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トラブル娘を仲間に入れる

「ウィレーム様。本当に私についてくるつもりですか?」


「陛下のためならば例え火の中水の中、毒蛇の巣にさえ行く覚悟がある」


この騎士どんだけ王様大好きなんだ。


「どうすればいいんですか? 私はただの商人。物と人を使うことは慣れているが魔王を倒すなんてとても……」


「その割には指に剣たこがあるな。そなた相当使えるほうではないのか」


「商人は商品に命を賭けますから。盗賊、魔物、山賊、泥棒、獣、海賊、女などから商品を守る腕前くらいはあります」


「最初の例えはよくわかるがなにゆえ、か弱い女性も入るのだ」


「私、女性が苦手なんです。一人じゃなんにもできないのに数が集まると強気になっていじめる。まあ例外はいますが例外はあくまで例外です」


「そうか? 私は見たことがないが」


そりゃそうだ。自分を売り込みたい女が自分の評価を下げるような態度をみせるはずがない。そこらへん変にプライドを持った男よりもそういう女は現実的な考えを持っていると言える。


「ウィレーム様がその光景を見たいなら一度生まれなおさないと駄目だと思いますよ」


「どういう意味だ?」


この騎士無自覚にも程がある。短く揃えられた銀髪に意志の強そうなグレーの瞳。騎士として鍛えあげられた体躯は、男の俺から見ても格好いい。


「ウィレーム様は、安定職でかつ男前しかも若いから優良株ですよ。襲われないように気をつけた方がいいですよ」


「うぅむ、気をつけてはおこう。だが私の持論では女性は守るものだ」


お気楽な頭だ、優秀な種馬がいれば雌馬は興奮するものだ。

ウィレームが忠告を無視してどうなろうが俺には関係ない。


「そういえばユーグとやら、どこに向かっているのだ」


「私の店ですよ。貴男が着ているその目立つ甲冑をどうかしたいのでね」


城下を騎士の証である黒地に菊の紋が描かれた羽織りをきた男と歩いていたなんて話が広まったら、どんな噂が流されるか想像したくない。


「うむ、そうか?」


「そうですよ。はぁ……店に着きましたよ。マリアこの「うわぁぁぁぁぁん! ユーグさんですよね! 生きてますよね! なんか私が店にいない間に城から来た衛兵がユーグさんを連れていったって隣のおばちゃんがぁ!!」


店から出てきて俺に抱きついてきたのは俺の店で雇っているマリア。黙っていれば輝く金髪に空色の瞳の美女。


だが落ち着きのない性格が災いしレストランでウェイトレスをすれば皿を割り、勘定をさせれば渡す金額を間違えるという持ち主だ。

ほかにも失敗したことがありあげたらきりがない。


「落ち着きなさいマリア、変な噂がたったら商品が売れなくなる。それとお客様がいます居住まいを整えなさい」


「はっ、はい!」


そそくさとマリアが髪や服を直し始めたのを確認してから、ウィレームを見ると目を開いて固まっていた。


「どうしました。店の中に入ってくれませんと服を選べないのですが」


「あっ、あぁ」


「マリア、こちらの方の服を選んでください」


「わっかりましたぁ~。お名前は?」


マリアが聞くとウィレームが体をびくつかせた。


「ウィ……レームです」


「ウーさんですね!好きな色はありますか?」


おいおい"ウーさん"ってなんだよ。

本人が気にしてないからいいがうるさい客だといちゃもんつけられるって最初に言っただろうが馬鹿マリア。


「いや特に」


「言い忘れましたがウィレーム様と一緒に旅にでるのでそれっぽいのにしてください」


「はぁーぃぃぃぃぃい!!? えっ、ユーグさん旅に出ちゃうんですか? しかも一緒って夜逃げ? 愛の逃避行? どっちにしろ私またくっクビとかになっちゃうんですかぁぁぁぁぁ!!」


マリアは顔を赤くしたり青くしたり忙しい。


「うるさいですよ。誰も首にするとは言っていません。今回の旅にはお前が必要だ」


マリアに言うと落ち着いたのか静かになったが、次の瞬間に顔を真っ赤にして後ろに倒れた。

だがフェミニスト騎士ウィレームが支えたために、頭が床に激突することは避けられた。


「大丈夫ですか!」


「はい、大丈夫です……。あの本当に大丈夫なので離してもらっていいですか」


「すみません!」


ウィレームはマリアから離れると両方共顔が赤い。


「ユーグさん今回の旅にはお前が必要だってどういうことですか?」


「国王から魔王討伐を引き受けた」


「まぁ、王様から!それはすごいですねぇ!! ……えっ、待ってください。いま魔王って言いましたか? 魔王を倒すのは、ふつう勇者のでしょうが! ユーグさん強いですけど商人なんですよ。勇者に武器とか防具とか薬草を売りつけるのが仕事じゃないですかぁ~!!」


マリアは手を頭にのせて頭を降った。そんな態度をされても商権が無くなってしまうとまずいので却下だ。


「文句は国王に言え。旅にでる準備を今日中にしろ。出来るな?」


「勿論です、出来ます!」


本当にマリアは使いやすい。


「私は出かけます。あとは頼みましたよ」


俺は、店から出て看板を見る。

苦労して手に入れたこの店にいられたのが1年。

運命とは皮肉だ。俺がいない間は、代理の奴にやらせる。


「生きてとりもどす」


そのためにはまず金だ。貸していた金を返してもらおうか。


「まずは酒屋のトムだな」

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