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命の大きさ  作者: 黄金の右脚
6/9

魔獣完成!!


 団三郎に敗北してから、あっという間に十日が過ぎた。


 なお、十日間に起きた出来事を説明しますと。

 まず団三郎は俺達に勝利した後、小牧デ大量破壊と大量虐殺を繰り広げた。

 それにより建物はムチャクチャにぶっ壊され、多くの犠牲者が出てしまった。

 程なくして警察が出動したが、まるで相手にならず。返り討ちにあう。

 

 政府はこの事を重く見て、遂に自衛隊を出撃させる。

 しかし、その自衛隊も団三郎の切り札、魔獣・大妖怪により全滅させられた。

 ニュースで見たその光景は、まるで怪獣映画の中で怪獣に戦う自衛隊宛らである。

 

 俺達がそのことを知れたのも。危険な中、撮影に行った勇敢で無謀な突撃リポーターのお陰だ。

 まったく。そういった人達には頭が下がります。

 まあ、リポーターさんの頑張りは凄いが。


 話し脱線させてすいません。

 話しを戻しますと。団三郎は小牧に壊滅的な被害を与えた後、名古屋駅に移動。

 駅周辺をあっという間に占拠。半径数千メートルは団三郎の支配下となった。

 それにより電車やバスは完全にストップ。

 駅周辺の交通機関は使えなくなった。

 また、だいたい予想できると思いますが。

 駅周辺に元々住んでいた人達は、団三郎によってみんな殺されたか追い出されたようで。駅には人っ子1人居なくなった。

 なお、ニュースで報道されたのはここまでで。それ以上の情報は不明。

 考えたくないが、ニュースを撮影に行った撮影スタッフの皆さんが団三郎に殺されたとおもわれる。

 それが俺達の分かっている情報のすべてだ。

 説明終わり。


「団三郎のヤツめ!」


 団三郎のことを思い出すたびに怒りが込み上げてくる。

 体の傷は治ったが、心の傷はまったく癒えない。

 俺は団三郎の非道な振る舞いに激怒した。

 だが、策もなく宇宙船の中でテを拱いているだけだった……。


 え?

 十日でどうやって、あの大ケガを治したのかって?

 実はヴィズゥネスの宇宙船には 『リペアプール』 というドラム缶状の治療装置があり、1日で傷も再生したのさ。


 え?

 なら、なんで最初に瀕死の重傷を負っていたドラ助六を治さなかったのかって?

 それが、リペアプールは傷は治すことは出来ても、病気を治すことは出来ないのだ。

 従って、未知の病気を感染したドラ助六を治すことはできなかったのである。

 その為に新しいからだを造らねばならなかった。そういった事情があったのだ。


「よし! 映りました」


「やったか!」


 俺が1人でムシャクシャしていると、ヴィズゥネスとドラ助六がモニターの前で騒いでいる。


「どうしたんだ2人共?」


 気になって2人の見ているモニターを見ると、そこには……。


「名古屋駅じゃねぇか!?」


 なんと、名古屋駅の映像が映っていた。

 驚くのもムリはない。例のニュース以降、団三郎の情報は何も報道されていないのだ。

 それがモニターに映っていたので、俺はとても驚いた。


「どうなってんだコレ!?」


「これはカメラ付きのラジコンヘリを飛ばして、駅の様子を調べようと思いまして」


「凄い! ヴィズゥネス、オマエは天才だ!」


 正直、俺にはまったく思いつかないアイデアだったので、素直に凄いと思った。


「僕のラジコンも役に立ったでしょう♪」


「あー。凄い凄い」


「えへへへぇ♪」


 超いい加減に棒読みデ褒めたが、ドラ助六は満足そうにニタニタしてた。

(コイツはバカか?)


