第27話 遊園地
儲かり過ぎ。
なので、ファンタジーフィギュアと石のコインにくじを付けた。
遊園地を貸し切って、くじに当たった人を招待する。
あと社員の福利厚生だな。
現在、社員は100名ほどを越えている。
それぐらいいないと、魔道具電池とポーションの配送業務ができないからだ。
ブラックバイパーに納めるだけなんだが、物が物だけに厳重な警備で対応している。
MP777とか一億円を超える価値だからな。
警備員、30人態勢で配送している。
それと新製品開発だな。
魔法調味料はお茶とかも加わった。
お茶の微細な味を再現する異世界の魔道具職人の腕が凄い。
もっとも、作成料を10倍ぐらい払っている。
一流の職人がやっているわけだ。
魔法調味料のサンプルは各地に社員が飛んで商品を集めている。
お茶の葉っぱなど、海外にも足を運んでる。
一見さんお断りみたいな店とかからも買っているらしい。
何気に優秀だ。
アナザーワールド貿易は中規模な会社になりつつある。
俺は会社の経営を雇われ社長に任せた。
雇われ社長もだが、社員には商品の製造場所については重大企業秘密とした。
その話題を出すのもタブーだ。
だから俺に出元を聞く社員はいない。
不思議には思っているだろうがな。
ここは貸し切った遊園地。
「ブラックバイパーでは商品の出所をどう考えているんだ」
招待した空蝉に聞いてみた。
「地下に秘密工場と研究所があり、そこでやっていることにしてます」
「えっ、それで納得するの?」
「ええ、本国にもそういう施設はありますから」
俺も困ったらそう説明するとしよう。
里奈が嬉しそう。
遊園地が嬉しいだなんて子供だな。
まあ、そういう一面も嫌いじゃない。
「乗り倒すわよ」
「よし、施設を全制覇だ」
いるのはくじで当たった招待客と、社員とその家族だけだ。
さほど待たずにどれも乗れる。
施設の半分近く消化して、ベンチで休みを取った。
「あっ!」
里奈の顔がさも嫌な物を見たという顔をした。
視線を辿ると佐奈子が中年の男性と腕を組んで歩いているではないか。
向こうもこっちに気がついたらしい。
こっちに向かって歩いてきた。
借金地獄から復活したんだな。
ブランド物のバッグを持っているからそう推測。
「俺のことをストーカー男なんて言っておいて、そっちこそストーカーだな」
「あなたに会うためにここに来たんじゃないわ」
「じゃあ、何のために?」
「そのうち、発表されるわ。その時のあなたの顔を拝みたいわね」
「ところで隣は新しい彼氏か?」
「ええ」
「ふん、わしに会って挨拶もなしか」
「どちらさんで?」
敵だと思うから別に挨拶は要らないと思う。
ただ誰かということは聞いておきたい。
それによって対応が変わるからな。
「豊山自動車の専務の、田楽だ」
ああ、国内シェア1位の豊山自動車ね。
また佐奈子は大物を捕まえたな。
だが、全然脅威じゃないんだよな。
魔道具電池の納入先のひとつだからな。
「どう。田楽に掛かれば、あなたのちっぽけな会社なんて吹き飛んでしまうわ」
佐奈子の自信はまあ分かるけど、取引先の会社でなく他の会社でも脅威は感じないな。
異世界の商品を禁止されても別に痛くない。
今まで稼いだ金で10回以上、働かないで遊んで人生を送れる。
今となっては異世界との交易も趣味みたいな感じだ。
「痛くも痒くもないな」
「強がりを言っちゃって。3日後になったらきっと青い顔になるわよ。ゴキブリみたいに潰してやる」
「やってみろよ」
「ふん、世間知らずも良い所だな。わしに掛かれば、こんな奴は一ひねりだ」
田楽が捨て台詞を吐いて佐奈子と去って行った。
「おい、佐奈子の最近の様子は?」
護衛のひとりに話し掛けた。
「資料を送らせます」
スマホに資料が届いた。
佐奈子は銀座のクラブで働いていたらしい。
そこで、田楽と出会ったと。
なるほど愛人の座に収まったというわけだな。
闇金はもっと酷い所に送ると思ったが、きっと佐奈子が銀座のクラブ務めも余裕よとか言ったんだろうな。
それで復活してきた。
「何をしでかすつもりなのかしら?」
里奈が心配してる。
「いざとなったら会社は畳むよ。二人で別の世界に長期バカンスも良いな」
「別の世界?」
「ちょっと物騒だが、良い世界だよ」
「そう」
それから、遊園地にある施設の全制覇をして流石に疲れた。
おばあちゃんの家でくつろいでいたら、スマホにデータが送られて来た。
「ふははは」
何だそんなことをやろうとしてたのか。
佐奈子の企みを知って笑ってしまった。
そんなんで俺を潰すとか言っているのか。
たしかにフィギュアと石のコイン事業は潰れるだろうが、そんなの大した儲けじゃない。
魔道具電池とポーションと魔法調味料製造機が主戦力だ。
これとて別になくなっても構わない。
まだまだ、考えれば商売の種はある。
フィギュアと石のコイン事業は赤字にならなきゃいいや。
そういう方針で行こう
「笑い声がしたけど、楽しいこと」
「里奈、佐奈子がやろうとしていることが分かったけど傑作なんだ見てみろよ」
俺はスマホを見せた。
「ええっ、それだけのことであんな大見得を切ったの」
「笑っちゃうだろう」
「ええ」
里奈の不安も払拭されたし、3日後が楽しみだよな。
さて、豊山自動車の新事業発表会に3日後に乗り込むか。
ブラックバイパーには招待状が届いているとあったからな。
俺の会社も3日後の同じ時間に発表するとしよう。
当日が楽しみだ。




