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ハットトリック  作者: 北野 ソラ
24/26

第24試合 僕とつきあってくれませんか?

   『第24試合』



終業式、当然だけど成績表が配られる。

僕の成績は中の下・・テストも赤点こそなかったものの科目によっては

補習ギリギリのものもあった。

今日ばかりは岬が同室でよかったと痛感した。

岬はというとクラスの上位で・・・理数系が苦手じゃなかったら確実に

ベスト10に入っていただろう。


終業式が終わると部室に集合させられ、夏休み中の練習スケジュールが

発表された。

合宿や練習試合に普段の練習もスケジュールにあったが土日、お盆は

休みになっていて、どうやら菜月先輩達と海にいけそうである。


「翼、これから菜月先輩と買い物行くけど一緒に来る?」

「僕は遠慮しとくよ」

「今日は練習ないでしょ、一緒に行こうよ!」

たぶん菜月先輩の彼女も来るので初対面になるから一人だと心細いのだ。

「水着買うつもりだから私の水着姿見れるよ」

それはとても魅力だ。

「べ、べつに見れなくていいよ」

「翼のウソつき。目が泳いでるし、どう見ても私の水着姿を妄想してる」

図星だ。今頭の中にビキニを着て真っ青な空の下、海辺の水際ではしゃいで

いる岬を想像していた。

「解ったよ、一緒に行くよ、僕は岬の水着姿見たいです!」

僕がきっぱりと言うと、意外にも岬の顔が真っ赤になっていた。

「翼のえっち・・・」

いつも「私の裸見たい」とか堂々と下着姿を見せたりして僕をからかい

反応を楽しんでいるけど、正面から言われると岬はやはり恥ずかしいようだ。

「み、見せるのは・・・寮に帰ってから・・だから・・ね」

「そりゃ解ってるよ、試着してるところなんか見るのは僕も恥ずかしい

 から」

「じゃあかなり早いけど待ち合わせ場所に行こうか」

「まだ時間あるの?」

「あるよ」

「ちょっと話あるんだけどいい?」

「いいよ、何?」

「ここじゃなんだから・・・そうだ、屋上に行こう」

「えええ、ここじゃだめなの?」

「屋上のほうが人もいないし・・いいかな」

僕が歩き出すと岬もついてきた。

「人がいないほうがいいって・・変なことするつもり?」

「な、なんだい、変なことって?」

「それはもちろん・・・エッチなこと・・・とか」

「するわけないだろ!こんな昼の学校で!」

「へえ、昼の学校じゃなかったら?」

「昼でも夜でもしません」

そうこうしてる間に屋上に到着した。

やはり陽射しは強くて真夏の暑さを感じずにはいられない。

「こんな暑いところで何の話があるの?日焼けしそうだから

 早くしてね」

僕は昨日ベッドの上で考えていた。

夏休みになると寮生活から解放されて自宅に戻ることになる。

当然毎日顔をあわせていた岬とも会えなくなるわけだ。

今日もこれから一緒に買い物に行くけど夏休みに遊びに誘うのは

どうなんだろう?

そう・・僕は岬とつきあっているわけではない。

岬はほんとに僕の事を好きなんだろうか?

もし告白して振られたら・・・


でも、ちゃんと言わなければ。


「あ、あのさ・・」

岬は日陰の涼しいところを探して少しうんざりした顔をしていて

早く屋上から避難したいみたいだ。

「あの・・・岬さ・・・」

「ねえ、言う事あるんなら早く言ってよ」

岬は暑くて不機嫌になってきているのが解る。

僕は意を決した。

「山本岬さん!」

「は、はい」

突然の僕の大声に岬は驚き、かしこまっていた。

「あなたの事が好きです。僕とつきあってくれませんか?」

「へ?」

岬はきょとんとしていた。

「も、もう一回言って」

「恥ずかしいから何回も言いたくないけど・・・僕とつきあって

 くれませんか?」

「い、いや・・・もう私・・つきあってるつもりでいたんだけど・・

 違ったの?」

岬のその言葉で僕は安堵の気持ちになった。

「そうかもしれないけど、ちゃんとつきあってと言葉にして

 言った事なかったから」

少し気恥しくてまともに岬の顔を見てなかったのだが、ふと顔を

見ると不機嫌だった顔が真っ赤になり目に涙を浮かべていた。

「う・・・うれしいよ・・・」

僕はカバンからハンカチを取り出し、岬に渡した。

「あ、ありがとう」

涙を拭きながら途切れ途切れに岬が話し始めた。

「いつも・・私ばっかり・翼に・・好き・・って言ってたけど

 ずっと・・ずっと・・ほんと・・は・・不安だった。

 私なんかが・・女の子じゃないのに・・翼を・・好きに・・

 なって・・ほんとは・・・迷惑・してるんじゃないか・・」

「誰が迷惑してるって言った。全然迷惑してないよ。

 それに僕は女の子として岬が好きなんだ、だから・・!」

ここまで言った時、岬が僕に抱きついてきた。

「翼、大好き!」

「ちょ、ちょっと岬、今もう緊張して全身汗かいてるんだけど。

 それより返事は?」

「もちろんOKに決まってるでしょ!」

「や、やったぁ!」

僕は岬の細い身体を抱き返しながら、小さくガッツポーズをした。


こうして僕と岬は同室の同級生、サッカー部の仲間から晴れて

恋人へと昇格したのだった。














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