「それよりも、団三郎はどうなっている?」


「ちょっと待っててください。今、カメラをズームに切り替えます」


 カメラをズームにすると。そこに映し出された映像は……。


「なっ!?」


 なんと、団三郎は飛翔 (モニュメント) の近くに集まっていた。


 また、どこから連れてきたか分からないが。狸が四百匹以上いた。

 その狸達が飲めや歌えの大宴会を繰り広げている。

 ヤツらが食べている食料は凄いご馳走だが。恐らく、彼らが飲み食いしている酒と食料は、駅周辺のデパートから盗んだと思われる。

 俺だって、滅多に食べれないご馳走食べて、不覚にも羨ましく思ってしまった。

 

 そんなことを考えつつも。俺は名古屋駅の様子を探る。


「あ! 団三郎がいた!」


「本当か!」


「ほら、ここ!」


 ドラ助六がモニターを指差すと。そこには確かに団三郎の姿があった。

 団三郎は数匹のメス狸の取り巻きにお酌されて酒を飲んでいた。


「あんにゃろう! メス狸にお酌させて、なんて羨ましいヤツだ!」


「羨ましいのか!?」


 ドラ助六の怒りの矛先はともかく。

 団三郎の態度は余裕綽々。

 攻めてきても返り討ちにする自信があるようだ。

 でなければ、あんな余裕な態度はとれない。


『!』


 まずい。1匹の狸にラジコンヘリが見つかってしまった。

 だが、狸はラジコンヘリを撃ち落とすでもなく。仲間の狸やビップバップ族に教えると、みんなでラジコンヘリを眺めていた。


『ピースピース』


 それどことか、ラジコンヘリに向かってVサインする狸までいた。

 まったく警戒心のないヤツらだ。

 こんな連中に負けたかと思うと、つくづく腹が立つ。

 それはヴィズゥネスとドラ助六も同じようで。3人揃ってモニターに映る狸達を睨み付けていた。


 だが、そんなとき。

 突如、機械から激しい音が部屋中に鳴り響く。


「反応が出たッス!」


 ドラ助六が元気よく知らせる。

 なんだか、喜びの瞬間を盛り上げているようにも見えるな……。


「……ということは、魔獣の準備が整ったってことか?」


「そのとおり。ご安心を」


「よし! そうと決まれば行動開始だな! なにすればいい?」


「では、離岸さんとドラ助六は魔獣に急成長エキスを与えてください」


「分かった!」


「任せろ!」


 ドラ助六と一緒にガッツポーズすると。魔獣に急成長エキスを与えるべく、行動を開始する。


「それでドラ助六。魔獣の位置は?」


「え~~~~と……」


 ドラ助六は地図を広げて、場所を調べる。


「西に八万五千八百七十歩、北へ三万二千二百六十歩の場所ッス!」


「単位が分かり難い! てか、なんちゅう単位使うんだ!」


 あまりにピンポイント過ぎたので、ついツッコミを入れてしまった (笑)


 ◇


 俺達3人は行動を開始する為、宇宙船の外に出る。


「では、2人共。魔獣成長作戦は任せましたよ」


「おう! そっちは僕達に任せろ!」


 この作戦は分担作業となっており、俺とドラ助六は魔獣成長担当。

 ヴィズゥネスは魔獣のコントロールする装置を担当。となってます。


「そんじゃあ、出発!」


 と、ドラ助六が勇ましく出発しようとするが……。


「ドラ助六!? 急成長エキス忘れていますよ!」


「あ! いけねぇ!」


 ヴィズゥネスに言われて忘れ物に気づくドラ助六。


「直ぐに持ってきまーーーーす!」


 大急ぎで宇宙船に急成長エキスを取りに戻る。

 

 いきなり前途多難である。


「今度こそ大丈夫だ」


 笑って失敗を誤魔化しつつ、急成長エキスを担ぐドラ助六。

(ちょっとずっこいな)


 なお、この急成長エキス。黄金色に輝く液体が一升瓶の3倍ぐらいある瓶に入っている。

 知らない人が見たら、ビールに見えなくもないな (笑)

 などと、くだらないことを考えつつも。俺とドラ助六は出発した。


 ちなみに、移動は前に使ったオンボロカーを使用。

 しかし、運転するのがドラ助六なせいか、車はひどく揺れた。


(運転ヘタクソだなぁ)


 あまりのひどさに、俺は車酔いした。


(気持ち悪っ)


 ◇


「目的地に到着!」


 なんやかんやで、目的地である採石場に到着。


「……やっと着いたか」


 嫌な時間は長いもので。本来の時間よりも長く感じた。

 

