第13話 幻想跋扈の古都《洛陽》 Act9 最強の力
あれ程、強者に見えた雷獣・麒麟が、目の前でまるで弱者の様に扱われる。
ああ、そうだった。数年距離を置いていたから勘違いしていたんだ。
俺の目の前に居る十代半ばの少女は日本帝国が誇る最強の軍人なんだと。
◇
「少し本気でいくよ。麒麟幼女ちゃん。三斜晶・慧起動……方位水晶」
《彗昌・六結》内に内包されている、私、専用の武器。三斜晶は7つ結晶系の1つで、魔核技術を利用して瞬時に鉱石結晶を創り出す力。
私はそれを使って、その場に必要な結晶体……電気を絶縁する鉱石。バラ輝石を創り出して、麒麟幼女ちゃんが放出する電気を全て絶縁し、地上へと逃がした。
『余の雷撃が……地下へと吸収されていくだと? 纏わり付く鉱石で身動きも取れぬ』
「ふふん。良く考えたでしょう。雷の大元を出す。貴女にバラ輝石。つまり絶縁体の鉱石結晶を地上の大地に繋いで、雷……電気を逃がしたんだよね。アイ……お願い」
〖はい。慧様……偽装動画チャプター機能を起動。雷獣・麒麟討伐動画を人工A.I.により生成。生配信動画と切り替えに成功しました〗
「ありがとう。本当は討伐が一番の優先事項だったんだけどね。貴女のその強さ。私に貸してもらうよ」
『何? 娘。貴様、何を勝手な事を抜かすか。余はまだまだ戦え……』
「そんなのもう無理だよ。だって私が少し本気で戦ってるんだもん。だから貴女は私に調伏されるしかないの……赤魔核。雷獣・麒麟を収納して」
(……YES)
「赤魔核だと? 千機 慧。やはり、お前が旧中国領の本物の魔核…」
ドスッ!
「ゴメンね。シン君。これについては教えてあげられないんだ。だから赤魔核の事は記憶から消してね」
「千機 慧……やはりお前は千機家か。世界の謎を知って……」ドサッ……
『最後まで弱気者だったか。侵入者……そして、この余もそれに該当するとは』
「貴女とは他の子達よりも相性が良さそうだから、今度からこき使ってあげるからね。雷ちゃん」
『……おい。待て、貴様。今、何と言った? こき使う?……雷ちゃんだと?』
「雷獣・麒麟の調伏をここに……これをもって、古都 《洛陽》の地は人類側へと戻る。中国の繁栄を再び……人類の栄光をここに。万象彗星」
洛陽の空に赤色の結晶が降り落ちる。それは汚染された魔核領域を浄化する力。滅びへと向かおうとする人類を救う、千機 慧の浄化の力。
◇
龍門石窟
「うおぃ! うおぃ! オイオイ。何だょ。あの青色の光は……シンの奴。何やらかしてるんだぃ。助けに行かないとだねぇ」
「おいッ! 貴様、どこに行く気だ。あの誘いはどういう意味だ?」
「言葉通りだけどねぇ……よく考えてよぉ。新国連の滅びを選ぶが、シバさんが思い描く人類の救済を選ぶかね。それじゃあ。バイバイ……」
「待て! 貴様! それはどういう意味…消えた? いや、身体を粒子に変えて、わざと風に飛ばされたのか……これからいったい何をしようとしていんですか。シバさん」
◇
『くっ! こんな筈ではなかった……ここは一端引かせてもらおう』
「あっ! 待って!」
〖ウオォォ! 良いところで逃げれたか(゜_゜;)〗
〖追いかけるみたいだけど……あれ以上。内部に入ったら接続切れるんじゃなかったっけ?〗
〖マジか。じゃあ、配信はここまで終わり?〗
「ハイハイ~! その通りです~! 皆さん。今回も慧チャンネルを見て下さりありがとうございました~! 今回は戦闘中の慧様に代わり。このアイが最後の挨拶をさせて頂きます~」
〖俺のアイちゃん。来た!〗
〖いや、私のアイちゃんよ〗
〖済まん。アイちゃんはもう。俺隣に……おっと。誰か来た様だ〗
〖ハ~イ~! 私は皆さんの心に常に寄り添っております~! ではではまたの生配信でお会いしましょうね~ 千機ュー《センキュー》です~!〗
〖〖〖〖〖千機ュー《センキュー》〗〗〗〗〗
───ブツンッ!
千機 慧のDelivery Front《配信前線》 現在の登録者の150000人
幻想跋扈の古都《洛陽》
終




