わ!? すまない!」
俺は慌ててドラ助六から退く。
「起き上がれ! 地球魔獣!」
そして操縦席に戻り、体勢を立て直す。
「ぐわっ!?」
しかし、体勢を立て直した瞬間に真・大妖怪の火炎放射を食らう。
「こんのぉぉぉぉぉぉ!!」
だが、俺は火炎放射を物ともせず地球魔獣を真・大妖怪に向かって突き進ませる。
地球魔獣は火達磨状態。流石の地球魔獣もダメージを受け始める。
「あぁ、暑い!?」
真・大妖怪の火炎放射で城も熱気に包まれていく。そのせいで城の中はサウナ状態。
あまりの暑さにヴィズゥネスは扇子をパタパタ (笑)
「根性みせろーーーーーー!!」
だが俺は地球魔獣を突き進ませ、真・大妖怪の目の前まで接近させた。
「今だ!」
そして、真・大妖怪をガッチリ掴み、高層ビル目掛けて投げ飛ばす。
真・大妖怪は高層ビルに直撃。
更に、壊れたビルの破片が降り注ぎ、真・大妖怪は生き埋めになる。
「よし!」
俺は勝利のガッツポーズを取った (笑)
一方、地球魔獣は身震いして全身を覆う炎を消す。
だが、休む間もなく空中から羽鰐が飛びかかってくる。
「ふん!」
だけど、地球魔獣の尻尾での攻撃に吹っ飛ぶ。
そして、仰向けになって苦しむ。
「トドメだ!」
俺は羽鰐目掛けて酸弾を発射。
酸弾が羽鰐の体に直撃すると、胴体が溶けてなくなり真っ二つになる。
そして絶命。
ついに団三郎の巨大戦力を全滅させた。
「やった…………やったぞ!」
「やったんだな!」
「やりましたねぇ♪」
勝ったことがまだ信じられなかったが。つい、はしゃいでしまう。
特にドラ助六などは勝利にはしゃぎ、祝賀パーティーの準備を始める有り様。
気が早いなぁ。
などと、俺達は勝利の余韻に浸るが……。
「勝利の余韻とは、余裕だな」
「「「団三郎!?」」」
突如、俺達の前に団三郎が現れる。
「いつの間に城の中に入った!?」
「そうだな……オマエ達の魔獣が横倒しになったときぐらいだったかな」
団三郎は嫌みったらしい言い方で俺達に説明した。
更に、ビル下敷きになった真・大妖怪が瓦礫を撥ね退けて、地球魔獣の背後から現れる。
真・大妖怪は脚部の刃物で地球魔獣の尻尾を切断する。
「しまった!」
突然の真・大妖怪の出現に、俺は対応することができず。この一撃で地球魔獣は激しいダメージを受けてしまい、尾を失ってしまった。
「このぉ!!」
俺は慌てて反撃しようとするが。
「させるか!」
「「「おわっぁぁ!?」」」
団三郎は俺が操縦席に座り直す前にエネルギー弾を撃ち込む。
「あぁ、操縦席が」
操縦席はむちゃくちゃに壊れて使い物になりそうもなかった。
「くっそぉう! どうすりゃいいんだ、コレ!」
「離岸さん、ここはもうムリです! 2階のサブ操縦室に!」
「そうか!」
忘れていたが、城の2階は服操縦室になってたんだった。
俺は急いで2階に向かおうとするが。
「させるか!」
「グッヘェ!?」
そうはさせまいと、団三郎の膝カックンを食らってしまう。
大したダメージはなかったが、跪くように転倒した。
「こんのぉぉぉ!!」
俺は団三郎を睨みつけるも、団三郎はまったく怯むことなく、どっしり構えていた。
「こんにゃろぉ!!」
そんな団三郎にドラ助六が刀で切りかかるが。
「!」
団三郎は紙一重でそれをかわす。
油断してるように見えても、隙はまったくなかった。
「今日こそ故郷を滅ばされた恨みを晴らす!」
ドラ助六はメチャクチャに切りかかるが。
刀は団三郎にまったく当たらないで空振りするばかり。
「親友のドラ太六とドラ代の仇! 僕の大好きだったドラ左右衛門の仇!!」
「ドラ左右衛門……わしに真っ先に歯向かったメスドラゴンか」
「そうだ!!」
(メスなのに左右衛門だなんて、ドラゴン族のネーミングセンスはどうなってるんだ!?)