「フゥ」


 俺は悪夢のドライブから解放され、ホッと一息。


「離岸、休んでいる場合じゃないぞ。地球魔獣に急成長エキスを飲まさねぇと」


「分かっている! そう急かすな」


 分かっているが、車酔いでちょっと気持ち悪いのだ。

 しかし、そうもいってはおれず。ことを急ぐドラ助六に手を引かれ、俺は歩き始めるが。


「「!?」」


 いきなり俺達の足場がバン! と爆発する。


「なんだこれは!?」


「敵襲か!?」


 爆煙を搔き分けながら周囲を見渡す。


「あれは!?」


 すると、五匹の狸が千人のビップバップ族をゾロゾロと引き連れて現れる。


「くそっ! 待ち伏せされたか!」


 いつ情報が漏れたか分からないが。狸達は俺達の作戦に気づいているらしい。


「さっきはよくもやってくれたな!」


 ドラ助六は鋭い目付きで狸達を威嚇する。


「おっと、今のは挨拶代わりだ。今度は外さないぜ」


 狸の1匹が嫌みったらしくドラ助六を挑発する。


「なんだと!」


 これに怒ったドラ助六は腰の刀を抜き、構える。


「野郎! 叩いてから切ってやる!」


 しかし、決め台詞が間違っている。


「それを言うなら、叩き切ってやる!」


 一応、間違いを指摘。


「あっ! そうだった。叩き切ってやる!」


 そうすると、ドラ助六は正しく言い直すが、完全に手遅れだ。

 せっかくの決め台詞を間違えて、完全にしらけてしまった。


「合戦だ!」


「「「「おうっ!」」」」


 しかし、そんなこちらのムードなどお構い無し。狸達は攻撃を開始する。


「はぁーーーー!」


「だぁーーーー!」


 当然、こちらも一方的にやられる気などまったくない。

 狸達を迎え撃つ。


 さぁ、戦いだ!!


「やぁ!」


「あいやぁ!」


「「「「!?」」」」


 だいたい予想していたが、ビップバップ族は弱い。

 小牧で戦ったときのように、一方的に戦うことができる。

 だから、戦い自体は俺達が優位に立っている。

 だが、ビップバップ族に紛れて、狸が不意打ちを狙ってくるので油断はできない。


 俺達は戦ったが、ビップバップ族は限りがなく。膠着状態がしばらく続いた。

 だが……。


「デヤァ! オォッ!?」


「「「「あぁっ!? だぁぁ!?」」」」


 戦いの最中、地面が大きく揺れる。


「なんだこれは!?」


 なんと、地面が盛り上がって移動していくる!?

