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ハットトリック  作者: 北野 ソラ
22/26

第22試合 看病

   『第22試合』



そんな事を考えながら部屋に戻ると、岬が目を開いていた。


「あれ?お母さんは?」

「帰られたよ」

「そうか・・」

僕はベッドのそばに座った。

「体調はどう?」

「うん、大丈夫。それより翼・・授業は?」

「終わって帰ってきたとこ」

「部活はいいの?」

「今日くらい休んで岬のそばで看病させてよ」

そっと岬の頭を撫でると

「ありがとう、嬉しい」

岬がニコッと微笑み、撫でた手を離そうとすると

手を繋いでとアピールしてきたのでそのまま手を

繋いだ。

まだ少し熱があるのか手は暖かいというより熱かった。

「お腹は空いてない?何か食べたの?」

「お昼にお母さんが食堂に行って特別にお粥を作ってもらい

 それを食べさせてくれた」

「そうか、お母さん優しいね」

「あのね・・・聞いてもいい?」

「なに?」

「翼・・・着替え・・させてくれたの?」

少し戸惑ったが、正直に答えた。

「うん、熱があってすごい汗かいてジャージがベタベタだった

 から」

「見た?」

「み、見たって?」

「・・・着替えする時・・・・・胸とか・・裸・・・見た?」

「み、見てないって言ったら嘘になるかな・・。

 悪気はなかったんだ、ほんとだよ、どうしてもタオルで

 身体拭いたりパジャマ着せる時に・・・見えてしまったから」

岬は繋いでいた手を離してタオルケットで顔を隠した。

「ご、ごめんね」


普段はお風呂上りにバスタオル一枚でいたり、着替える時に

下着姿でウロウロしたり、寝る時は下着無しでくっついてくる

くせに女の子の気持ちってやっぱり解らない。


「もしかして・・・・下も見た?」

タオルケットを少しずらして顔を出し岬が訊いてきた。

「見てないよ!あの・・・下着だけの姿は見てしまったけど」

また脳裏にその姿が浮かんだ。

「・・・でも・・・パンツが変わってる」

「最初は僕が着替えしたけど、二回目はお母さんが着替えさせて

 くれたからその時じゃないかな」

「そ、そう・・よかった」

「ほんとにごめん」

「内緒で裸見て・・許さないから」

「殺す?」

「殺さない。バツとしてキスさせてあげる」

全然バツじゃないな。

僕はタオルケットを捲り、岬の唇にそっとキスをした。

「どうしよう・・・また熱が上がるかも」

岬の顔が赤い。

「もう少し寝たほうがいいよ」

「ずっとそばに居てくれる?」

「いるよ」

もう一度手を繋ぐと岬は目を閉じ、しばらくすると寝息が

聞こえてきた。

まだ熱が下がりきってなくて身体がしんどいのかもしれない。

寝顔を見ながら僕は声を出さずに口を動かした。


つきあってください。


やはりこれを今さら面と向かって言うのは照れるなぁ。



それから担任の手塚、井原監督や野村をはじめ、寮生が

様子を見に来たが、岬はぐっすり眠っていてみんな安心して

戻っていった。

夕食はお母さんが食堂の人に頼んでたみたいでお粥を用意して

あり、岬を起こし部屋で食べさせた。

たぶん自分で食べれるのに岬は甘えて口を開けてくるので

僕は「今回だけだよ」と言って食べさせた。

食事の後、体温を計るとまだ37.3度あり、普通の人なら

微熱かもしれないが、お母さん曰く岬は平熱が35度台なので

37度台ならもう一度解熱剤を飲ませてと頼まれていた。

「岬、お薬だよ」

僕が薬と水を用意して渡そうとすると

「いらない、もう飲まなくても平気」

ベッドに横になろうとしていた。

「お母さんが飲みなさいって言ってたよ」

「飲みたくないの、翼が代わりに飲んで」

「僕は熱ないから飲む必要ないし」

これはやはり口移ししかないなと思い、

「岬、キスしようか」

僕は瞬時に薬を飲み、水を口に含むと岬にキスをし、唇が

開いた時に薬と水を移動させた。

「う、ううん」

岬は口の中に何かが入ってきたので唇を離そうとしたが

ゴクンと飲み込むのを確認するまでキスをやめなかった。

「い、今何か飲ませたの?」

「うん、最終手段の口移しで薬飲ませた」

「もしかして・・・朝も?」

「キスして飲ませた」

「翼ひどい!殺す!」

「いいよ、岬に殺されるなら本望だ。でも熱下げて早く元気に

 なってからね」

「ううう・・・我慢する・・早くお風呂に入りたいし・・・

 身体気持ち悪いし・・髪の毛くさいし・・」

「くさくないよ」

「パジャマもう一回着替えたい」

「着替えるっていっても替えのパジャマあるの?」

「・・・ない。翼の・・・着る」

「ジャージ?」

「うん」

僕は岬にはかなり大きめの半袖のユニフォームとハーフパンツを

用意した。

「自分で着れるよね?」

「大丈夫」

岬はベッドから身体を起こした。

「じゃあ少し外で待ってるから」

僕は部屋を出て廊下で待つことにした。

今着替えを手伝ったり、着替えるところを見たりして岬の白い身体を

少しでも見たら理性が保てない気がした。

変な事を考えたらダメだと解っていても、いざ岬のそばにいると

抱きついてしまいたくなる。


5分くらい経った頃に僕は部屋へ戻った。

岬は着替えてベッドで横になっていた。

脱ぎ捨ててあったパジャマを拾おうとすると岬が小さな声で呟いた。

「ごめんね・・・迷惑ばかりかけて」

「全然迷惑じゃないよ」

「自分でもこんな弱っちい身体で情けなくなってくるの。

 嫌いになった?」

「嫌いになるわけないだろ。大好きだよ」

「ほんとに?」

「ほんと。だから早く熱下げて元気な岬に戻って」

「うん」


翌朝には岬の熱は36度台に下がっていた。

お母さんに報告すると念の為もう一日学校は休ませてと言われ、

後で寮にも様子見に行くからと言ってくれたので僕はよく眠って

いる岬を起こさずに一人で学校へ行った。

休んでいる岬の為にもいつも通り授業を受けノートを取り、今日は

部活にも出て寮へ戻った。

部屋に入ると岬はお風呂に入ったみたいでジャージを着て髪の毛を

乾かしていた。

「あ、翼、おかえり」

「ただいま、お母さんはもう帰られたの?」

「うん、午前中に来てお昼ごはん一緒に食べたら暫くして

 帰っていった」

「お風呂入って大丈夫なの?熱は?」

「夕方計ったら36度1分。36度前半だったらいいよって

 お母さんに言われてたから」

「そうか、よかった」

「明日は学校に行くから。寝てばかりいると腰とか身体が痛くて」

「あとで腰マッサージしてあげようか」

「ほんと!でも変なとこ触っちゃだめだよ」

「さ、触らないよ」


岬は元気を取り戻し、翌日から学校にも行けるようになった。

それに合わせるかのように陽射しは眩しくなり、夏本番を迎えようと

していた。


そしてもうすぐ夏休みだ。












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