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命の大きさ  作者: 黄金の右脚
3/9

戦いの準備なんだな!


「これでいいかな?」


 ヴィズゥネスとドラ助六と意気投合して1日後。


 俺は自宅で姉ちゃんのタンスを漁っていた。

 服を探しているのだ。


 なお、自分のコーディネートのために服を選んでいる訳ではない。

 そもそも、俺は女物を着ない。


 探しているのはドラ助六用の服。


 理由は、女の子がいつまでも裸にさせておく訳にいかないからだ。


 ドラ助六は今まで服を着た経験がないので、俺が服を用意してあげないといけない。

 んで、選んでる訳だが……。


「これでいいのか?」


 しかし、女物の服など選んだことがない。


 こういうとき彼女持ちなら、彼女の服選びなんかを手伝ったりして、良し悪しが分かっているのだが。

 残念ながら、俺に彼女はいない。


 なので困っている訳だ。


 ◇


「……まあ、こんなもんでいいか」


 20分後、俺は姉ちゃんの服を適当に拝借した。


「次は下着か……」


 これが1番の難所だ。

 ただでさえ分からん女物なのに。下着選びなんか分かる訳がない。

 まったく未知の領域だ。


 しかし、これも大事な物。

 俺は勇気を振り絞って下着選びをすることに。



「うーーーん…………」


 エロマンガで下着プレイ見ているのは好きだが。

 実際に下着を選ぶのとでは別問題。


 マンガの知恵など殆ど役に立たない。


 頼りになるのは自分の直感力のみ。


 これはかなり厳しい。


「あ!」


 下着選びをする最中。俺は重要な事を思い出した。

 それはドラ助六の体型だ。


 ドラ助六の体は山あり谷ありな体型。

 それに対して、姉ちゃんは平坦でスラッとした体型。


 つまり、姉ちゃんの下着を持って行ったところで、使えない訳だ。


「うーん……どうしよう」


 当てが外れてしまった。

 どうしたものかと、俺は指で頭をポリポリとかく。


「そうだ!」


 頭をかいた瞬間に良い案が浮かぶ。


 その案は……。


「母ちゃんの下着を使えばいい」


 というものだ。


 母ちゃんの体型は姉ちゃんと異なりボンキュッボン。メリハリの利いた魅力的な女性の体型。

 これならドラ助六に使えるかもしれない。


 そうと決まれば善は急げ。

 俺は母ちゃんの下着を調達しに行く。


 しかし、よくよく考えてみたら。服も母ちゃんの物を選べば良かったことに気づく。


 俺の母ちゃんは中々のオシャレさんなのだ。


「よし!」


 思い立ったが吉日。

 姉ちゃんの服をタンスに戻して、変わりに母ちゃんの服を持っていくことに。


「コレとコレと……それからコレも」


 母ちゃんのファッションセンスは抜群だ。

 普段あまり気にしなかったが、母ちゃんの服を見ていると、そのことがよく分かる。


 センスが良いお陰か、母ちゃんは30代で大会社の部長になれた。

 

 まさに仕事のできる女を具現化した存在と言える。


 顔が冴えない上に30代で未だにフリーターの父ちゃんとは大違い。


 父ちゃんはよく母ちゃんと結婚できたなぁと思うが。

 母ちゃんが父ちゃんを好きになって結婚したらしいから驚きである。


 父ちゃんは恋愛ゲームの主人公かなんかなのか?


 ◇


「よし! 次は下着か……」


 なんやかんやで上着選びが終わった。

 しかし、選ぶのに結構時間を食ってしまった。

 

(一刻も早く終わらせなくては)


 早くしないと姉ちゃんが帰って来てしまうのだ。


 もしも母ちゃんの下着を拝借しているところを姉ちゃんに見られたら、何を言われるか分からん。


 それに、姉ちゃんに弱みを握られてしまう。

 それだけは阻止せねばならない。


 俺は超特急で下着選びを終わらせる。


 しかし 『下着を盗っても、直ぐにバレるのでは?』 とか思われるかもしれないが。


 幸いなことに、ここいら一帯で、最近下着泥棒が出没していた。


 なので、母ちゃんの下着が数枚無くなっても、泥棒のせいにいてしまえば万事OK。

 俺に火の粉が降りかかることはない訳だ。


「よし!」


 下着の調達が終わった俺は、服と下着を風呂敷に包んで背負った。

 そして、ドラ助六に渡しに行く。


「しかし……」


 風呂敷が唐草模様なせいか、今の俺の姿はマンガに出てくる泥棒みたいに見えるな(笑)