 最初 「巨大なモグラか!?」 と思ったが。そんなモグラ、地球のどこ探してもいる筈がない。

 俺は得体の知れない不安感に苛まれたが。


「地球魔獣がきやがった!」


「!?」


 ドラ助六の言葉に一瞬耳を疑うが。冷静に考えたら、それ以外考えられない。


「ドラ助六、あれが地球魔獣なのか?」


 それでもつい聞いてしまうのは、俺が疑り深いからか。


「おうよ!」


 しかし、ドラ助六は即答で元気よくそう言う。

 これで地面の下に潜むものが地球魔獣であることが分かった。

 しかし……。


「地中に潜むものは魔獣だ! 我々の脅威になる前に排除するぞ!」


「「「「おう!」」」」


 デカイ声で言ってしまった為、敵にまで露呈してしまった。


「バカ! ドラ助六、声がデカイ!」


 今更こんなこと言っても手遅れだが。言ってしまう。


「あ! いけねぇ!」


 こちらも反省するが。時すでに遅しである。


「皆の者、魔獣を焼き払うぞ!」


「「「「おう!」」」」


 5匹の狸が地球魔獣を攻撃しようとする。


「狸共、手ぇ出すんじゃねぇぞ! カァッ!!」


「「「「!?」」」」


 ドラ助六の急な威嚇 (俗に言う猫だましのようなもの) に怯む狸共。


「地球魔獣、こっちに来い! エキスならここだぞぉ!」


 ドラ助六は担いでいた急成長エキスを見せつけるように抱きかかえて、甘い声で地球魔獣を誘う。


「ダァーーーーッ!?」


 地球魔獣が地中より姿を現した。

 その衝撃でドラ助六はすってんころりん。


「これが地球魔獣!?」


 ちょっと見では、バロサウルスのような姿だが。

 細部が異なる。


 具体的に説明すると。緑色の体色に、赤く光る鋭い目、口からはみ出したワニのような牙、下顎のしゃくれた口が特徴。

 とても禍々しい。

 下半身が埋まっている為、地球魔獣の全体の大きさは分からないが。

 地面から出ている上半身だけでも十五メートルぐらいあった。

 多分、全長は二十七メートルぐらいだと思われる。


「ブャアァァ!?」


 なんて俺が分析していると。地球魔獣は急成長エキスごとドラ助六に食らいつく。


「なにしやがんだ! コラァ!」


 ドラ助六は地球魔獣に咥えられた状態でジタバタともがく。


「「「「あぁ!?」」」」


 その光景は敵である狸共もビビる程恐ろしいものだ。


「馬鹿野郎ぉぉぉ!! 敵と味方の区別もつかねぇのか!」


 そうは言うが、幼体の地球魔獣に敵も味方も無いし、そもそもそんなことを理解できる知能があるかさえ怪しい。


「ダァーーーーーーッ!?」


「ドラ助六!」


 断末魔を叫びながら、ついにドラ助六は地球魔獣に飲み込まれてしまった。

 バット〇スか!?


「皆の者、力を合わせて魔獣を焼き尽くすんだ!!」


「「「「おぉ!! はぁぁぁぁぁぁ!」」」」


 5匹の狸はりきみながらちからをチャージする。


「させるか!」


 俺は無防備な5匹の狸に切りかかろうとするが。


「「「「貴様の相手は我々だ!」」」」


 ビップバップ族が俺を取り囲む。


「くそぉ!!」


 俺は狸を止めるべくビップバップ族と戦ったが。ビップバップ族に限りがなかった。


「ハッ!!」


 狸の1匹が地球魔獣に前足を向ける。

 他の4匹は中心となる狸にエネルギーを送り込む。


「狸火!!」


 そう叫ぶと狸の手のひらから凄まじい炎が放たれる。

 その攻撃に地球魔獣が苦しみ始める。


「かぁぁぁぁぁぁ!!」


「はぁぁぁぁぁぁ!!」


「うぉぁぁぁぁぁ!!」


「だぁぁぁぁぁぁ!!」


「もう少しだ!! みんな頑張るんだ!」


 5匹は全エネルギーを集中させ、地球魔獣を焼き尽くそうとする。


「やめろーーーーーー!!」


 俺は一刻も早く地球魔獣を守りに行きたかった。だが、ビップバップ族の足止めにより、動くことができない。


「大火炎!!」


 狸達の渾身の一撃で炎は大爆発。

 周囲は白い煙に包まれる。


「やった! 地球魔獣を倒したぞ!」


「ガッハッハッハッ! ざまあみろ!」


「「バンザーーーーイ!」」


「やったぞ! やったんだぞぉ!」


 地球魔獣を倒した狸達は大喜び。とてもはしゃいでいた。


「あぁ……そんな……」


 一方、地球を守る最後の希望が経たれ。俺は絶望で膝をつく。


 だが、煙が消えると。


「なにぃ!?」


 そこには地球魔獣がいた。


「「「「あぁ!?」」」」


 驚き、恐怖に震える狸達。

 だが、驚くのはそれだけではない。


 地球魔獣は水が形を変えるかのように成長する。

 地球魔獣の成長は成功していたのだ。

 

 成長した大きさは幼体の約十倍。

 その姿は先に説明した幼体の特徴に加え、直立歩行する怪獣のようなシルエットになり。頭部に湾曲した2本の角が生え、ゾウのようだった前足はアリクイのように巨大で鋭い爪に変化した。


 幼体の時点で既に禍々しい姿だったが、成長して更に禍々しくなった。

 3つの首と胴体だけしかない団三郎の魔獣とは大違い。

 これは誕生した星が違うからなのか?