「離岸さん、今のうちに2階に!」
「あ、あぁ!」
などと、思いつつも。団三郎はドラ助六の猛攻に気を取られている。
その隙に俺とヴィズゥネスは2階に行く。
だが……。
「「これは!?」」
2階のサブ操縦室は団三郎によってムチャクチャに壊されていた。
「なんてことだ!」
この状況を見た俺は怒りと絶望感のこもった言葉を叫ぶ。
とは言え、こんなことしたってなんにもならないのだが……。
◇
「このやろ! このやろ! このやろ!」
僕は故郷と同族を消し去られた恨みを刀に込めて必死に振るった。
だけど刀は団三郎にまったく当たらない。
(なぜなんだ!)
「フフフッ」
おまけに団三郎は不敵な笑みを浮かべてた。
ムカつく!
「オマエとの遊びはあんまり楽しくないな」
「僕との戦いが遊びだと!」
この一言に僕はカチンときた。
「こんにゃろぉ!! 団三郎死ね!」
大ジャンプして団三郎に斬りかかろうとしたが……。
「グェッ!?」
高くジャンプし過ぎて天井に頭をぶつける。
「キュ~~」
そして失神してしまった。
◇
「ダメです。満足に操縦できそうにありません!」
「団三郎め!」
俺とヴィズゥネスはメチャクチャに壊されたサブ操縦室で地球魔獣を必死に操縦しようとしていた。
しかし、殆どの機能が使用不可となっていて、満足に地球魔獣を操ることができない。
「このままでは、地球魔獣のコントロールが外れてしまいます」
「コントロールが外れるとどうなるんだ?」
「そうなれば地球魔獣は星を滅ぼすために、本能のままに暴れ回るでしょうね」
「なんだと!?」
まずい。これは非常にまずい。
このままでは、人類を守るために作った魔獣が人類最大の脅威になってしまう。
「どうしよう……」
ことの深刻さに俺が青ざめていると……。
「操縦はわたくしがなんとかしますので、離岸さんは団三郎の相手をお願いします」
ヴィズゥネスはそう言って腰に差した刀を渡す。
「しかし、ヴィズゥネス!」
「行ってください離岸さん! でなければドラ助六が殺されてしまいます!」
「うっ!」
確かにドラ助六の強さで団三郎に勝ち目がないのは想像に難しくなかった。
「……分かった。行ってくるよ」
俺はヴィズゥネスにニッコリ微笑むと、刀を構えて勇ましく3階に向かった。
「団三郎覚悟!」
なんて、新選組にでもなったつもりで3階に駆け上がると。
「ドラ助六!?」
ドラ助六が団三郎によって倒されていた。
「団三郎ぉ!」
俺は怒り、団三郎を睨んだ。
「ふん! 小童が粋がるな!」
団三郎は俺を見るなり、まるで嫌な物を見るようなに、あからさまに嫌そうな顔してくる。
「もう遊びは終わりだ! 狸火・火炎地獄!!」
「うわぁ!」
団三郎は印を結び、全身から炎を拡散させ、3階を大火事にする。
「さらばじゃ!」
団三郎は城の壁をぶち破ると、城から脱出。
「にがすか! ……って、今はそれどころじゃねぇ!」
俺はドラ助六を担いで2階に逃げる。
「ヴィズゥネス、大変だ! 団三郎が城に放火していきやがった!」
「えっ!? なんですって!」
ヴィズゥネスはとても驚いて、深く考え込んでしまう。
「離岸さんはドラ助六と一緒に脱出してください」
しかし、深く考え込んでも僅か数十秒で答えを出す。
流石ヴィズゥネスだ。
「ヴィズゥネスはどうする気だ?」
「わたくしは地球魔獣を自爆させ、真・大妖怪を道連れにします」
「なんだと!? そんなことしたらヴィズゥネスが!」
「恐らく助からないでしょうね」
「じゃあ、早くヴィズゥネスも脱出しないと!」
「残念ですが、それはできません。わたくしは地球魔獣を操縦しなくてはいけません」
「でも!」
俺はヴィズゥネスを見捨てることができずにごねる。
だが、ヴィズゥネスは。
「離岸さんは早く脱出してください! アナタは地球を守る最後の希望なのです!」
ヴィズゥネスは俺とドラ助六を城の外に放り出した。
「オワーーーーーーッ!?」
俺とドラ助六は地面に向かって真っ逆様。
いくら地球を守るためとは言え、ヴィズゥネスのやり方は強引過ぎだ。
とか思ってるあいだに地面に落っこちる。
「……あれ?」
地面にぶち当たった割にはあんまり痛くない。
(どうなっているんだ?)
