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第25話 街を作る

 ファンタジーフィギュアは好調。

 石のコインもまあまあ売れている。

 アナザーワールド貿易はほとんど趣味になった。


 MP111とMP777は常に品切れ状態だ。

 魔道具電池も月産1万はある。

 1個につき10万円だから、これだけで10億の儲けだ。


 自分の資産がどれくらいあるか分からない。

 たぶん100億を越えている。

 資産のほとんどはプラックバイパーの株だけど。


 株を買ってから、魔道具電池とか出したから爆上がりなんだよな。

 さて、日本は問題ないから、異世界の領主と仲良くならないと。


 生活魔道具は異世界で堅調だが、あんなの大したアイデアではない。

 貴族との付き合い方なんて知らない。

 仲良くなるなら、プレゼントかな。


 プレゼントってどんな。

 日本の食べ物は不味い。

 食ったら死ぬからね。

 魔力を抜く手段があれば良いのか。

 空のペットボトルを魔道具にした場合、徐々に魔力が抜けるんだよな。

 魔力を使えば良いということだな。


「というわけで、一瞬にして魔力を抜きたい」


 相談相手はいつも通り、ロバートがいる極天パーティの面々。


「事情は分かった。クラモトの世界の物を飲食できるまで魔力を抜くのだな」

「ああ」


「リーダー、それだけの魔力があれば、一瞬で城が作れる」


 クラウは城が作りたいみたいだな。


「そいつはいいな。その功績で騎士にしてもらえたら」

「レオン、俺達の功績じゃない」

「回復の泉を作るとかどうかしら。温泉だとなお良いわね」

「ニッキ、そんなんじゃ1年は魔力が抜けないぞ」


 城か。

 街がひとつ出来たら、領主は喜ぶだろうな。


「決めた。街を作る魔道具だ」

「そいつは豪気だな。となると畑を作る魔道具に、城壁を作る魔道具だな。それと道だな。この三つがなんとかなれば、あとは勝手にやるだろう」


 魔道具自体はすぐにでき上がった。

 魔力を気にせずに出力をあげるのは簡単らしい。

 贈り物のビール缶を魔道具にセット。


 未開拓地で起動したら、樹も岩もみんな粉々になった。


「どうだ、ビール缶は光ってないか」

「気にするのがそこかよ。一区画があっという間に開拓済みだぞ。人間がやったら大変なんだからな。ビール缶は光ってないよ。飲んでも問題ないだろう。クラウ、飲んでみろ」

「あたし?! 実験台になれっての?!」


「よし、ボタンと糸を好きなだけやろう」


 俺は餌で釣ることにした。


「えっ! いいの? やる、やらせてもらいます」


 クラウがビールを飲み始めた。


「どうだ?」

「お替わり、それにつまみを何か」


 ビールは異世界人の口に合うらしい。

 さあどんどん開拓するぞ。


 ビールの魔力を抜いて、開拓を進める。

 ビール10ケースほどで、街ひとつ養うだけの畑が完成した。


 そして、石畳の道を作る魔道具。

 こっちも問題なかった。

 城壁は分厚い岩の壁が出現しただけだ。

 門とか、手すりとか、階段とかは人間がやるらしい。


 魔力を抜いたビール缶を持って領主に会いに行く。


「ふむ、もう開拓と道と城壁が出来たと。褒美に何を望む」

「友となれれば幸いです」

「そうよな。クラモトを友としよう。今後敬語は要らない」

「ありがとう。友となった祝いにビールで乾杯しよう」


 領主と飲み語らう。


「聞いてくれ。派閥トップの侯爵がちょっとな。何かと言うと誠意を見せろだ」

「まるで犯罪組織だな」

「そのたとえはぴったりだ。貴族なんて元は盗賊の親分だからな。国を建国する時に戦いが上手かったにすぎん」

「ビールを贈り物にしたらどうか」

「奴にこの美味い酒はもったいない。派閥なんて、嫌だ嫌だ。妻ですら派閥の貴族出だからな。派閥の意に反する行動なんかしようものなら密告されかねん。そしたらこれだ」


 領主は首を手で斬るジェスチャーをした。


「無理難題は確かに嫌だな」

「そうだろ。王室で何か慶事があると祝いを贈るから金を集めろとくる。俺達も個別に祝いを贈らないといけないので二重の出費だ。しかも派閥の立場の上の人間より目立ってはいけない」


 領主って大変らしい。


「殺し屋とかなんかも送られるのか」

「ああ、話がこじれたりするとな」

「大変だな」

「誘拐なんかされることもある。警護の兵士がどこへでもついて来るので息が詰まる」


 話のほとんどは愚痴だ。

 貴族間の力関係や、功績争い。

 それには犯罪とも呼べる、裏工作がつきもの。


 暗殺を常に警戒しているらしい。

 こうして飲んでいる間にも警護の兵士は俺を見張っているから分かる。

 ビール飲むにも毒見させてからだからな。


 恐らく俺も全面的には信用されてない。

 なかなか難しいな。

 ただ一歩前進したことは間違いない。


「俺にこんな話をして良いのか」

「構わないさ。クラモトが派閥の人間に話したところで知らんというだけだ。口なら何とでも言えると言えばお終いだ」

「真実の本があるだろ」

「あれはめったに使えない。反逆罪とか重罪に使われる。それと自分の無実を証明する場合だな」

「たしかに無実なら頼りたくなるな」


「まあ、使ってくれと囚人が頼むことは滅多にない。それに使ったとしても参考程度だ。知ってるか。闇の魔法には、事実と異なることを信じさせるのがある」

「信じていると、結果が変わってくるのか」

「そうだ。だから万能というわけではない」

「次はウイスキーを持って来るよ。美味い酒だから。魔力抜くのに湖でも作ろうかな」

「ため池を作るのか。候補地ならいくつもある」


 うん、真実の本はそんなに重要視はされてないようだ。

 法律とか無ければ気軽に貸してくれと言えるのにな。

 交換条件を出すのなら、俺がいないと絶対に困るように仕向けないと。

 そうすれば真実の本を貸してくれと言って、それを飲ませられるだろう。

 魔木電池ぐらいでは駄目だ。

 あれは魔穴さえあれば作れるからな。

 しばらく機会を窺って状況を見よう。


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