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第一章 尊重を選べる強さ

ついに第二部へ進むことができました。

ここからはモルガナイトとマラカイトの戦いの物語となっていく予定です。

「俺に一つ案がある」


そう言って手を挙げたのは、なんとスピネルだった。


「あんた・・・・・そんなに頭がよかったのか?とてもそんな風には見えないが」


冷たい声でカーネリアンが聞いた。相変わらず、嫌いな相手には口が悪い。


「ああ、もちろんだ。イッチバン平和的な方法がよ」


「お前の口から()()の二文字が出てくるとはな」


コールが笑うと、スピネルは自身満々に胸を叩いて断言した。


「俺の案を聞いたら、この場にいる全員が俺の才能を認めざるを得なくなるぜ。いいか、ようく聞けよ?」


スピネルは息を大きく吸ってからハッキリとした声で言う。


「我らが王に頼んで、血を少しだけ分けてもらうんだ!きっと快く分けてくれるぜ?」


「・・・・・・・」


その場にいた全員が半ば呆れた顔でスピネルを見る。


「な、なんだよその目は・・・・・」


「いや、別の意味でお前の才能を認めたくなったよ・・・・・・その自信家なところは、正直尊敬に値する」


コールの言葉に全員が迷わずうなずいた。


「あ?それは褒めてんのか?」


「ああ、ある意味褒めてるさ。だが残念なことに、その考えはとっくの昔に俺たちの中で消しているんだよ」


「はあ?なんでだよ」


スピネルがコールに聞こうとしたとき、王子が代わりに説明し始めた。


「モルガナイト王がそう易々と血を分け与えるとは思えないからだ」


「どういうことだよ。我らが王は、俺らを家族のように思ってくださっているんだぜ?」


スピネルも、コールと同様、未だに王への忠誠心が残っているようだ。

あまり二人を刺激しないように言葉を選びながら、王子は補足した。


「王は君たちにより強くなってほしくて、薬を飲ませたはずだ。それなのに、元に戻してほしいだなんて言ったら、王は許さないだろ?せっかく仲間が命を犠牲にしてまで得た強さなんだからな」


「ああ、そうか・・・・・」


スピネルは納得すると、コールに声をかけた。


「じゃあ俺らは、仲間のために薬を手に入れるのを諦めるとするか」


「「!?」」


いきなりスピネルが突拍子もないことを言うので、全員困惑した表情を浮かべた。


「待てスピネル、何故いきなりそんなことを言うんだ?」


王子が聞くと、スピネルは首を傾げる。


「お前が言ったんだろ?仲間を犠牲にしてまで得た力を、そう簡単にもとに戻しちゃいけねえってよ。俺もその意見に賛成だ。せっかく仲間のおかげで強くなれたんだ。感情なんてやっぱり俺はいらねえ。シトリンだけで十分だ」


「いや、それはだな・・・・・・」


「確かにな、きっと俺たちは感情を取り戻したところで王への忠誠心は変わらないだろう。だったら、シトリンだけ感情を取り戻せば、仲間の死も無駄にはならないな」


王子は焦った。自分が慎重になりすぎたせいで、思いもよらない方向へと話がそれてしまっている。


「いやいや、俺が言いたいのはな・・・・・」


そこまで言って、言葉に詰まった。

何て言えばいいんだ。適切な言葉が全く出てこない。



感情を取り戻せば、君たちは王を許せないだろう。そして自分自身のことも許せなくなるかもしれない。

仲間と殺し合い、そして憎き王に忠誠を誓った自分が、憎くて憎くて仕方がなくなる。


感情を取り戻せば、きっと自分自身が苦しむことになるだろう。だが、それでもその気持ちに向き合うべきだ。自分のためにも、死んでいった仲間のためにも。


だから・・・・・・感情を取り戻してくれ。そして僕と共にモルガナイト王を倒してより未来を作ろう!



などと言えるわけがない・・・・・・・。



それに、彼らが国へ戻ったら、間違いなく王に殺される。

僕と手を組んで何かをしようと企んでいることに、王が気づかないわけがない。



つまり、自分に残された道は一つしかない。



「いや、シトリンだけではダメだ。二人にも感情を取り戻してほしい・・・・・」


「なんでだ?」



「それは・・・・・・」



君たちの命を守るため・・・・・・と口にできたらどれほど楽だろうか。



「俺らが感情を取り戻しても、取り戻さなくても、どちらにしろモルガナイトに帰るんだぜ?」


「ああ、お前が寂しいって言ってもこの気持ちは変わらない」


いや、変わるさ。絶対に。王への復讐のため、僕につくはずだ。


「お前、前に俺たちに言ったよな。きっと感情を取り戻せば王が憎くなるって」


ああ、言ったとも。絶対にそうなると僕は確信しているからな。


「だがよ、俺らそうなるとは思えねえんだよな。今だって協力関係を結んでいるのは、シトリンに感情を取り戻してほしいって気持ちが強いからなんだ。シトリンさえ戻ってくれりゃあ俺はいいんだよ」


いや、絶対に君たちにも取り戻してもらう。絶対に、絶対にこちら側についてもらはないと、モルガナイト王に勝つためには・・・・・君たちの力が必要不可欠なんだ・・・・・・!



「っ・・・・・・・・!」



いや、待て・・・・・僕は・・・・・・・・僕は・・・・・また・・・・・・・・・・



相手の気持ちを全く考えず、自分の意見を都合のいいように相手に押し付けている・・・・・・

誓ったはずだ・・・・・・彼らのことを優先し、彼らの意見を尊重しようと、そう誓った・・・・・・・



いけない。これでは、また自分の周りから大切な人たちが離れて行ってしまう。


心を落ち着かせるために、深く深呼吸をする。


そうだ、相手の気持ちを考えよう。彼らがそう決めたんだ。これから先、何が起こるか分からない。どんな理由があろうとも、彼らの気持ちにできる限り応えるべきだ。


王子は表情を柔らかくすると、ゆっくりとうなずいた。


「分かった。君たちの気持ちを優先しよう。まずはシトリンの感情を取り戻す方向でいく。だがもし、少しでも気持ちが変わったなら相談してほしい」


「ああ、理解してくれて感謝する」



王子はまた一歩、理想の姿に近づいた。


今回もお読みいただきありがとうございました。

第二部も引き続きよろしくお願いします!

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