そう思ったが、その謎は直ぐに解けた。
それは魔獣同士の戦いでアスファルトが剥がれて、土の地面が剥き出しになっていたのだ。
更に、地下の水道管が破裂して水浸し。地面がぬかるんでいた。
その偶然が重なって俺達は助かった。
「ブッハァァァ!?」
地面に大の字のポーズを取って、めり込んでいたドラ助六が意識を取り戻した。
「あれ? ここは?」
まるで寝起きみたいなトロンとした顔で俺を見てくる。
「それが。かくかくしかじかで」
事の次第を手短に説明する。
「なにぃぃぃ!?」
ドラ助六は超驚く。
「「あっ!」」
2人で上空を見上げると、地球魔獣は真・大妖怪を抱えたまま名古屋港に向かって凄いスピードで飛んで行く。
そして。
地球魔獣は名古屋港上空で自爆。
真・大妖怪を道連れにした。
「「ググッ!?」」
その爆発は凄まじく。遠く離れた俺達でも爆風の風圧で軽く吹き飛んだ程だ。
「「ヴィズゥネス----!!」」
しかし、そんなことはどうでもいい。
俺とドラ助六は地球魔獣と共に死んだヴィズゥネスのことを悲しむ。
そして、ショックで2人共地べたにしゃがみ込む。
だが今は悲しみ、喪に服してるときではない。
団三郎の野望を阻止せねばならぬのだ。
「厄介な魔人は死んだか」
「「団三郎!?」」
ショックで脱力気味の俺達の前に団三郎が部下をゾロゾロと引き連れて現れる。
「貴様ら2人を殺せば、もうわしに刃向かう者はおらん」
「「なに!」」
「覚悟!」
「「「「団三郎様のために!」」」」
団三郎達が一斉に俺達に襲い掛かる。
数の差は百倍以上。
数的に俺達の方が圧倒的に不利。
だが、即座に惨敗とはいかなかった。
なぜなら、彼らの戦法に統率がとれておらず、互いに足の引っ張り合い状態。
なので、俺とドラ助六は善戦できた。
「もういい! でしゃばるなマヌケ!」
「「「「!?」」」」
個々の戦いはともかく。自分の戦いの邪魔されたら堪ったものではない。
団三郎は部下を一旦下がらせて自分1人で戦うことに。
その考えは敵ながら正しい判断だと思った。
「覚悟!」
さあ、団三郎との直接対決だ!
「このぉ!」
「ふんがぁ!」
俺とドラ助六は必死に刀を振るったが、団三郎の機敏さにまともに当たらない。
はっきり言って、ドラ助六の剣術はヴィズゥネスの足元にも及ばない。
だから小牧で団三郎と戦ったときのように圧倒することができない。
「ぐわっ!?」
その為、隙をついて団三郎はカウンター攻撃を繰り出してくる。
「クッ!」
このままでは遅かれ早かれやられてしまう。
(こんなとき、ヴィズゥネスがいてくれたら)
危機的状況になると、ついそんなことを思ってしまう。
しかし、もうヴィズゥネスはいない。
無いものねだりはみっともないが。ついヴィズゥネスに縋ってしまう。
我ながら情けなさすぎ。
「グッハァ!?」
「離岸!」
俺は団三郎の回し蹴りをボディに食らって3メートル吹き飛ばされた。
「よそ見している場合か?」
「チョ!?」
俺のことを気遣うドラ助六の隙も団三郎は有効活用する。
「ふんにゅう!」
ドラ助六はなんとか防ぐが、防戦一方。
(もう駄目なのか……)
ぶっ倒れた状態で 「もう勝ち目がない」 そう思った俺はすべてを諦め、目を閉じようとしたが……。
(!?)
