生きたい理由
その頃クローブは、のろのろと街を歩いていた。
「はぁ……、飛び出したはいいけどどうしようかな……」
どうしようもこうしようもまた同じ生活に戻るしかない。
スリや盗みをして泥を啜りながら家の軒や下で眠る。
だが久々に触れた人の暖かさは、こびりついて離れない。
「母さん、父さん……」
優しいがちょっと恐い母親も、厳しいが面白かった父親もこの世にいない。
この街に着く途中で魔物に襲われ自分だけが生き延びた。
比較的裕福な家庭だったのに、その日から真逆の生活を強いられた。
それでも魔物に襲われた馬車から何とか逃げたとき、深手を負った両親は生きろという言葉を残して死んでいった。
だから生きていたいでも久々にあの温もりをくれたアイツらに迷惑をかけたくない。
「イテッ」
下を向いて歩いていた為他の歩行者とぶつかり、慌てて上を向くとその顔に見覚えがあった。
「んっ? よく見たら前に俺のサイフを吸った小僧じゃないか」
そうだ思い出した。
この街に来て初めてサイフを摺った相手がこの男だ。
初めてなので隠すのが遅れて気がつかれて慌てて逃げた。
「なんだお前こんなガキに摺られたのかよ。ダッセー」
「本当にお前馬鹿だな」
連れであろう二人組の言葉に摺られた男の顔が真っ赤になる。
「くそ! お前のせいで俺は笑われてばっかだ」
突然襟を掴まれ首が締まる。
苦しくて咳がでた。
「いいこと考えた。コイツで遊ぼうぜ。どーせ、孤児だろ」
「いいなそれ」
「それじゃ、場所貸すよ?」
話の内容から自分の身が危ないと、暴れるが脇に抱えられた為に抜け出せない。
「はーなーせー――――!!」
「うるせえな。一回黙れ」
頭を思いっきり殴られ痛みと少しめまいがする。
「よし、うさはらしにいくか」
そこでクローブの意識が落ちていった。




