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第十章 感動の再会

第十章です。ここからさらに面白くなっていくと思います。

グラナイトは扉を静かに開けてみようとした。だが、やはりビクともしない。


「他に出口はないのか」


壁に手をつきながら、外へ出られそうな抜け穴がないか探してみる。


「・・・・・・・」


一周してみたものの、何も収穫が得られずその場に座り込んだ。


「やはり、こうも次々と運よく計画が進むわけないか」


ため息をついたその時____



「だ、誰!?」



すぐ隣で声が聞こえて、思わず体が跳ねた。



「名を名乗れ。お前は誰だ!」


王子は咄嗟に後ずさりした。


「それを聞きたいのはワチのほうだ!」


「わ、ワチ?」


ようく目を凝らしてみると、目の前にちょこんと座っているのは、まだ小さな女の子だった。


「お、女の子?」


「ワチは正真正銘の女だ!だけどな、お前なんかチッとも怖くないぞ!それよりお前は誰だ!」


「いや、僕は今名乗ることはできない。お前が名乗れば喜んで名乗ろう」


女の子は怪しみながらも、最終的には名乗ることにした。


「ワチはアリアネル。みんなアリアって呼ぶから、そう呼んでも別にいいぞ」


「そうか、それではアリア。僕はグラナイトだ。とある事情により、この部屋に閉じ込められてしまった。お前もこの部屋に閉じ込められたのか?」


「いやあ。ワチはここがお気に入りの場所なんだ。よくここに来ては宝物がないか探すんだ。ここには珍しいものが山ほどあるからな」


「ということは、外へ出る抜け道を知ってるってことか?」


「ああ、そういうこっちゃ」


「教えてくれないか、その道を」


「いやや」


そう言ってアリアはそっぽを向いた。


「な、何故嫌なんだ?」


「この部屋に閉じ込められたってことは、ワチらの敵ってことだ!そんなやつを助けるなんてごめんだね」


モルガナイトには口の悪い者しかいないのだろうか。だが既にスピネルのおかげで耐性はついている。


「そうかもな。確かにそうだ。僕はマラカイトの王子だからな」


「マラカイトの王子なのか?」


「ああ、そうだ。だが、今は死人だけどな」


「死人?幽霊・・・・・・なのか・・・・?」


「ああ、そうだ」


「嘘だあ!幽霊ってのは足がないんだ。グラナイトの足はあるだろ!」


「ほう、じゃあ見ていろ」


そう足を指さすと、足だけ透明に変えた。



「なっ!?」



あれほど強気だったアリアも流石にこればかりは怖かったようだ。

どれだけ強そうに見えても、やはり子供であることには変わりない。


「本当に、幽霊なのか・・・・・・」


「いや、幽霊ではないぞ?」


「じゃあなんで足がなくなったんだ?」


「僕は透明になれる魔法を持っているんだ」



「・・・・・・・」



アリアは何かを考えるように、透明になった足を見ていた。



「どうしたんだ?怖いのか?」


「いやあ、そうじゃない。なあ、一つだけ聞かせてほしい」


「何だ?」


「お前、モルガナイト王は好きか?」


グラナイトは返答に困った。好きだと嘘を言ってしまえば良かったのかもしれない。だが、女の子の前で平然と嘘をつくことが出来なかった。


「いや、好きではない。むしろ・・・・・・・」


そこで言葉に詰まった。だが、アリアは察したようで、うなずくと背中を向けた。


「ついてこい」


「え?」


「ここから出たいんだろ?案内してやるから早く来い」


「あ、ああ」


気が変わったようで、道を教えるだけでなく、案内までしてもらった。

入り組んだ道を行き、たどり着いた先にあったのは窓のないどんよりとした薄暗い部屋だった。


ロウソクの光によって足元が見えるほどではあったが、この部屋は一体_____



「戻ったのか」



部屋の端に置いてあったベッドのほうから老人らしき声が聞こえた。その声はとても弱弱しく、今にも消えてしまいそうだった。


「ああ、じいさん。起きてみろ、客を連れて来た」


「客?」


辛そうにゆっくりと体を起き上がらせてこちらを見ると、その老人は目を見開いた。



「あなたは・・・・・グラナイト、王子・・・・・・・・」



「何故私の名を・・・・・・!」


グラナイトは声を上げると、老人は悲しそうな表情を見せた。


「このお姿では、気が付かないのも無理はありません。あなたとは過去に一度だけお会いしたことがございます・・・・・もう何年前になるでしょうか・・・・・・」


その瞬間、グラナイトはハッとした。



「ま、まさか」



そんなはずはない。だって、あなたはもう既に死んでいるはず・・・・・なのに、何故かあのお方の面影がある。



「先代の・・・・・・モルガナイト王・・・・・・・」



「はい、左様です」


そしてこちらに手を差し伸べて来た。


「お久しぶりですね。驚いたでしょう。覚えていてくださってとても嬉しいです」


グラナイトは先代王に駆け寄り、その手を優しく握りしめた。


「何故あなたが生きておられるのですか?あれほどお元気そうであったのに、急にご病気で亡くなったとお聞きして・・・・・・もしかしたら、現王に毒で殺されたのかと思っていたのです・・・・・・」


「いいえ。私はこの通り、変わり果てた姿ではありますが、まだ生きております」


「何があったのですか?」


「ええ、お話ししましょう。ですが、その前に一つお聞きしたい。あなたのようなお方が何故ここにいるのですか」


グラナイトは真の目的以外の計画のことを全て話した。先代王はグラナイトが話し終わると手を握り返してもう一つ質問をした。


「私の、孫娘を覚えておいでで?」


「まご、むすめ・・・・・・・・」


グラナイトはハッとした。モルガナイト領土へ入ってからは、コールたちと同じように存在を消された者のことを完全に忘れてしまっていた。



「あなたのおかげで思い出せました。この国の領土内では、存在を消された者を思い出せなくなるのですよね。しかし、何故あなたは覚えておられるのですか?」



「私は仮にもあなたのように、神の力を引き継ぐ者です。わずかではありますが、今でも多少の力は残っています。その力のおかげで、今もなんとかあの子のことを覚えていられます」


「何故そんなに力が少なくなってしまったのですか?」


そう聞くと、先代の王は遠くを見つめて呟いた。


「現王が、私の力を奪ってしまったのです」



「・・・・・やはり、現王は神の力を持っていないのですね」



グラナイトのその言葉に、先代王は目を見開いた。


「知っていたのですか・・・・・・」


「いいえ、これは私の仮説です。実はコールたちには言っていないのですが、今回の計画はこの仮説の確証を得るのが真の目的でした」


「やはり、あなたは素晴らしいお方だ」


「確証はありませんでした。しかし、何故自分の血液を彼らに飲ませなかったのか、それがずっと疑問だったのです。そこで考え着いたのは、『自分の血液にはその力がないから先代王の血液を使った』というものでした。宮殿内には、先代王の血液が大量に保管されている場所があるはずだと思い、その場所を見つけ出そうとしていたのです」


「ええ。その場所というのがこの部屋です。この部屋に閉じ込められてからというもの、あやつは私の血液を採ってはそれを実験に使うようになりました。私の血液を自分の体内に入れ、自分の血液を私に入れる。そうすることで、いずれは完璧な血液を持つことができると考えたのでしょう」


「どうしてそうなってしまったのですか。この十年で何があったのですか?」



「ええ、全てお話ししましょう。この十年という激動の時代を」


お読みいただきありがとうございます!次章もお楽しみに!

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