 正直、警察の厄介になるのは、昨日の死体を引き渡したときだけで十分だ。


 昨日は殺人犯だと勘違いされて大変だった(ただし、直ぐに犯人じゃないことが分り。その日のうちに釈放されたが)


 などと、昨日のことを思い出しながら、俺は宇宙船の落っこちた山に向かう。


 ◇


 数十分後。

 小走りに移動してたせいか、思ったよりも早く宇宙船にたどり着いた。


 俺はトントンと、控え目に宇宙船の入り口を叩く。


「合い言葉を言え」


 そうすると、入り口からドラ助六が合い言葉を唱えるように言ってくる。


「作戦失敗した奴は!?」


「テメエで頭を食い千切れ!」


 合い言葉を唱えると、入り口がウイーンと開く。


 なお、この合い言葉は、俺達3人以外の者を宇宙船に入れないために、昨日3人で決めたのだ。


「やあ、離岸。よく来てくれたね♪」


 入り口が開くと、ドラ助六が暖かく迎え入れてくれる。


「さあ、入って入って。中でヴィズゥネスが待ってるよ」


 ドラ助六は俺の手を引っ張って急かす。


「分かったから、急かすなよ」


 んで、俺は宇宙船の中に早々と入る。


 俺が宇宙船の中に入ると、自動的に扉が閉まる。

 これで知らない者が来ても大丈夫な訳だ。


 さて、俺はドラ助六に引かれて、ヴィズゥネスの待つ研究室に向かう。


「ヴィズゥネス、離岸が来たよぉ」


 研究室に入ると、ドラ助六はテンション高めに俺が来たことを報告する。


「やあ、地球人さん。待ってましたよ」


 俺の顔を見ると、ヴィズゥネスは嬉しそうに歓迎してくれた。


「ヴィズゥネス、地球人さんじゃなくて、離岸と言ってくれよ」


「あ! そうでしたね。すいません、離岸さん」


 なお、ヴィズゥネスは昨日、同盟軍を結成した後にした自己紹介でも、俺の名前を間違えている。


「しっかりしてくれよ」

 

(もしかしたら、ヴィズゥネスは人の名前を覚えるのが苦手なのか?)


 なんて言おうと思ったけど。今はそんなこと言ってる場合ではない。

 団三郎を迎え撃つ準備をしなくてはいけないのだ。


「それで、ヴィズゥネス。具体的にどんな作戦を考えているんだ?」


「はい。作戦は……」


 ヴィズゥネスが作戦を説明しようとした、その時である。

 どこからともなくグ~、と腹の音が鳴り響いた。


「腹減った~~~~」


 音の主はドラ助六だった。


「オマエか!」


 俺は呆れた声でドラ助六を怒鳴った。


「なんか食おうぜ!」


「ちょ!?」


 ドラ助六話しそっちのけで、食事の準備を始めた。


「大事な話ししてるから後にしろ!」


 状況が状況なので、俺はドラ助六に食事は後にするように言い聞かせる。


「わかったよ」


 ドラ助六は口ではそういったが。顔は物凄く不満そうだった。


「では、作戦を説明しますと……」


 改めてヴィズゥネスが作戦を説明しようとするが。

 ドラ助六の腹の音が喧しくて、作戦の内容がまったく頭に入ってこない。


「うーん……」


 なんて腹の音だろうか。

 その音の騒がしさは、まるで腹の音のヘビーメタルみたいなものだ。


 最初のうちはガマンしようとした。

 だが、その腹の音は、とてもガマンできるような音ではなかった。


「……しゃあない。先に飯にしよう」


 やむを得ず食事にすることに。


「直ぐに準備するから、少し待っててね♪」


 満面の笑みを浮かべながらドラ助六は食事の準備をした。

 それも、ノリノリで。

 ……なんとわかりやすいヤツだろうか。


 ◇


 さて、食事をすることになってしまった訳だが。

 出てきた料理に俺は驚いた。


 なんと、全てフリーズドライ食品だったのだ。

 これでは、まるで宇宙食である。


 とはいえ、彼らは遠い宇宙から来たので、当然といえば当然だが……。


「離岸も食べる?」


 食事の準備を終えると。ドラ助六が愛想良く聞いてきた。


「じゃあ、ゴチになろうかな」


 宇宙人の食事を食べる機会は、まずあり得ない。

 俺は誘いにのることにした。


「あむ」


 そして、一口パクリ。

 その味は……。


「うっ!?」


 食べてみて驚いた。

 味が殆どないのだ。


(コレは食感を楽しむ食べ物なのか?)


