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かまいたち

当分、遊んで暮らせる金を手にしてフラロウスとルーサーはねどこをちゃんとした賃貸に移すことにした。

オセ「足がつかないか?」

サンジュ「俺がついてくんだ、大丈夫だよ、たぶん。」

アジトにほぼほぼ住んでると言っても過言ではないサンジュとオセはこれからフラロウス達と合流するための身支度をしていた。と言ってもサンジュだけだが。オセも、しきりに体の毛づくろいをして時間をつぶしていた。

猿の亜人が言う多分は80%は足がつかないってことだ、オセはそう信じていた。

オセ「残りのやつでお前さんの足みたくならねぇか?」

多分でやった仕事が失敗して走れなくなった。

サンジュは遠い目をした。現役の頃が懐かしい。

サンジュ「後はアイツら次第さ。行ってくる。」

ネクタイをし帽子を取ると猿は扉の外の景色に消えていった。


猿の亜人が保証人で猫の亜人と人間の子と言う変わった来客に賃貸の会社はざわついた。

ここだと亜人はお断りでして……

オーナーによる差別は予想はしていたが街の中心部に行くほど多かった。残りも法外な賃料を請求するものでとても借りれそうにない。

ルーサー「僕らは貧民街を出たいんだ!」

フラロウス「お願いします、どこかいいところはないですか?」

サンジュ「ここはあきらめよう。」

3人は店を出て街の公園のベンチに落ち着いた。

現実は厳しい。フラロウスは2人に出店で軽食を買って戻ってきた。育ち盛りのルーサーには少し足りないかもしれない。

ルーサー「ありがとう、姉さん。」

サンジュ「そう気を落とすな。次があるさ。」

何事か思案していたフラロウスは決心がついたようでポンと太ももを叩くと二人に向き直った。

フラロウス「私にまかせて!」


シエルは少し困惑した。フラウに賃貸を探すのを手伝ってほしい。保証人になってほしいと頼まれたからだ。

よかったら、一緒に住まないか?

を、グッと我慢した。シエルは人間になめられなくなるまで昇進したら結婚を考えようと思っていた。

シエル『そうだ、俺がケースリーを解決すれば、昇進間違いなしだ。その時に、彼女に結婚を申し込もう。』

そう考えていた。

ボブテイル?そんな迷信、俺は信じない。フラウの短く硬めの愛らしいシッポをみて考えるのは幸せな家族像だけだ。

フラウ「……ねぇ、ねぇってば。シエル、ここなんて良さそうじゃない?」

シエル「そこかぁ。下着泥棒が出る地区なんだよ、実は。」

賃貸を勧めた従業員の、顔が引きつる。成約の決まるチャンスに水ををさされたら誰でもそうなる。

フラウ「さすがは現役の警部さんね!」

その言葉に従業員達の態度が変わった。シエルとフラウはため息をついた。人は見た目で判断する、権威は示さないと知り得ない。そういう世の中だった。

ここがいいと言って、下見にも行こうとした所、シエルはそれを止めた。

フラウ「どうして?」

シエル「その地区は“かまいたち”が……いや、事件に関連してるからこれ以上は言えないんだ。」

フラウ「わかったわよ。」フラウはションボリする。シエルは彼女の頭を撫でて慰めた。


アジトにて、フラロウスはオセとサンジュにかまいたちとは何なのか聞いた。

かまいたち、正体不明の通り魔。そんなものがうろついてる地区がある。フラロウスは奮い立った。

フラロウス「私たちで解決しちゃいましょう!」

オセ「おいおい、俺たちの仕事じゃないぜ。」

サンジュ「いや、犯人には賞金がかかってる。やる価値はあるかもな?」

オセ「本気か!?危険だ!俺は降りる、いや、乗りもしねぇ!」

フラロウス達はふて寝するオセを尻目に作戦をねった。

犯行時間に合わせて女装をしたルーサーにその地区を歩いてもらい。犯人と接敵した所を不可視マントで隠れていたフラロウスと挟撃すると言うものだった。

ルーサー「僕が今度はおとりかぁ。いいね、やろう。」

コレも人のためだ。ルーサーはやる気だった。


普段から美人な方だと思っていたルーサーは女装もすごく似合っていた。

ルーサー「そう?ありがとう。うれしいな。」

ノリノリでウキウキのルーサーを見て、

少し、この子は性癖が歪んでいるのかもしれない。フラロウスは思った。

その地区は通り魔が出るということもあって、夜、通行人は極端に少なかった。

ゼロではない、道行く人は、襲われない自信が顔から滲み出ていた。

フラロウス『うわぁ、個性的な顔ぶれ……』

犯人は性癖に刺さる相手しか襲わない。それ以外は全員ブス認定ということなのだろう。

サンジュが過去の新聞から被害者の背格好、服装なんかを調べていた。それは、新聞では知り得ない、ことまで網羅していた。

フラロウス『カバンの中のゴムの数はいらない情報よね……』

その情報を使って変装してもらったのだ。今のルーサーは犯人からしてみれば大好物に見えることだろう。

ルーサーには防犯グッズの入ったカバンを持ってもらって、しばらく歩いてもらった。

通行人とすれ違う。どう見てもかわいい娘だった。スカートをめくらなければ男だとはバレない。

フラロウス「おや?」不可視モードでルーサーを追尾してるヒゲが時折ピクピクする。

不可視マントにはこのヒゲは反応しないというのに……

フラロウスはルーサーの方を見やった。時折、視界の隅で何かがきらめく。

フラロウス「何?この感じ……」

そこへぶちねこが向こうから走ってくる。

オセ「ショックウェーブ!」ぶちねこのはなった電磁波がルーサーの真横にいた犯人の不可視を解除する。

犯人「!?」バシュンッ!

インビジブル!不可視魔法!ルーサーは驚愕して反応できない。犯人は凶器のナイフを今にもルーサーに振り下ろすところだった。犯人は不可視を解除されて戸惑っている。

オセ「今だ!フラロウス!」

フラロウス「五行剣!金!」

フラロウスは右手でレイピアを抜くと同時に左手で黄色の札を取り出し剣刺すとソレを犯人に向けた。

すると、石畳の道路の隙間から無数のハリガネが伸びて犯人の足を貫いた。

犯人の絶叫がこだまする。

オセ「けっ!ザマァねえぜ!」

間一髪で助かったルーサーはその場に腰を抜かし、ベソをかいている。フラロウスが駆け寄ってルーサーを抱きしめた。

オセ「お前らもコレにこりたら、危ない真似は辞めろ!バカども!」

平静を取り戻したルーサーは横で足を貫かれ苦しむ犯人を捕まえると警察に連行した。

ルーサー「え?!賞金は?」

交番巡査「ですから、ここに住所、氏名をお願いしますって何度も言ってるでしょ?後日、表彰式もありますし。ちょっと、聞いてます?」

流石に、それは不味い。自分の名前は書けるようになったが住所不定だし、家業がアレなので表彰されて顔バレするのはマズイ。

ルーサーは用事があるからと交番から早歩きで逃走した。

結局、かまいたちの犯人は捕まったが、フラロウス達に実りはなかった。

オセ、サンジュ、フラロウス、ルーサーは深いため息をついた。

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