第九章 いざ、宮殿へ!
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そしてこの日が来た。
「三日間で何か進展はあっただろうか」
三日前、血液の入手方法について良い案を出すために三日考える時間を設けたのだ。
そして今日、その進展を話し合っている。
エピドートもその場に加わった。彼のことは全員知っているので、誰も嫌だとは言わなかった。
「いや、なかったな」
スピネルが言うと、シトリンとカーネリアンもうなずく。
「俺は一つある」
そう手を挙げたのはやはりコールだった。
「なんなんだ?」
「まず、王子さんを首の状態で宮殿内まで運ぶ。そしてそのまま首はどこかの部屋に保管されると思うんだ。一時的にな」
「それで?」
「その間、多分数日あるかないかの短い時間だが、王子さんがその部屋を出て、誰にも見つからないように血液のある場所を探すんだ」
「探すって、どうやって?」
「・・・・・・・ありそうな場所を・・・・・・・・」
「何だよそれ!」
スピネルがガッカリした様子で頭を掻いた。
「どこにあるのかも、そもそもまだ血液が残っているのかも分からないんだ。今考えられる方法はこれしかない」
「いいだろう。やってみよう」
意外にもすぐに承諾したのはグラナイトだった。
「は!?何でそうなるんだよ。ほとんど見つかる可能性ゼロじゃねえか!危険だろ!」
「そうですよ!もっと他にいい考えがないか考えませんか?」
カーネリアンも流石に止めた。だが、エピドートは何も言わなかった。
「いや、ものは試しだ。やってみよう。それに悪くない策だと思う。これなら簡単に宮殿へ入れるし、密かに探すこともできる。死んだ者の見張りの数は恐らく少ないだろうし、一石二鳥だ」
「いや、でも・・・・・・そうな、のか?」
スピネルはこの無茶な作戦に段々と理解が追い付かなくなってきた。もしかしたら行けるのかも?などと錯覚してしまいそうだ。
「本気かよ、王子さん」
「ああ、本気だ」
「そう自信たっぷりに言えるってことは、何か俺たちには言っていないことで確信を持っているんじゃないか」
「・・・・・・」
グラナイトが黙ってコールを見ると、コールはため息をつく。
「分かったよ。どうせ俺たちには何の害もないさ。危ないのは王子さんなんだからな。俺たちは第一王子の首を持って帰ってきた英雄扱いになるだろうし、うまいものでもたらふく食べながら応援してるよ」
そう言って、深くは追及しなった。
こういうわけで、遂に明日の夜、モルガナイトへ死人として行くこととなった。
「大丈夫ですか。無茶な賭けだとは思いますが」
「問題ない。お前には話しただろ?」
「ええ、まあ」
そう会議が始まる前、エピドートには今回の作戦において、自分の真の目的を打ち明けていた。
「その計画で行くから、そのつもりで」
「はっ」
エピドートは内心穏やかではなかった。敵国の領土では何が起こるか分からないからだ。
本当はグラナイトには無理をしてほしくないが、ここは彼の意見を尊重することにした。
そして、遂にモルガナイトへ経つ日が訪れた。
「問題ないか?」
「こちらは大丈夫だが、王子さんのほうは?」
「こちらも問題ない。行こう」
こうしてグラナイト、コール、スピネル、シトリンはモルガナイトへ経った。
「ここからがモルガナイト領地だ。本当に行くのか?下手をすれば死ぬかもしれない」
「問題ない。僕は死なないからな」
そう言って笑うと、グラナイトは引いてきた荷車に横たわり、顔だけを残して透明になった。
「さあ、行こう。これからは僕に話しかけるなよ。死人と話しているのはおかしいからな」
「分かってる。安心してくれ。よし、行こう」
こうして四人は宮殿へ足を早めた。
予想通り、宮殿の最深部までは何事もなく入ることができた。
むしろ門番や護衛の騎士からは、誇らしげな視線を向けられた。
敵国の王子の首を持って帰って来たのだから当然だろう。
そして王の間へと案内される。
多くの仲間が命を落とした場所。またこの場に来ることになるとは。
「敵国の王子の首を取って帰ってきたとか」
跪く三人の前で王の低い声が響く。
「はっ」
「だが、余はマラカイト王の首を求めていたのだが」
「その点に関しては申し訳ございません。任務途中、マラカイト側に捕らえられてしまい、逃げる途中でせめてもと王子の首を取ってきた次第でございます」
「うむ・・・・・まあ確かに王の首を取ってくるのは難しいであろうな。ご苦労だった。王子の首はこちらで保管させておくゆえ、そなたたちはもう下がってよいぞ」
「はっ」
三人はグラナイトの乗った荷車を置いて、素早く下がった。
「お前たち、この荷車を例の部屋へ運べ」
「はっ」
周りにいた二人の護衛に命令すると、二人は急いで荷車を引いて部屋を出た。
例の部屋と言われた場所へと向かっていると、二人は違和感を感じた。
「なんかこの荷車重くないか?」
グラナイトは目を瞑りながらも、少し冷や汗をかく。幸いにもそれは顔ではなかったので、バレてはいない。
「ああ、首だけしか乗っていないのに、確かに重いな」
「まあ、荷車自身が重いのかもな」
彼らなりに納得してくれたおかげで、何とかこの危機は免れた。
そしてある部屋の前で足を止めた。
「よし、着いたな」
そう言って鍵を取り出すと、手際よく扉を開けた。
「この辺に置いておくか」
部屋の中を見渡し、一番開けている場所に、荷車を置いた。
「よし、早く戻ろう。いくら綺麗な王子だからと言っても、やっぱり生首は気味が悪い」
「そうだな、行こう行こう」
幸いにもここでも何事も起きずに二人は去った。
「よし」
グラナイトは閉じていた目をゆっくりと開けて、辺りを見渡した。
「ここは物置のようだな」
辺り一面には物が散乱していた。暗くて良く見えなかったが、長い間使われていなさそうな物ばかりだ。
「まずは、ここからどうやって出るか考えないとな」
この部屋の扉には外から鍵が掛かっているようだ。中からでは開けることは難しいだろう。
「それに、どうやってバレずに外を歩こうか」
ここへ来て早々に、また頭を使う必要がありそうだ。
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