 などと考えながら口をモゴモゴさせる。


(よく嚙んで食べても、やっぱり味が殆どない……)


「チラッ」


 他の2人を見てみるが、2人共美味しそうに食べ進めている。


(……こういう物なのかな?)


 そうやって自分に言い聞かせ。俺はこの味の殆どない料理を他の2人と一緒に黙々と食べ進めたのだった……。


 ◇


「食った食った。腹がいっぱいだ♪」


 満足そうに腹をポンポンするドラ助六。

 狸みたいだ(笑)


「僕達の料理美味しかっただろ」


 食後に一服する最中。ドラ助六が自分達の料理が口に合ったか尋ねてくる。


「あ、ああ……」

 

 そう言いながら、俺は首を縦に振る。


「そりゃあよかった♪」


 にっこり微笑むドラ助六。


 しかし、建前でそういったが。

 本音を言うと。たいして美味くないフリーズドライ食品のフルコースでお腹いっぱいになって、凄く嫌な気分だ。


 けれども、ドラ助六の満足してる顔を見ると。

 ドラ助六にとってはアレが美味しいなんだろう。


 なんて、ドラ助六の顔を見ていると……。


「そうだった!」


 忘れていたことを思い出す。


「ドラ助六、オマエに渡さないといけない物があったんだ」


「なに?」


 首を傾げながらドラ助六が近寄って来る。

 俺は背負っていた風呂敷包みから服を取り出す。


「この服着ろ」


 そう言って服を渡す。


「別にコレでいいよ」


 そう言いながらドラ助六は、昨日から借りっぱなしの俺のポロシャツの裾を掴む。


「女の子がそんな格好してちゃダメなの!」


「そうなのか?」


「そうなの!」


「じゃあ着るか」


 納得してくれたようで。ドラ助六は服を着ようとするが……。


「チョ!? こんなところで着替えようとするな!」


 ドラ助六は、俺のことなど道端の石ころのように、まったく意識していない。


(なんて女だ!?)


 俺は慌ててドラ助六の動きを止めるため、尻尾をつかむ。


「はうぅ!?」


 尻尾をつかまれたドラ助六は驚いてビクッ、と身を震わせた。


「わっ!?」


 敏感に反応せれて、俺は握ってた尻尾を離してしまう。


「もう! いきなり尻尾に触んないでよね!」


 この行為にドラ助六は珍しく怒っていた。


「ごめん」


 なので俺はぺこりと頭を下げた。

 そして、着替えは仕切り直しとなった。


 ◇


 俺は一旦部屋から出て、ドラ助六が着替え終わるのを待つ。


「ヴィズゥネス、この下に着けるやつの着け方が分らん。手伝ってくれ」


「分かりました」


 せっかく出ていかせたのに。ドラ助六は着替えを手伝わせるためにヴィズゥネスを連れ戻してしまった。

 

「……まったく」


 そんなドラ助六に、俺は呆れ顔。


 ◇


「着替え終わったよ」


 5分後、着替え終わったドラ助六が部屋から出てくる。


「おっ♪」


 その姿を見て、俺は 『コイツはドラ助六なのか?』 と、本気で見違えた。

 そのぐらい今のドラ助六は輝いていた。


 眩く輝くその姿はビシッ、と決めた美少女のソレと同じで。


 まるで美少女アニメの登場キャラクターみたいなに見えた。


「ポカーン……」


 こういうのを馬子にも衣装、っていうんだっけ?

