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古の箱

サンジュ「今度の仕事はルーサーがメインだ。フラロウス、サポートしてやれ。」

アジトにいつもの顔ぶれが集まる。今度の仕事の打ち合わせだ。しかし、猿の亜人はいつもとは違うことを言い出した。

ルーサー「僕がメイン?」

フラロウス「私が7代目、黒のサクラ猫でしょ!?サポート?意味がわからないわ!」

フラロウスは憤慨して腕を組むとそっぽを向いた。

それを高く積み上げられた荷物の上から香典座りをしていたぶちねこがなだめる。

オセ「頭を冷やせフラロウス。お前の肩を持ちたいが今回のは仕方ないのさ。」サンジュが頷く。

サンジュ「狙うのは古の箱と呼ばれる曰く付きの代物だ。魔術耐性のあるやつじゃないと無理だ。その点で言えば、魔女が入っているルーサーなら大丈夫と思う。」

フラロウス「何よ、その曰くってのは?」

サンジュ「禍津神だ。呪いの類さ。」

フラロウスには何のことか分からなかったが、禍津神という言葉を聞いた瞬間、背筋が凍り、ボブテイルが逆立った。ゾワッとするとはこのことだろうか?

オセ「この話やめとこうぜ。サンジュ。嫌な予感がする。」

サンジュ「この前、失敗して。今回、断った。なんて話が広まれば、今後、俺たちに仕事は回ってこなくなるぞ?」

その言葉にオセたちは黙った。禍津神に関わったものは不幸になる。だが、背に腹は代えられない。仕事を受けるか、受けないか、はルーサーの意思に委ねられた。

ルーサー「ソレは人のためなの?取り返さないといけないものなの?」

サンジュ「さあな、少なくとも、依頼主の魔女は待ってるだろう。」

ルーサー「そっか。なら、僕やるよ。その人のためだもん。」


のどかな農村が続く街道に設置された道の駅に隣接された地域の歴史資料館にそれは置いてあった。表札には魔の封印された箱として展示されている。白地に赤字の札が何枚も貼られている。フラロウスとルーサーは観光客を装って資料館の下見に来ていた。

見回りが多い。

夜はどんなだろう?

昼間の半分くらいだろうか?

歴史資料に目を通すふりをしてフラロウスは考えていた。

ルーサー「姉さん、これ見て!可愛くない?!」

ルーサーは楽しそうにおみやげコーナーの焼き菓子を手に取っている。ひよこ?

フラロウス「いいわね。オジサンに買って帰りましょう!」


サンジュはフラロウスたちが買ってきた、ひよこを模した焼き菓子をパクパク食べていた。案外、甘いものは好きらしい。オセもソレを羨ましそうに見ていた。

オセ「俺のはこの鈴かよ……。」変なカタナがついている。ルーサーのチョイスだ。

ルーサー「お守りだってさ。オセは心配性だからね。」

あんがとよ!オセは不満顔だったがルーサーは得意げだった。人に喜んでもらえるのが、彼の喜びなのだろう。

優しい子だ。フラロウスはそう思った。

サンジュ「いや、うまかった。ありがとう。」

フラロウス「どういたしまして?」

ひよこの焼き菓子を一箱平らげたサンジュは空箱をどかすと机に資料館の間取り図を広げた。

サンジュ「フラロウスは道の駅側から進入。レジの中の金を漁れ。時間差で裏口からルーサーを入れる。フラロウスは警備の目を引きつけろ。その隙に、ルーサーが箱を盗む。」

フラロウス「私、囮じゃない?」

猿は片眉を上げた。

サンジュ「不満か?」

フラロウス「いいえ?人間どもに亜人の力、見せてやるわ。」


決行当日、夜はあいにくの曇り空で星どころか月も出てない。魔法のお面には暗視モードがついていて、暗い夜でも周りは明るく見れた。

フラロウス「文句をつけるなら、たまにノイズが入ることかしら?」

フラロウスが言うには、たまにこの世のものではないものが映り込むことがあるという。

オセ「魔女が作ってるからな。つか、そんなもん怖かねーだろ。捕まえようともしないし、追いかけてもこないんだろ?」

確かに、フラロウスとルーサーは納得した。

サンジュ「時間だ。行って来い。」

猿の合図とともにフラロウスは店内に侵入する。

ルーサーは裏口に回ると合図を待った。

ガシャン!道の駅側から音がする。「行け。」ピッキングで素早く扉を開け中に侵入する。

すると、ルーサーの耳に声が聞こえる。

よく来た、こっちだ。

サンジュ?オセ?フラロウス?どの声でもない。警備員がフラロウスを追いかけ、店内は手薄になった。

早くしてくれ。ここを開けろ。

幻聴はやまなかった。ルーサーが展示扉を開けると箱から小さな腕のようなものが出ていた。一瞬、取るのをためらった。

ありがとう。

声の主は喜んでいる?ルーサーは箱を取って外に脱出した。


道の駅からアジトに戻るとサンジュはルーサーから素早く箱を受け取ると何も言わずに換金所のある扉に入っていった。

フラロウスはねぎらいの言葉もかけないその態度にへそを曲げた。

フラロウス「結構、大変だったんですけど?!」

オセは後ろ足で首をかきながら答えた。

オセ「フラロウス、あれは呪いの品だ。普通とは違うのさ、サンジュも気をつけて取り扱ってたの見ただろ?」

しばらくするとサンジュは大きな袋を抱きかかえて帰ってきた。

オセ「成功報酬は額面で確認してたが、実際、見るとすげーな!」

サンジュ「お祓い代も含めての金額だ。ルーサー、お前は特にちゃんと祓ってもらえよ。」

ルーサー「わかったよ。」

フラロウス「早く分けましょ?」皆は久しぶりの成功と多額の報酬に浮かれていた。


シエルは郊外の道の駅の窃盗事件の現場検証に来ていた。規制線の向こう側に見える道の駅の大きな窓ガラスは内側から割られていた。

中に入り、取られた物を確認する。

レジの現金と箱である。

シエル「箱?そんなものどうするんだ?」

その箱が置かれてあった歴史資料に目を通す。

シエル「……こんなものがここにあったのか。」

シエルはおみやげコーナーを物色していたローラを連れて警察署に戻った。

ローラ「ひよこ、一箱もらってきましたよ!警部!一緒に食べましょう!」

あとにしてくれないかなぁ?とは思ったがシエルは女の人の押しには弱かった。

一匹(?)口に入れてからローラに指示を出した。

シエル「この前のブローチの件とソープ邸襲撃事件のファイルを持ってきてくれ。」

この件との類似点を探る。

きっとこれも奴が関与しているに違いない。

ケースリー

何十年も現れては消え、現れては消えを繰り返している難事件を俺が解決してやる。

シエル「俺がやるんだ、シエル。」



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