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第二章 歴代王の血

タイトルが怖そうですが、そんなに怖くないので、気軽にお読みください!

「こいつのせいで話逸れてしまいましたが、結局薬の入手方法についてはどうなさるおつもりで?」



カーネリアンが話を戻した。


「ああそうだった。僕には一ついい案があるんだが、コールはどうだ?」


「一応俺にもあるのだが、恐らくお前と同じ考えだろう」


「それでは僕から話したほうが早そうだな」



そう言って、王子は自分の考えを語り始めた。



「大前提として、モルガナイト王はこちらに血液を渡す気は一切ない。むしろ、取り戻そうとしていることを知れば、何が何でも阻止しようとするだろう」



いや。下手をすれば、三人とも殺されるかもしれない。



「だから慎重に行動しなければならない。この計画は特定の者たち以外には気づかれないように進めていく。いいな?」


「ああ」


「もちろんだ」


「それでは計画を大まかに説明する。難しかったり、理解できなければ遠慮なく質問してくれ。特にスピネル、遠慮は要らない」


「なんで俺の名前を出すんだよ」


スピネルが口を尖らせる。


「それでは、説明を始めていく。僕たちが手に入れようとしているのは、モルガナイト王の血液だ。だが歴代の王であれば、誰であろうと構わない。現王が君たちに飲ませたように、先代の王のものでも構わない」


「なるほどなあ。わざわざ我らが王の血じゃなくてもいいわけだな?」


「ああ、その通りだ。だが現王のもの以外を手に入れるのは難しいだろう。血液がまだどこかに保管されている保証もないし、その血液の効果が持続しているかも分からない」


「効果の持続?」


「ああ。血液というものは、採血してしばらく経ってしまうと、中の赤血球や白血球が死んでしまうんだ。そんな状態のものは恐らく飲んだところで何の効果も得られないだろう」


スピネルはそれを聞くと小さくうなずいた。

だが多分彼は『赤血球』も『白血球』も何のことだか分かっていない可能性が高い。


「とにかく、採血されてからそこまで時間が経っていない血液を入手したいところだが、そうなると先代の王か現王の二つに絞られる。だが、どちらを手に入れるにしても、現王との衝突は避けられない・・・・・」


「はあ?俺らはどうしたらいいんだ?俺らに我らが王を裏切れっていうのかよ!」


「いや、そうは言っていない。直接的な衝突さえ避けられれば何も問題はない。だが・・・・・モルガナイト宮殿へ忍び込んで探そうにも、どこを探せばいいか分からない。どちらの血液も保管されていなければ、直接採血を行うしかないだろうし・・・・・・・」


「直接って・・・・・・まさか・・・・・・・」


スピネルが口をあんぐり開けた。


「ああ、最悪の場合・・・・・モルガナイト王の肌を少し傷つけることになるかもしれない」


「それだけはダメだ!神聖な王の体を、俺らが傷つけるなんて」


「ああ、それだけは避けなければならない。もしそうなったら、もう俺たちはお前に力を貸すことはできなくなる。そこから先は敵同士になるだろう」


ああ、そう言うと思った。だからそれだけは一番避けたいんだよ、二人とも。


「大丈夫だ。そうならないように、計画を練っている」


「ほんとか?いい計画があるのか?」


王子は少し考えたあと、自分の中で納得したようにうなずいた。


「僕が忍び込めばいけるかもしれない」


「お前が?いやいや、すぐに第一王子だってバレるだろ!」


「この姿であればバレるだろう。だが・・・・・」


その瞬間、目の前が真っ白になった。だが、それもほんの一瞬の出来事。


「っ・・・・・・」


目を開けると、たった今までそこにいたはずの王子の姿がなかった。



「え、王子?どこ行ったんだ?」



一瞬の出来事に、二人は戸惑った。だが何の問題もない。



「ここだよ」



すぐ下で声が聞こえた。机で隠れて見えなかったが、小さくなった王子がちょこんと立っていた。


「わすれたの?おにいさん、ぼくがすがたをかえられることを」


「ああ、そうだったな。っていうか()()()()()って呼ぶの気持ち悪いからやめろ!」


「なんで?かわいいでしょ?()()()()()?」


そう無邪気に笑ってみると、二人から本当に引かれてしまった。

二人だけじゃない。後ろにいたカーネリアンも、同じような冷たい目線を向けていた。


「やはり、ぼくのしょうたいをしっているものには、このかわいさはつうじないな」


そう言って指をパチンと鳴らすと、また光と共に子供から大人へと姿を戻す。


「お前が姿を変えられるのって、やっぱりお前がシェルだからか?」


「まあ、そういうことだ」


「お前がその・・・神とやらに与えられた力ってのは、『子供に変化できる』っていうものなのか?」


「概ね当たっている」


「おおむね?」


「ああ。実は子供だけでなく、様々な姿に変化することができる」


「そうなのか?例えばどんなだ?」


「中年の男、老人。あとは体系を変えたり性別を変えることだって可能だ」



「そんなことも出来ちまうのか!?ぐえっ・・・・!」



スピネルが急に大きな声を出すので、驚いたカーネリアンが無意識にスピネルを殴ってしまった。


「いてえええ!今のは強烈だった・・・・・・!」


「す、すまなかった。今のは、驚いて・・・・・不本意だった」


カーネリアンが珍しくスピネルに謝ると、コールは小さな声で言った。


「スピネル、お前が大きな声出すからだろ。この部屋は小さいし窓もない。響くんだよ」


流石のコールも今回ばかりはスピネルの肩を持たなかった。

コールはスピネルのすぐ隣にいたので、恐らく鼓膜がちぎれそうなくらいの声量だったはずだ。


「すまねえ。俺のせいで全然話が進まねえな。悪かったよ」


「分かればいいんだ。で?今どこまで話した?」


「ああ、僕が変化できるものについて説明したところだ」


「それで?変化できるからバレずに宮殿へ潜り込める、ってわけか?」


「まあ、簡単に言えばそうなる。だが、そんな容易く入れるわけはない」


「じゃあどうするんだ?」



「それは・・・・・・・・」



王子はここにいる全員を指で指しながら意味ありげな笑みを浮かべて言った。



「お前たちを少し使わせてもらう」


最後までお読みいただきありがとうございました!

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