第19話 パーティ
里奈と政治家のパーティに出ている。
こんなパーティに出るつもりはなかったが、空蝉がパーティ券を持ってきた。
貧乏性だから無駄にすることもできない。
会場はホテルの大広間。
軽い食べ物と、酒が用意されている。
食べ物は美味いし、酒も良い酒だ。
ただ、普段飲み慣れてないから、何だか違和感というか普段飲むならもっと安い酒と料理で十分だなとは思う。
「あなた、私を追いかけてきたの?! ストーカーなの?」
そうまくし立ててきたのは元カノの佐奈子だ。
お前をストーキングなんかしない。
しかし、嫌な奴に会った。
美味い酒が台無しだ。
「偶然だ」
「ストーカーで無かったら何?」
「会社やっているんだよ。その伝手でパーティ券を貰ったから来ただけだ」
「へぇ、隣の彼女があなたのパトロンていうわけ。逆玉に乗れたみたいね」
「そんなんじゃない」
「この女、頭がおかしいんじゃない」
里奈が佐奈子の悪口を言った。
「私を馬鹿にしたわね! 許さないんだから!」
「佐奈子どうした?」
佐奈子の彼氏と思われし奴が現れた。
「あなた、こいつは私のストーカーよ。この会場からつまみ出して!」
「どうしました?」
係員が飛んできた。
「客に犯罪者が紛れ込んでいたらしい。その二人をつまみ出してくれるかな」
「やあ、倉本さんじゃないか」
そう言って現れたのは総理大臣。
「初めまして」
「嫌だな。お得様じゃないか。れいのアレを10本ぐらい回せないかな」
「き、君、何で総理大臣に伝手があるんだ」
驚愕する彼氏。
「何でって、商売しているからな」
「何の会社だ?」
「貿易会社。ファンタジーフィギュアが主力製品だな」
「そんな如き会社で!」
「総理の言葉を遮るとは君はなんだね」
議員らしき人がそう言ってきた。
「サボーディネイト社長の息子です」
彼氏が答える。
「総理、上場もしてない会社です」
秘書らしき人が報告。
周りで聞き耳を立てている人から失笑が漏れる。
「ふむ。で倉本さんアレは回して貰えるのか」
「何でこいつが」
「君、失礼だぞ」
「何かの間違いよ! 倉本が総理と取引しているなんて! ストーカー男なんだから! さっさとつまみ出して!」
「おい」
総理が目配せすると、秘書だろうか何人かが現れて、佐奈子と彼氏を連れて行った。
佐奈子は連れて行かれる間中喚きたてていた。
「でどうなんだね」
「10本ぐらいなら」
「パーティに出た甲斐があって良かったよ。大統領にもよろしく言っておいてくれ」
大統領と友達ではないんだけど。
色んな人が名刺交換をしに挨拶にきた。
まあ、名刺ぐらいなら良いか。
パーティ会場から出ると、佐奈子と彼氏がまだいた。
「どんなペテンを使ったの?!」
「いや、商売しただけだが」
「何でフィギュアの会社が総理大臣と話せるのよ」
「ははん、総理はオタクに違いない」
彼氏が変な勘違いをした。
まあ、オタク趣味な政治家はいたけども。
「だからアレなんて言ってたのね。総理の隠れた趣味で取引しているからっていい気にならないで、均の会社に比べたらあなたの会社なんて蟻んこよ」
「あんまりしつこいと警備員を呼ぶぞ」
「くっ、言わせておけば」
「この変な女に構わないで、帰りましょうよ」
「里奈、そうしよう」
「くっ、覚えておきなさい」
何を覚えておけというのだろう。
佐奈子の思い出など俺は忘れたい。
いや、意趣返ししたいかもな。
次に会ったら、ブラックバイパーの顧問になったと伝えてみるか。
きっと悔しがるに違いない。
帰りにブラックバイパーに寄って、MP111を10本総理に送るように手配して、エリクサー5本も出した。
「これが100万ドルの奇跡の薬」
空蝉がそれを手に取って緊張している。
スパイ組織の支部長でも緊張するんだな。
「消費期限が近いから、すぐに使えよ」
「はい、ボス」
エリクサーはMP777という名前になった。
会社に帰ると、澄子さんが慌ててた。
「何かあった?」
「フィギュアの大量注文があって手続してたら、大量にキャンセルです。それが繰り返し続いてます」
あいつ、佐奈子の彼氏の仕業か。
たしか彼氏の名前は均で会社名はサボーディネイトだったな。
ネットで検索を掛けると、社長の苗字は甲斐と分かった。
何をやっている会社かというと、プログラムのシステム設計だな。
ソフトウェア会社だ。
プログラムで注文してキャンセルをするのはお手の物ってか。
「しばらくこんな感じだろうから、展示即売会を開くか。ドーム球場でやったら良いかもな」
「分かりました。イベント会社に連絡を取ってその方向でやってみます」
エリクサーで5億ほどあぶく銭が入ったからな。
派手に使うのも良いだろう。
「展示即売会のチラシができたら、サボーディネイト株式会社の甲斐・均宛てに送っておけ」
「はい」
「どうせなら派手にしない」
「里奈、アイデアがあるのか」
「呼びたい歌手がいるのよね。楽屋とか入ってサインもらえたら最高かも」
「何だそんなことか。ミニコンサートを開くように指示しておこう」
販促用のビデオも作りたいな。
どうせなら、球場のスクリーンでそれを流したい。
5億もあればお釣りが出るだろう。
コマーシャルとかも作っちゃうか。
色々とやるのは良いかもな。
異世界で、フィギュアを大量に作らせないといけないな。
魔穴ができて冒険者の数は何倍にもなっているから、依頼をたくさん出せば良いだけだ。
異世界なら1円硬貨を換金するだけで金が湧いて出てくる。
この、お祭りは毎年やるのも良いかもな。