 思わず見惚れてしまって、顔が緩む。

 気を引き締めねば。


「ドラ助六、着心地はどうだ?」


 だらしない顔の事を言われるのが嫌だったので。先手必勝とばかりに、その場逃れのそれっぽいことを言う。

 要するにごまかしだ。


「悪くない。でも……」


「でも?」


 それは妙な言い方だった。

 その証拠に、ドラ助六はなぜかモジモジしている。


 取り敢えず、もう一度聞き直してみると……。


「この下に着けるやつが少しきつい」


「なっ!?」


 俺の母ちゃんは,かなりスタイルがいいのだが。それをうわまわるとは。

 ……恐るべきナイスバディ。


「……そろそろ団三郎対策の話ししてもいいですか?」


 俺がドラ助六の凄まじい体型にポカンとしていると。ヴィズゥネスが話し掛けてくる。


「あ! そうだった!」


 またしても話しが横に逸れていた。

 どうにも話しが脱線しがちだ。


 これでは本来の目的を忘れた行動である。


「では、作戦を聞かせてくれ」


 心の中で反省しつつ。俺はヴィズゥネスから作戦を聞くことに。


「まず、団三郎がどのくらい厄介な存在か説明しますと。彼の手下である 『ビップバップ族』 の存在が脅威です」


 ヴィズゥネスは学校の先生みたいに説明し始める。


「その種族は強いのか?」


 ヴィズゥネスの先生みたいにな仕草に釣られてしまったのか。俺は生徒みたいに手を挙げて質問してしまった(笑)


「いえ、むちゃくちゃ弱いです」


「ズコッ!?」


 話しの矛盾に、俺はずっこけてしまった。


「さっき、厄介って言ってたのに弱い、ってどういうこと?」


 言葉の矛盾に理解ができない。

 自分で言うのも何だが。俺の理解力はイマイチ。


「はい。彼らの単体での戦闘力は大したことありません」


「じゃあ、なにが脅威になるんだ?」


「数です」


 そんな物わかりの悪い俺に、ヴィズゥネスは文句1つ言わずに、根気強く教えてくれる。


「数?」


「はい。彼らの数が脅威になるのです」


「団三郎が何人引き連れてくるかは分かりませんが。惑星ビップバップの総人口は七十二兆三千五百億です」


「な、七十二兆三千五百億!?」


 この驚愕の数字に、俺は茫然自失ぼうぜんじしつ

 思考回路が停止してしまった。


「おい、離岸! しっかりしろよ!」


「は、はっ! 俺はいったい?」


 ドラ助六に揺すられて、俺は意識を取り戻す。


「急に動かなくなるから心配しましたよ」


 ヴィズゥネスも俺のことを心配してくたのか、なんともなかったことに安心しているようであった。


「すまねぇ、ヴィズゥネス」


 心配させてしまったので。俺は頭を下げて2人に謝った。


「では、改めて作戦の続きを説明しますね」


「あぁ! 今度は覚悟して聞くから。多少の事では驚かんぞ!」


 褌を締め直して (※実際に褌を締めている訳ではない) ヴィズゥネスの作戦を聞き直す。


「離岸さん、素晴らしい覚悟です」


 感動気味な口調で、ヴィズゥネスは俺の両手を握ってきた。

 ちょっとオーバーリアクションだな。


 まあ、それは置いといて。


 ヴィズゥネスの説明によると。

 団三郎軍団は、数も厄介であるが。

 ボスである団三郎自身の戦闘力も高く。それも脅威となる。


 事実、ドラ助六は1対1で団三郎に挑み惨敗を喫し、致命傷を負ったという。


 その後、ドラ助六はヴィズゥネスに助けられて、地球に来たとのこと。


 また、その際に団三郎はヴィズゥネスに地球の場所を無理やり聞き出して、地球に向かっている。

 にもかかわらず、団三郎より先にヴィズゥネスが地球に到着したのはなぜか?


 そのトリックは意外と単純明快。

 ヴィズゥネスが団三郎に教えた航路は、遠回りなルートだったのだ。

 

