支払い半額以上は意地
俺の名前は、ユーグ。1年前から首都で商売をしている商人だ。
販売しているものは、食品・雑貨・武器。
最初のうちこそあまり売れなかったが近頃は、常連が増え軌道に乗ってきていた。
だか物事何かが上手くいくと、何かに足を引っ張られる。
「巫女のお告げにより、そなたに魔王討伐を命じる!!」
「はぁ?」
冗談はその禿げ頭だけにしろ禿げ親父。
それとも抜け落ちた髪と共に知性まで散らしたのか?
それとも馬鹿だから考えすぎて禿げたのか? つーか、巫女に占わせたのかよ。自分で人選考えて命じろよ。
「私は、一介の商人でありまして魔王を倒せるような人物ではありません」
「引き受けなければ、この国での商権を剥奪する」
「それは……引き受けなければ私に死ねと?」
商権とは呼んで字のごとく商売する権利であり、これがなければ商売ができない。
ならば国外ならいいのではと思われるだろう。しかし国外では6年かけてつくった流通ルートが使えなくなる。ずばり商品がなければ仕事が出来ない。
「わしは商権を剥奪すると言ったのじゃ。死ね、などとは申しておらん」
その商権はこっちにとって死活問題だよ。いったい誰の入れ知恵だ。
「それにただ引き受けろとは言わん。引き受けたのならば王命により商品、宿泊どころの料金を半額にいたそう」
「ケチ」
「なっ! なんじゃと!?」
「それを引き受ける場合私は命を賭けるのですよ。それを半額にするだけで済まそうなんて虫が良すぎませんか? せめて宿泊料金タダ、商品の金額は半額くらいにしてもらわなければ”赤字”になります」
"赤字になります"の一言に王は口元を引きつらせた。
いくら王とはいえこちとら商売人、やすやすとそんなことを承諾するか。
なんて思っていると、鎧を着た顔がいい男がこちらを睨みつけてきた。
「貴様陛下が直々に御命令なさったのだ! 涙を流して踊り狂いながら了承「どこの変人だよ! つうかあんた騎士だろ自分が行けよ!」
うっかり地が出てしまった。
「私には陛下の御身をお守りする「それはいい考えじゃウィレーム行ってきなさい」
冗談で言ったのにやすやしすと承諾する王に俺は驚く。
だが一番驚いたのは、それを命じられたであろう騎士のウィレーム。
顎が外れるのではないかと、心配するほど開かれている。
「パーティーが必要じゃろう? 下手な人物を連れて行くよりこの者は役にたつ。立派にサポートしてくれると思うぞ」
「それは私がこの話を受ければの話ですよね」
「うむむっ……仕方ない。そなたの申し出を受け入れよう。財務大臣よいの」
眉をハの字にした痩せた男が王の近くへ歩く。
てっきり豚のような奴がでてくるもんだと思ったから拍子抜けした。
「……ハイ」
なぁ、財務大臣が超不満げだけど本当にいいのか? 条件だしたの俺だけどな。
「と、いうことだ。了承するな」
「はい」
「ふむ、そういえば。そなた姓をなんと申す」
知らないのかよ。どうやって俺を連れて来たんだ。
「私は商人ですから姓を持つことを許されておりませんのでありません」
「そうか、ならば今からドラグルという姓を授ける。ドラグル・ユーグと申せば先ほどの宿泊料の無料そして商品を半額で販売をのもう」
俺は王の言葉に眉をしかめる。
こいつ俺が馬鹿にしているのをわかって仕返ししようとしているのか。
じゃないと悪魔なんて名前を付けない。
「喜んで拝命いたします」
そして俺は、魔王討伐に行くこととなった。