「!?」


 地球魔獣は成長するとしばらく何もせず突っ立ていたが、いきなり唾を一滴俺の目の前に吐き出す。

 いきなりの唾吐きに驚くものの。


「なんか動いてる!?」


 吐き出された地球魔獣の唾液の中で何かが動いていた。


「ブハッ!!」


「ドラ助六!?」


 唾液の中から下着姿のドラ助六が出てきた。


「うわーーーーん!! 怖かったよーーーーーー!」


「ウォッ!?」


 唾液から出てきたドラ助六はネチョネチョ。泣きながら俺に勢いよく抱きついてくる。

 ドラ助六の豊かな胸の触感がたまらなかった。

 しかし……。


(生臭せぇ!?)


 ドラ助六は臭かった。

 思わず 「臭い!」 と言いそうになったが。

 奇跡の生還を果たしたドラ助六にそんなことを言う訳にもいかず。鼻をそむけるだけでガマンした。


「しかし……」


 地球魔獣がドラ助六を下着姿で吐き出したということは、上着と急成長エキスだけを食べたことになるな。


(なんという器用な食べ方だ!?)


 などと考えている間に地球魔獣が歩き始めた。


「みんな、地球魔獣を倒すぞ!」


「「「「おーーーーーー!」」」」


 ビップバップ族が地球魔獣に向かっていくが。


「「「「ギャーーーーーーア!!」」」」


 地球魔獣の口から吐かれた破壊光線によって全員葬り去られる。

 弱っちいビップバップ族であったが。九百人ぐらいいたヤツらを一撃で全滅させるなんて、凄い破壊力だ!?


「いいぞ、地球魔獣! もっとやれ~~♪」


 ドラ助六のヤツ、さっきまで泣いていたと思ったら。もう元気になってる。

 なんと立ち直りの早いヤツだ。


 だが、地球魔獣の強さは大興奮もの。

 ドラ助六が泣き止むのも納得がいく。

 まさに、泣く子も黙る強さである (笑)


 なんて、地球魔獣の戦い振りに関心しながら観戦していると……。


「「おわぁぁぁぁぁぁ!?」」


 地球魔獣が俺達の目の前を移動して行く。

 その振動で俺達はすってんころりん。

 

 だが、それだけでよかった。

 もしも、後1メートル地球魔獣の足ガズレていたら俺達は2人共ぺしゃんこになっていただろう。

 想像しただけでも恐ろしい。


「馬鹿野郎ぉぉぉ!! 敵と味方の区別もつかねぇのか!」


 一方、ドラ助六は地球魔獣に怒り心頭に発する。


「ドラ助六。それ、地球魔獣に喰われたときも言ったろ!」


「あ! そうだったな」


 漫才みたいな遣り取りはともかく。

 地球魔獣の様子を見ていたが。地球魔獣に敵も味方も無く、本能のままに暴れ回っているだけのようだ。

 そんなんだから地球魔獣が移動の際、足元に偶々俺達がいただけである。

 従って、地球魔獣は俺達を踏み潰そうとした訳ではない。


「「「「狸火・火炎連弾!」」」」


 俺達がくだらない遣り取りをしているとき。狸達は地球魔獣を倒す為に連続火炎弾で攻撃するが、地球魔獣はびくともしない。

 そもそも、エネルギーを消耗した狸達に勝ち目はなかった。


「グワァァァ!!」


「タヌ!」


 地球魔獣に向かっていった狸の1匹が踏み潰せれた。


「よくもタヌ太をやってくれたな!」


 狸の1匹が仲間を殺されたことを怒り。勇ましいセリフを言うが、逃げ回りながら言ってるので、全く勇ましくない。

 言ってる事とやってる事が違うとはこの事だな。


 狸達が逃げ回りながら対抗手段を考えていたそのとき。


「そこまでです!」


 突如、上空から聞き覚えのある声が聞こえた。


「……」


 空を眺めてみると……。


「っ!?」


 なんと、城が空飛んでやってくる。


(何なんだアレ!?)


