第9話 幻想跋扈の古都《洛陽》 Act5 相性、そして落日
〖スイッスイッスイスイ~♪ スイッスイッスイスイ~♪ スイッスイッスイスイ~♪ スイッスイッスイスイ~♪ 私は~元軍人さ~ん♪ きゅるるん♪ スイッスイッスイスイ~♪〗
〖そろそろ彗様の配信スタートだあぁ!〗
〖この配信のオープニング曲相変わらずクセになるね〗
〖……まさかこの終わってる時代に洛陽の全貌が見れるなんて思わなかったな〗
〖でも本当に麒麟なんて伝説の生き物っているの? 慧様の何かの企画じゃなくて?〗
〖何はともあれ、俺達。慧ちゃんファンは配信が始まるまで大人しく正座待機するまでだ〗
◇
〖ハワワワ(ヽ(´Д`;≡;´Д`)丿 不味いです~、配信予定時刻通りに洛陽に突入して、生配信スタートの筈が。何で謎の敵さんが現れるんですか~、アイはどうすれば良いんでしょうか?〗
ブオンッ!
『構わないから生配信をそのままスタートさせなさい。千機 慧専属のA.I.。これは命令よ。従わなかった場合。千機 慧の罪が更に重くなわ』
〖……あ、貴女は天理さん。何で貴女が慧様の専用回線に介入出来るんですか? それにいつもいつも慧様を苛めて、昔はあんなに仲良く…〗
『五月蝿いわよ。たかだかA.I.の分際で人様の関係に口出ししてるんじゃないわよ。もう良いわ。私が生配信を初めてあげるわよ……シンとの感動の再会シーンからのスタートでね……パチンッ!』
〖あー!(*_*) 何かってに慧様のデバイスにハッキングして……配信を初めてるんですか~〗
『フンッ! せいぜい今回の生配信で登録者数を、減らすといいわ……ブツンッ』
◇
〖ん? 配信いきなり始まったぞ?〗
〖こん彗~……あれ? いつものかけ声無し?〗
〖配信画面には謎の黒髪のイケメン? 誰?〗
「お、お前。俺が話している間に間合いを詰めて、両手を握って拘束するとは」
「? 拘束? 何言ってるの?」
〖ああ、そうか。麒麟戦前に邪魔が入ったの……か?〗
〖……あれ? コイツ確か、国際手配されている蒼龍じゃないか? 上海奪還作戦勝利の生き残りの1人の〗
〖蒼龍……シン? 迅速のシン? このイケメン君が? そんな子と慧様が手を握りあってるなんて……尊すぎるんだけどおぉ!!〗
〖……いや。蒼龍 シンの方はやる気満々なんじゃないか?〗
「……仕方ないね。水晶剣……生配信の邪魔をするなら戦うしかない」
〖ほら。慧様が双剣を構え始めた〗
〖麒麟戦の前に蒼龍 シンとの闘いが見れるって事?〗
〖マジ?!〗
◇
〖も、もう。ヤケくそです(>д<*) ハ~イ~! 皆さん。こん彗彗~! 慧様専属A.I.のアイちゃんです~〗
〖こん彗~\(^_^)(^_^)/ アイちゃん?〗
〖アイちゃんが最初に挨拶した?〗
〖アイちゃんキターッ!〗
〖なんとなんと。今回の目的地 《洛陽》に入る前に敵さんと鉢合わせしちゃいました。なので戦闘中の慧様な代わり、生配信の始まりの挨拶は超有能A.I.のアイちゃんがさせて頂きました~!〗
〖な、成る程……〗
〖蒼龍 シンとマジで戦うの?〗
〖おお! レッツハプニング!〗
〖はい! ではでは、今回は戦闘モードの慧様を確りとご堪能下さいませ~〗
「……水晶剣。魔核加工技術で造られた伸縮性自在な剣か。5年の上海開放戦の時もそれで上海竜種を切り刻んでいたな」
「よく覚えているね。でも安心して、対象を切る事は私の任意で決める事が出来るから。切られても傷は付かない……痛みはもの凄いんだけどね! 〖水伸撃〗」
「ちっ! 大人しく所持してる魔核を渡せば良いものを。《 発速》」
「速い? 簡単に避けられた?……いや、当たり前だよね。迅速なんて二つ名で呼ばれる君の走脚魔法はさ」
「フン! 当たり前だ。俺はお前の様な大規模な戦略型の魔核師ではなく。起動や一転特化戦術型の魔核師。だからお前かどれだけの大規模攻撃をしようと、俺はこの迅速で……」シュンッ!
「消えた?……いや! 後ろ! 水縮……」
ムニュッ!
「直ぐに間合いを詰め……お前の身体に攻撃を……へ?」
「シン君の……エッチ」
〖……ウオオォォ!!(`Δ´)(`Δ´)(`Δ´) あのシンてやろう。許さねえー!〗
〖彗様の胸を揉みやがったぁ!〗
〖ファック! ファック! ファッーク!! シン!!〗
〖……凄いです。麒麟戦が始まる前にこんなに盛り上がるなんて〗
「す、済まん。い、いや、これはたんなる事故で……」
「うんうん。シン君も男の子として成長したんだね。エッチな男の子……?! シン君離れて!」
「は?」
ゴロゴロ……ドガアアアンン!!
『ルオオオオオォ!!』
「……どうやら見つかっちゃたみたいだね」
「……雷獣・麒麟」