深層
ソープ邸襲撃事件のキョウジツが取れた。
男たちの証言、ソレを読んだシエルは言葉を失った。
シエル「……。」
ローラ「痛ましいですね、まさか幼女が……。」
あぁ、神様。何故、我々を作った。
猫型亜人。我々は、発情期が定期的にある。その期間以外の性交は苦痛でしか無い。どんなにその子はつらい思いをしたのだろう。
シエル「……ひどすぎる。」
俺達の世代で、世界を変える。そのイシでシエルは警部にまでなった。父と貧民街を抜け出し、苦学の末、巡査になり、人間の上司、ゴドウィンを利用し利用されココまで来た。
俺のコレまでの人生ではまだ世界は変わってなど居ない。ソレを叩きつけられる思いだった。
シエル「奴が、ソープをボコボコにした理由……。」
そんなものを見たら誰だって激昂する。
俺もそうするだろう。シエルは自分の震える手を見た。
ガチャ!
慌てて警察官が入ってきたが、シエルは放心状態だった。ローラが対応し話を聞く。
ローラ「……そう、渡しとくわ。ありがとう。」
ローラがそう言うと警察官は部屋から出た。上を向いて座る上司の机にローラは報告書を置いた。
ローラ「警部、かまいたちが捕まりました。」
その言葉にシエルはガバっと反応して報告書を取った。食い入るようにソレを見る。
シエル「不可視魔法、インビジブル……?そんな物があるのか?」
シエルはコレまでの魔法、呪物が関与している事件からケースリーの人物像を導き出そうとしていた。
シエル『奴は極悪人ではない、なにかセイギのために動いている。』そんな気がしてならない。
シエル「やつ?何故、俺はヤツを単独犯だと今まで考えてたんだ。そうか、今回のケースリーはグループなのでは?」
そう考えると辻褄が合う。ロープなんてコレまでの事件ファイルに登場してこなかった。
シエル「ダイガワリ。」そうか、新人。魔法や身体能力がまだ未熟な奴を育成してるんだ。奴らには教育係がいる。犯行は複数で行っているんだ。
シエル「見えてきたな。真相が……。」
俺が事件を解決する。そしたら、亜人への偏見はなくなる、亜人の人権は変わる、このクソッタレな世界を変えてみせる。
フラロウスは結局、賃貸を借りずにねどこで暮らしていた。万年床のベッドの上で仰向けになりながら天井のシミを数えていた。
その横でルーサーが新しく買ってきた赤いバラをあしらったブラを試着している。
ルーサー「どう?姉さん?」
フラロウス「似合ってる。私のはかさなくていいわね今後は。」
チリーン
フラロウスの頭の中で音がする。何かが近くに来るとなる。私だけの生まれつきの能力。
部屋の入り口。扉を爪でひっかく音がする。
フラロウス『オセ?』
オセ「アジトで待つ。」そう聞こえると気配は消えていった。
ルーサー「なんだろう?」
フラロウス「仕事の話じゃない?私、サンジュの匂いが苦手なのよね。」
気は進まないが、二人は支度をした。
アジトに着くとサンジュが深刻そうな顔をしていた。
サンジュが腕を組んでいつもの椅子に座っていた。
フラロウス「どうしたのよ、しけた顔がもっとひどくなってるわよ?」
サンジュ「リサがやられた。」
!あの魔女が?フラロウスは動揺した。
サンジュ「正確にはまだ生きてるが、半身がなくなってる。今後、大がかりなパーツの仕入れが必要になるだろう。」
オセ「リュプケのとこか。」
サンジュ「そうなる。あれはもうグレダではどう仕様もできない。」
魔女の固有名詞かな?猿と猫の会話についていけず、フラロウスとルーサーは自分達で結論をつけた。
フラロウス「で?誰がやったの?」
サンジュ「この前の禍津神だ。俺たちでリサを半殺しにしちまったようなもんだ。」
ルーサー「どうして?!あれは人のためになるんじゃなかったの?!」
ルーサーは声を荒げた。
アジトは倉庫街の使われてない倉庫の中だが、騒がしくするのはまずい。フラロウスがシーッと人さし指を口に当てる。
サンジュ「リサを消そうとしたその魔女はまだ捕まってない。今後、禍津神を使って何かしでかすぞ。」
オセ「幽世だけで済めばいいがな。」
フラロウス「そんなのが現世にやってくるの?やばくない?!」
ルーサー「どうしよう、僕のせいだ。」
一同は事の深刻さに言葉がでなかなった。サンジュが、とりあえずと前置きして話し始める。
サンジュ「換金所はリサの代理が引き継ぐから、機能は維持される。が、俺たちにも責任がないわけでもない。」
現世に現れた時は対峙しないといけないだろう。
シエルは久しぶりにゴドウィンに呼ばれた。
対策本部は設置したが、幽世に詳しい者、魔女がまだだった。今日の話は多分そのことに関してだろう。
シエル「ゴドウィン警視監。」
ゴドウィン「来たか。入り給え。」
シエルが中に入るとゴドウィン警視監の横に見知らぬ女性が一人立っていた。腰まで伸ばした長い黒髪、デカい腰を強調するシルク生地の黒いロングスカートのワンピース……
魔女か?
???「何よ、ミリシャじゃない。ゴドウィン、貴方、変なのを使ってるわね。」
ゴドウィン「クローサー。彼は優秀な部下だよ。シエル、紹介しよう、我らの協力者、魔女のクローサーだ。」
血の匂い。
シエルはクローサーから何か良からぬものを感じ取っていた。
『気を許したら食われるぞ。』シエルの中の誰かが警告する。
クローサーはシエルを見てニヤニヤしている。
猫型亜人はその昔、魔女に生贄にされていたと聞く。ほんとかどうかは定かではないが……
クローサー「そう構えるなよ、ミリシャ(猫型亜人の古い俗称)。仲良くしよう。久しぶりにできた現し世のトモダチなんだ。シシシw」
魔女はゴドウィンにもたれかかる。尻に敷く。そんな感じだろうか?ソレについてゴドウィンも何も言わない。
彼らの関係が見て取れるようだった。