 そうとは知らない団三郎は、本来2日程度で到着する距離を1週間かけてのんびり移動しているのだ。

 だからヴィズゥネスはその間に地球に先回りし、戦いを有利に進めようと企てた訳である。


『対抗手段を取れるので、俺たちの方が有利』 と、普通考えるが。

 実際にそうとは言い切れない。


 その理由は、団三郎が 『魔獣』 という最大最凶の戦力を持っているところだ。


 団三郎がどこで魔獣を手に入れたかは分からない。

 だが、その魔獣がいたから惑星ドラゴンは、僅か数日で滅ぼされてしまったのだ。

 もしも団三郎が魔獣を持っていなかったら、惑星ドラゴンが呆気なく滅ぼせれることはなかった思われる。


 そのため、ヴィズゥネス達は先回りしたとはいえ。戦力、勢力は団三郎の方が絶対的有利。

 話しを聞けば聞くほど、団三郎の強大さが伝わり、絶望的な気持ちになっていく。


「俺達は団三郎に勝てるのか?」


 結果、不安から弱腰になる。


「分からない」


ドラ助六の言葉が、俺をさらに不安な気持ちにさせた。


「ご心配なく。ちゃんと対抗手段は考えてあります」


 不安感から、沈んでいる俺の肩をヴィズゥネスはポンポンと叩き、励ます。

 この言葉に、俺はちょっこっとだけ元気を取り戻す。


「その対抗手段とは、なんだ?」


「はい。少々時間は掛かりますが、確実な方法です」


「どんな方法だ?」


「コレです」


 ヴィズゥネスは手のひらサイズの透明なカプセルを懐から取り出し、見せてくる。

 カプセルの中には2センチ程の緑色の鱗のついた肉片らしきものが入っていた。


「ヴィズゥネス、何なんだコレ?」


「コレは魔獣の破片です」


「なんだ、魔獣の破片か…………って、魔獣の破片!?」


 さらっと言われたので、聞き流しそうになっだが。

 その物体はとんでもない代物だった。


「そんなものどこで手に入れた!?」


 まさかヴィズゥネスも魔獣を持っていると思ってなかったので。

 目の前にある魔獣に、俺は驚きと興奮からアタフタ。

 第三者目線で見た場合、アッパラパーなのは明らかである。


「実はわたくしの母星である 『汚れた星』 にも魔獣がいました。名を 『ヒドゥンブルグ』 と言います」


 錯乱気味な俺に影響を受けることなく、ヴィズゥネスは冷静沈着な受け答えた。

 

「うんうん。それで」


 勢いよく頷く俺。

 まだテンション高めであったが。冷静なヴィズゥネスを見ていると、だんだん落ち着いてくる。

 彼と一緒にいると、不思議と安心感が生まれ、不安感がいつの間にか消えていく。

 不安な気持ちにがなくなると笑顔も生まれてくる。


 こういうのを好循環っていうんだな。


「三千年前に魔獣ヒドゥンブルグは突然誕生しました。ヒドゥンブルグのせいでわたくしの故郷は壊滅的な被害を受けました。大きな犠牲を出しまし出しましたが、魔獣の封印には成功しました」


「じゃあ、その封印を解いてヒドゥンブルグそのもので団三郎と戦えばよくねぇか?」

 

 もっともらしいことを俺は質問した。


「そうしたいのも山々ですが。現在、ヒドゥンブルグの封印を解くことができません」


 原因は分からないが。現在、ヒドゥンブルグを復活させることができないとヴィズゥネスは言う。


「やっぱり、そう上手くはいかんか……」


 少し期待してただけに、俺はちょっと肩を落とす。

 しかし……。


「魔獣の封印を完全に解くことはできません。ですが、部分的に封印を解くことならできます」


「それって、どういうこと?」


 俺はヴィズゥネスの言ってることが理解できなくて、頭にクエッションを浮かべる。


「簡単なことです。ヒドゥンブルグの体の一部を切り取って、その封印を解くんです」


「それじゃあ、そのカプセルに入っているのが……」


「そう、魔獣の破片です」


「なるほど、その破片で戦う訳か…………って! 破片で戦えるか!」


 納得しそうになったが。冷静に考えて、破片で戦うことができる訳がない。


「離岸さんの仰る通り。いかに魔獣と言えども、破片では戦うことはできません」


「じゃあ、どうする気だ?」


 ヴィズゥネスの説明は遠回し過ぎて、俺の頭ではどうにもよく分からん。

 焦りと苛立ちから、機関銃のごとく質問してしまう。

 はたして、ヴィズゥネスはどのように返答するのか?


「それは、この魔獣の破片から新たな魔獣を誕生させるのですよ」


「なんと!! そんな事ができるのか?」


 予想外の回答に俺はビックリして、目玉が飛び出すかと思った。


「はい、可能です。少々時間は掛かりますが」


「よく分から、それで頼む」


「はい」


 コクリと頷くヴィズゥネス。


 かくして、魔獣育成作戦が俺達の行動方針となり。

 

 その日の作戦会議は終わったのだった…………。














































 

 
















 











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