一番強い奴
"冷たい"と感じて目を開けるとそこは暗いが広い場所だった。
体を動かそうとすると足が動かず、体を丸めて足首を見ると手錠が足についている。
「起きたな化け物」
化け物とは誰のことだろうと周りをみるが3人組と自分以外だれもいない。
「まさか亜人とはな」
「亜……人?」
「人間に似た別の何かのことだよ。君は狐の亜人みたいだね。帽子がとれて耳が見えてるよ」
手は自由なので頭を触ると久々に自分の耳を触った。
「亜人は、体が丈夫だから痛めつけてもすぐに回復するよな」
「確かそうだったな。それで最初はどこを狙うんだ? 顔か??」
男達は笑って相談している。こんなやつらに捕まるなんてヘドが出る。
「顔は最後にとっとけよ。顔が腫れすぎたら痛がってる顔が見れなくなるだろ」
「確かに」
逃げるか?なんで腕を固定しなかったのかわからないが腕が空いていれば逃げられる。ただどのタイミングで?
「腹当てればいいんじゃねぇ?」
「俺はお前腹殴ってるとき、抑えててやるよ」
何の話をしだしたんだ?
「よっしゃ、ちゃんと腕押さえておけよ」
「しゃーねーな」
キケン
それが頭を占め始める。
俺は逃げるタイミングを間違えた。
今、何が何でも逃げないと危ない。
「さて、どーだかなっ!?」
腰を屈めてきた男の急所を腹筋を使って思いっきり蹴りつけた。
男は蹴りつけられた場所を押さえて跳んでいる。
自分でやったのに俺も痛い。
「おい、大丈夫か?!」
一人が蹴られた男にかけよる。俺は近くにあったものでなんとか立ち上がった。
「ガキだと思って舐めすぎたな。水の乙女は心を無くし」
呪文? かと認識した時足元が光り出す。足元に小ぶりだが魔法陣が浮かんだのを認識した途端に足が動かなくなった。
「涙は戒めの鎖となる」
そのとたんに腰まで氷に覆い尽くされた。
「中級魔法!?」
「お前みたいなガキには使えないよな。中級学校でないと習わないから」
確かにこの生活を始めてから中級学校に行っていない。でも一撃必殺技くらいあるんだ!
「我運命の船に乗るもの恵みの風よ。吹け!」
唱え終わると風が吹き荒れ、ガラガラバリバリと音がすると屋根が吹き飛んだ。
「まさか血触魔術!?」
「へん!そうだ!もう一回食らいたいか?」
男が押し黙るが蹴られた男を看ていた男がニヤリとして俺を見る。
「詠唱が出来なきゃこっちのもんだろ」
そういうと男は俺を殴る、頬が痛い逃げたいけど足が凍って動けない。
予定では驚いたあいつらが逃げて初級魔法で氷をなんとかするつもりだったのに。
「痛くて詠唱出来ねーだろ?」
「痛くないね。あんた、足腰出来てなさすぎ」
実は痛いけど父さんは言ってた。
世の中には三人の人間がいる。
一人目は心が強い人。
二人目は志が強い人。
三人目は体が強い人。
実は体が強い人が一番弱くて一番強い人は心が強い人だって。
この人達は、たぶん三人目の人。だから心を強くもってなきゃ駄目なんだ!
「痛がりもしなけりゃ泣きもしないのかよ。面白くねぇ」
そのまま飽きて帰れ。
「どうすっかな」
「拷問でもすればいいんだこんなやつ」
「拷問か、指の骨一本ずつ折るか?」
なんてことをいいだすんだ!
殴られるのは我慢できるけど拷問は嫌だ!
誰か助けて!!
「いたっ!」
いきなり明るくなり目が痛くて誰なのかわからない。ただ誰かに似てる気がした。
「誰だお前」
「私は、その子どもを買い取る予定なんですから。返してもらいますよ」
「ユ……グ」
なんでこんなとこに来てるんだ。
邪魔な奴なら来なくていいのに。
「買い取る? 何こいつ人身売買でいくらで売ってるわけ??」
「人身売買など行っておりませんよ。価値をつけるなんておこがましい。クローブ取引をしましょう」
「うん」
俺は、口の中が痛いけど頑張って返事した。
「あなたに三つ選択肢をあげます。一つ目は私の店にいく、王都に店舗があるので乗り合いに乗り一人で行ってもらいます。二つ目はベルの店にいく、安全性と快適さは保証します。」
三つ目は、スリに戻るなのかな出来るなら俺は……。
「三つ目は私と旅にでる」
旅!
「一緒……行く!」
「じゃあ、交渉成立。お前は私の商品です」
商品? ってもの??
「ですからあなた達は、その子を離しなさい。さもないと痛い目にあいますよ」
「お前みたいな奴簡単に倒せるってっの!」
ユーグに近い男が拳をユーグに向ける。危ないと思って目を瞑った。