目の前に銃が落っこちている。
恐らく、地球魔獣が最初に戦った歩兵隊が使った物だろう。
もしかしたら使えるかもしれない。
団三郎の注意はドラ助六に向いている。
だが、弾は残っているのか?
撃ったところで団三郎に命中させることができるのか?
そもそもこの銃が使えるのだろうか?
第一、団三郎のスピードにかなうのか?
銃を撃つ前に団三郎に気づかれて俺の体を八つ裂きにされるかも。
なんだ……ほとんど可能性ゼロに近いじゃないか!
様々な不安要素が頭の中でごちゃ混ぜになって、何すればいいのか分からなくなる。
でもやらなけりゃ団三郎を倒せる確率は確実にゼロだ!!
(神様!)
俺は立ち上がり、獣をバキュンと撃った。
「ーーーーーーーー!?」
(当たった!?)
弾丸が団三郎の背中に命中し、彼の体を貫いた。
「キュ~~~~!?」
その一方でドラ助六は突然の銃声に驚いて弾がかすりもしないのに気絶。
これではどっちが狸か分からんな……。
「き、貴様ぁ!!」
「はっ!?」
そんなことを思ったのも束の間。団三郎はものすごい剣幕で俺につめよってくる。
「くっ!」
倒したと思ったが、団三郎は生きている。
(仕留め損なった!)
慌てて銃を撃とうとしたが弾切れ。
どうやら、さっきの一発が最後の弾だったらしい。
団三郎は胸から赤い血を垂らしながら、凄まじい怒りのオーラを身にまとって1歩、また1歩と近づいてくる。
(なんて顔だ……まるで怒りのかたまりだ)
本来、俺の方が体格に勝っていた。だが、歩いてくる団三郎は凄まじい迫力。
実物よりも遥かに大きく、本来の十倍の大きさに見えた。
「万事休すか……」
「もはや施す手段なし」 今度こそ本当の終わりかと思ったが……。
「グオアッ!?」
団三郎は俺の目の前で吐血。
「グガアアアア!!」
そして倒れる。
「やったのか?」
信じれれなかったが。あの一発で団三郎を仕留めていたようだ。
◇
「「「「団三郎様ぁぁぁぁぁぁ!」」」」
「「「「我らの偉大なる頭団三郎様が人間ごときにやられるなんて!」」」」
団三郎様が落命された瞬間、僕達生き残った狸達は予想外の展開に激怒し、事態の理不尽さに悲憤慷慨し、悔し涙を流しながら頭を抱えた。
「この野郎ぅ!!」
「権太さん!?」
団三郎様の報復とばかりに権太さんは人間に殴りかかっていく。
「権太さんに続け!」
「「「「おう!!」」」」
そんな権太さんに続けと、十八匹の狸が加勢する。
「みんな、無茶だ!」
「どけ、正吉!」
「うわぁ!?」
嫌な予感がした僕は、みんなを止めようとした。だけど、権太さん達は聞く耳持たずだった。
「「「「くたばれ人間!!」」」」
権太さん達が人間に殴りかかろうとした次の瞬間。
「「「「!?」」」」
突然、権太さん達の背後から無数の弾丸が撃たれた。
「どうだ狸共! 僕の力を思い知ったか!」
「ドラ助六!?」
気絶していたと思った尻尾の生えた人間がいつの間にか息を吹き返して、落っこちていたマシンガンを乱射。
権太さん達を一掃した。
「「「「トホホ……人間様には敵わないよ」」」」
そう言い残すと、十九匹全員が死亡してしまった。
「みんなぁぁぁぁぁぁ!!」
みんなの死に僕は涙した。
「よくも権太さん達をやってくれたな!!」
僕は怒りで人間を威嚇した。
「正吉さん、もうムリです!」
「くっ!」
だが、仲間の一言で我に返る。
