第21話 電池魔道具
ブラックバイパー社の社長室。
空蝉と商談。
「電撃の魔道具があるんだが、自動車のバッテリーとしてどうかな。燃料補給せずに10年は持つ」
「画期的ですね。電気自動車の弱点のひとつが解消されます」
「だろ。で、特殊なプリンターを作ってほしい。好きなインクを自由に入れられる奴だ」
「簡単ですね。1週間もあれば」
1週間後、魔法陣を描くためのプリンターが完成した。
俺は発電機とそれを異世界に持ち込んだ。
「魔道具の魔法陣を描くための魔導インクって高いのか?」
俺はロバートに尋ねた。
魔道具の基礎はインテリジェンスブックで習得済みだ。
ただ材料の相場は分からない。
「雑草みたいな草の汁だから、滅茶苦茶安いぞ」
「好都合だな」
異世界にアナザーワールド貿易の支社ができた。
そこでプリンターを使って、電撃魔道具を量産している。
日本に帰ると、電撃魔道具電池車が出来上がっていた。
魔道具を所定の位置にはめ込む。
車が起動した。
ナンバーも付けてある。
「是非、使ってみて下さい」
「悪いな」
車は、スポーツカータイプで恰好良い。
如何にも高そうな車だ。
アクセルを踏み込むとグンと加速。
トルクも十分だ。
家に帰り、ニュースをチェックすると、魔道具電池のニュースが流れていた。
ブラックバイパーの会社の株はストップ高らしい。
ただ、魔力を使っているから原理は不明なんだよな。
魔道具電池の俺の利益を1個あたり約10万円とした。
ぼったくりだな。
プリンターが1台で日産1万個ぐらいはいける。
ただ不良品チェックが人と機械の目が必要だ。
だが、チェックは地球の人間でも可能だから問題ない。
しばらく経って、掲示板を見てみた。
この掲示板はわりと好きだ。
最近の話題の大半は俺が原因だけど。
【都市伝説スレ・その46】
489
なあ、新電池車をばらしたら、電池は金属の塊にインクで書いただけだったらしい
490
知ってる
原理不明らしい
491
インクが特殊なのか
492
成分分析したが、特殊な物質は出なかったってよ
493
ばらしただけで修理費20万円は高い
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エイリアンの技術だな
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出た、宇宙人説
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じゃあ、何だと思う
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古代超文明
古代人の生き残りが冷凍睡眠から目覚めたんだ
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タイムマシンで未来人が来たんだよ
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製造元のブラックバイパーはなんて言っている?
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問い合わせたが答えてもらえなかった
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企業秘密は教えてくれんだろう
502
はやく日本車に搭載されると良いな
503
うんうん、左ハンドルはちょっと嫌だからね
504
新電池の秘密は分からないって結論か
505
お前が分解して調べろ
506
やってやるぜ
507
何か分かったら、このスレで報告してくれ
今日はブラックバイパー社に来ている。
「魔道具電池は大統領からお褒めの言葉を頂きました」
空蝉が嬉しそうだ。
「まあ、そのうち日本の車メーカーにも魔道具電池は卸すけどな」
「それは仕方ないですね。ただ赤い国旗の国の車に勝てるのなら問題ありません」
「前もって株買って売ったら、インサイダー取引だったよな」
「ええ、組織では株でかなり儲けたので、ボーナスを10億円ほど出しましょうか」
スパイ組織にはインサイダーは関係ないんだな。
きっと日本の政治家も儲けているかも。
「もらえる物はもらっておくよ」
魔道具電池の故障率の少なさは異常だ。
車の中の魔法陣がこすれて消えるなんてことはほとんどないからね。
たぶん、赤い国旗の国は魔道具電池車をばらして、頭が痛いに違いない。
ちなみに魔道具電池は分解すると、機能が停止するように作ってある。
ブラックバイパーにポーションを卸す必要はなくなったが、消費期限が近いエリクサーの輸入は異世界の人助けにもなっている。
エリクサーが売れると、その金で新しいエリクサーが作られるからだ。
通常、消費期限が近いと半値ぐらいになるが、俺は半値では買わない。
それどころか通常の倍の値段を払っている。
ただし、儲かったその金でエリクサーを量産するという条件付きだ。
ただエリクサーに使う薬草は魔境の奥地でないと育たない。
はずだったのだが、魔穴の近くに群生していることが分かった。
他の材料として魔水も必要だが、これは俺が供給できる。
その他にはドラゴンの血が必要らしいが、金さえあれば捕獲隊も結成できる。
捕獲隊はドラゴンを殺さない。
捕まえて、血を抜くだけだ。
難易度は上がるが、金の力は偉大だ。
エリクサーの生産量は増える一方らしい。
良かった。
輸入して数が少なくなることがなくって。
迷いの森の魔道具は効果を発揮している。
街中で迷子になる某国のスパイが多数。
これも頭が痛いだろうな。
ファンタジーフィギュアの売り上げも好調だ。
異世界では駆け出し冒険者達が副業として大量に作っている。
次は何をしようかな。
温暖化対策なんかできたらな。
二酸化炭素を酸素と炭素に分解する魔道具が出来たら良い。
ただ異世界には元素の考えがないんだよな。
だから、ちょっと難しい。
金はあるんだから異世界の錬金術師に投資してみよう。
化学知識の本を翻訳して渡すのも良いだろう。
異世界の冒険者ギルドでは、魔導金属を使った攻撃魔道具が売り出されていた。
剣の柄に1円玉が埋め込まれているのを見ると複雑な気分だが。
モンスター被害も減っているらしい。
俺が使っている魔剣ほどじゃないとしても、すごい威力の魔道具だから、こんなのを使えば大抵のモンスターには負けない。
異世界と地球で両方に良い効果が出ている。
この関係が続くことを祈る。




