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第10話 幻想跋扈の古都《洛陽》 Act6 破裂と流動


古都〖洛陽〗南方──龍門石窟りゅうもんせっくつ


「雷獣・麒麟が動いた?! あり得ない。あの慧が気配を気づかれるなんて……何か邪魔が入った? まさか例のテロ組織か?」


「近江副官。緊急のご報告がございます! 《漢魏洛陽故城》方面より未確認の敵対勢力が稲荷いなり曹長の部隊と混戦中との事です」


「何だ? このタイミングで、たくっ! 何故、慧の配信に退役した蒼龍が映っている?……まさかアイツが麒麟を呼び寄せたのか? 慧とぶつける為に」


「あ、あの近江副官。稲荷いなり部隊への対処はいかが致しますか? 何処かの部隊に援軍に……」


「いや、私が直々に行く」


「はい?……近江副官がですか?」


「蒼龍 シンが現れたという事は、その相棒も来ているのだろう。変化の魔核師。リリア・バスディーユが」



「くっ! 皆さん。あまり彼女の間合いに入らないで下さい。捕えられると、何かされるか分かりませんので」


「「「「はい! 稲荷隊長」」」」


「若い。若い。皆さん。お若いねぇ……鎖国家で人口が減り続けてくせに、魔核騒動がある度に軍人を大動員して皆死んじゃったからねぇ。そりゃあ10代、20代の可愛くて若い子がこんな危険な魔核領域テリトリーなんかに来なくちゃいけなくなんわけだねぇ」


「流動性のある不可思議な物質に身を包み、触手を使いながら私達を近付かせない液状能力。そして、その独特の顔の切り傷……国際指名中のリリア・バスティーユ。危険度レベルCです……キャアアア! 触、触手が足に?!」


「へー、私もだんだんと有名になってるんだねぇ。じゃあ、私もお返しねアンタの知っている情報を話そうっと。稲荷いなり アイナ 獣化魔法が得意の魔核師で……へー、過去には千機 慧の直属部隊、零番隊に所属して……それを良い事に千機 慧の寝室に、毎夜毎夜忍び込んでは添い寝していた?」


「空中に吊るされたら。私の下着皆に見えちゃ……へ? 何で私の秘密を?」


「「「「はい?」」」」


「……まだまだあるな。千機 慧の下着を盗んで家宝にしてる。九条何たらとかいう奴と休日は慧ちゃんグッズをショップで勝手抱き枕にしている……お前。だいぶヤバイな。感情を読む奴間違えたか?」


「い、いやー! い、言わないで下さい。私の尊厳がぁぁ」


「稲荷隊長。1人だけズルい!」「わ、私も千機大将と一夜を共にしたいです」「こ、今度、一緒にグッズ巡りしましょう!」「……良く見たら稲荷隊長のパンツ。慧様がはいていたものじゃない?」


「……何でその部下もそんな事、知ってるんだぃ? 日本帝国軍ってあれかい? 変態しかいないのかい?」


「だ、誰が変態ですか。千機大将が好きな人何て日本帝国中にいっぱい入るですから!」


「いや、そんな力説されてもねぇ。シバさんも昔はこんなんだったのかねぇ……ハァー、あの人からは一般の帝国兵はあまり傷付けるなって言われてるしねぇ。アンタ等逃げて良いぜぇ。私の本命は後ろに入るあれだからね」


「……あれ?」


 役1キロ程離れた司令部からドンッ!っと言う発泡音が聴こえ、リリア・バスティーユの直ぐ近くへと届く。その瞬間、1人の女性将校が銃弾の中から姿を現した。


「吹っ飛べ。リリア・バスティーユ。《破裂弾》」


「キヒッ! 来たね。本命。近江 夢愛ユメ……戦術型魔核師さん」

「近江副官?!」

「おっと! アンタ等。ここは危険だからねぇ。さっさと逃げなよ……この女は戦場では敵味方関係なく暴発するからね。《防液》」


 リリア・バスティーユは敵である筈の稲荷部隊の身体に黒い防御膜を張り。近江 夢愛が放った破裂弾の攻撃範囲から外へと追いやった。


バキンッ!


 破裂弾がリリア・バスティーユの覆う黒い物体に接触した時、大気か震える程の爆発が起こった。


「……質問に答えろ。リリア・バスティーユ。何故、稲荷いなりを逃がした? あの娘なら私が破裂弾を回避し、部下達と共に後方へと離れる事が出来たぞ」


「コホッ……アンタはもしもを想定してないのかい? 私が粘質から硬質に能力を変えていたら、あの変態狐化ちゃんは逃げられなかったろうよぉ」


「誰が変態狐化ちゃんですかぁ!!」


「キヒッ……元気そうで何よりだねぇ!」


「お前…私達。日本帝国軍を襲撃に来たんじゃないのか?」


「そんな事、すればアンタ等の国と私等の組織が戦争になるじゃないかぁ。あの人はそれを望まないよぉ。黄魔核を所有する大国様とドンパチやる程、うちの組織は強くないしね。だから、私達はお強い国の戦術型魔核師を倒すか、仲間にするかで戦力を増やしているんだよぉ……スカウトに来たよ。近江戦術型魔核師さん……私達。黄金旅団で新しい未来を共に歩もうよぉ」


「スカウト?……ふざけるな。何故、私がそんなテロ組織なんぞに」


「キヒッ……今はそうでも戦っていれば。私と理解するよ。このデストピアな世界の可笑しさにさぁ」

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