「みんな、撤退だ!」
「「「「はい、正吉さん!」」」」
僕は復讐を諦め、生き残った仲間達と逃げることを決断する。
僕達狸は人間に負けたんだ……。
◇
「やったぞぉ離岸! 団三郎に勝ったんだ!」
「そうだな、ドラ助六」
俺とドラ助六は最初のうちは勝利の喜びを祝った。
が、すぐにその気持ちは消える。
「うわーーーーーーん!」
突如、ヴィズゥネスの新でしまった悲しみで涙が流れた。
「泣くなよ離岸! それが勝者の顔か!」
平常な顔して冷静な口調でドラ助六はそう言う。
確かに正論だ。
だが、ドラ助六の目からは滝のような凄い勢いで涙が流れていたので、説得力は毛筋程もない。
「うわーーーーん! ヴィズゥネスーーーー!」
挙句の果てに自分も悲しい感情を抑えることが出来なくなり、大声で泣きわめく有り様。
「「うわーーん! うわーーーーん!!」」
こうなると歯止めがきかなくいなる。
俺とドラ助六は泣いて泣いて、泣き続けた。
今まで何度も悔し泣きや悲し泣きしたが、今回はそれの比じゃないぐらい泣いた。
「会って僅か1ヶ月にも満たないのに、なんでこんなに悲しいんだ!!」
本当にその程度の付き合いなのに、もはや親姉弟以上の絆で結ばれていたのというのか。
俺は行き場のない気持ちを拳に込めて地面を殴りつけた。
意味のないことだが。そうしないとどうにかなりそうだった。
ヴィズゥネスの命の大きさを感じながら泣き続けた。
「「なんで死んじゃったんだ! ヴィズゥネス~~~~!!」」
泣き続けて何時間経過したか分からなくなりだす。
「2人共、そんなに泣かないでくださいよ」
「「!?」」
ヴィズゥネスの声がした。
だけど、泣き過ぎて自分の耳がどうにかなってしまった思い、その声が信じられんかった。
「「……じーーーーっ」」
泣き崩れていた俺達は恐る恐る声の主の顔を見上げると。
「「ヴィズゥネス!?」」
声の主は間違いなくヴィズゥネスだった。
俺達はヴィズゥネスに駆け寄る。
「生きててくれたんだね!」
「はい」
「でも、あの爆発の中からどうやって生還したの?」
「実は名古屋港上空で自爆する前に脱出して、海に着水してたんですよ」
「なんと!?」
「流石ヴィズゥネスだ♪」
「ですが、名古屋港から歩いてきたので、ちょっと時間がかかってしまいましたが」
「「あ~~」」
どうりで戻ってくるのに時間がかかった訳だ。
「でも、ヴィズゥネスが無事でよかった♪」
「だな♪」
俺とドラ助六はヴィズゥネスの奇跡の生還を喜ぶ。
だが……。
「しかし、無傷とはいきませんでしたが……」
「「あ!!」」
よく見てみると、ヴィズゥネスは全身傷だらけ。髷も無くなっている。
「ヴィズゥネス、その腕!?」
更には右腕も失っていた。
「いいってことですよ。団三郎を倒せて、皆さんが無事なら」
満身創痍だというのに、ヴィズゥネスは俺達に心配かけまいとニッコリ微笑んでくれた。
「「ううぅぅぅ……うわーーーーん!!」」
悲しみから一変。俺とドラ助六の瞳から喜びの涙がオシンコシンの滝のごとく流れ落ちる。
「わわゎ!?」
ヴィズゥネスは困り顔だったが、この濁流のような嬉し涙を止めることはムリだった。
だって、そのぐらい嬉しくて仕方ないのだから。
今はその喜びに浸る。
そもそも、それ以外の選択を選ぶことは有り得ない。
……本当、最高の喜びだな。