 この非現実的光景に俺はビックリ仰天。腰を抜かすかと思った。


「空飛ぶお城だぁ♪」


 一方、ドラ助六は空飛ぶ城に大興奮。腕白わんぱくな子供のようにはしゃいでいた。


「「「「なっ!?」」」」


 また、当然と言えば当然だが。狸達も驚いていた。


「皆さん、お待たせしました!」


「……その声、ヴィズゥネスか!?」


「はい」


 間違いない。あの城を動かしているのはヴィズゥネスだ。


「今、助けますね。合体!」


 城は地球魔獣の背中にドーンと乗っかり、接続された。

 すると、地球魔獣の爪はさらに鋭さを増す。


「「「「なにぃ!?」」」」


 それに驚いた狸達は怖気付く。


「地球魔獣、酸弾です!」


 ヴィズゥネスが命令すると地球魔獣は口から強力な酸を狸達に吐いた。


「避けろ!!」


「「ギャーーーーーーッ!?」」


 しかし、2匹は回避できたが。2匹は直撃した。

 すると、2匹の狸は一瞬で溶けてしまった。


 その光景は他人事ながら震えがくる。


「よくも文太ぶんた玉三郎たまさぶろうをやってくれたな!!」


 助かった狸の1匹が牙をあらわに出して威嚇する。


「もうムリですよ権太ごんたさん!」


 しかし、もう1匹の狸が止めにかかる。


「ケガだってしてるじゃないですか!」


 この権太とかいう狸。地球魔獣の酸弾を回避したが、完璧に避けることができずに掠っていた。

 

 酸弾は掠っただけでも狸をボロボロにした。

 だからもう1匹の狸の考えは正しい判断だ。


「クソッ! 撤退だ!」


 権太は渋々撤退することを決定する。


「逃がしませんよ!」


 だが、ヴィズゥネスは狸達を逃がすまいと地球魔獣で踏み潰そうとするが……。


「狸奥義・大霧!」


 地球魔獣に踏み潰される前に狸達は印を結ぶ。


「これは!?」


 狸が印を結ぶと周囲は深い霧に包まれ、狸達を見失う。


「さあ、権太さん。今のうちに逃げますよ!」


「分かっている!」


 狸達が撤退を開始する。


「ヴィズゥネス、狸達が逃げるぞ! 追え!」


「分かっていますよ、ドラ助六」

(しかし、下手に攻撃しては離岸さんとドラ助六を巻き込む危険が!)


 そう、この霧では下手に動くことができず、ヴィズゥネスは攻撃を中止。その隙に狸達に逃げられる。


「団三郎先生に言い付けてやるからなぁーーーー!!」


 その際に捨て台詞を残して去る。


「クソッウ!」


 これにドラ助六は悔しがった。

 単純なヤツなのです。


 ◇


 3分後、霧が晴れた頃には2匹の狸の姿はなかった。

 結局、俺達は2匹の狸を仕留め損なったのだった。


 だが、そんなことは大したことではない。

 俺達は団三郎に対抗できる戦力を手に入れたのだから。

 今は3人でその余韻を味わう。


 ◇


「地球魔獣の成長が成功しただと!!」


 名古屋駅で僕と権太さんは団三郎先生に事の次第を説明する。


「オマエ達程の手練れが5匹も揃って、なにをしとったのじゃ!!」


 すると、団三郎先生は怒り心頭。僕達を怒鳴り散らす。

 確かに団三郎先生の仰る通り。僕達は団三郎軍団の中でも十本の指に入る手練れ。

 団三郎先生に直々に術の手解きを受けた。


 そんな僕達が作戦を失敗したのだから、団三郎先生が怒るのも当たり前か。


「「申し訳有りません!!」」


 僕と権太さんは団三郎先生に平謝り。

 しかし、団三郎先生の怒りは収まらなかった。


「あの魔人、タダ者ではないと思ったが。ここまでやるとは……」


 怒ったかと思ったら、団三郎先生は難しい表情で空を見詰める。


「!」


 少し空を見詰めると、何か思い付いたかのように団三郎先生は目をキラリと光らせた。


「ヤツらをこれ以上野放しにはできん! 直ぐに決戦の支度をするのじゃ!!」


「「ははぁぁぁ!!」」


 そして、団三郎先生は僕達に新たな指示をだした。


「直ぐに他の仲間達にも報告してきます!」


「うむ!」


 僕がそう告げると、団三郎先生は低い声でそう言うとコクリと頷いた。

 早速、僕と権太さんは他の仲間達に団三郎先生の伝令を知らせる。


 今まさに、最後の合戦が行われようとしていた……。


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