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世界は美しい

朝食を食べ終えると、杖を造れるエルフの場所へ連れていってもらうことになった。


「・・・・・どこにいくのですか」


エルフの村から遠ざかっているような気がする。


「杖を創れる人物のところですよ。ただ場所が少々遠いので彼に手伝っていただきましょう」


「あっ、ピーちゃんおはよー!」


目の前には、マリアとクローブが友人になったというドラゴンのピアンがいた。あいかわらず今日も恐い。


「おじいちゃんとマリアお姉ちゃんたちおはよう。朝からどおしたの?」


「ちょっと背に乗せてもらって行きたい場所があるんですよ」


「いいよー、でも大人四人はきついなー。だれか一人は、悪いけど乗せられないや」


「ならわたしが辞退しよう。この村のエルフたちと手合せをしてみたいと思っていたのでちょうど良い」


ウィレームがピアンをちらちら見ながら言った。いつも堂々とした態度を見せているウィレームにしては珍しい。もしかしてピアンが怖いのだろうか。伝説とまで言われているドラゴンであるし、体の大きさも大人十人が手を繋いでやっと入るくらい大きい。ただ言葉使いが幼いせいかあまり怖い感じはしない。それにマリアとクローブが大丈夫なら問題ないだろう。


「それはありがたい。自警団をつくっていますが外部からくる方が少ないですから訓練が変わり映えしないのですよ。ヤーマの騎士なのならウィレームさんは、お強いのでしょう」


「私もエルフの皆さんと手合せできるとは光栄です」


これでウィレームが残るのが決まったな。俺とマリア、アルバがピアンの背に乗った。鱗がつるつるして少々乗りづらいがそこらへんはピアンが調整するだろう。


「それじゃウーさんいってきまーす!」


ピアンがはばたくと小さな砂埃が舞い上がる。ちょっと離れた場所にいたウィレームが手で目に入る砂埃を防いでいた。


「いってらっしゃいマリアさん、ユーグ殿、アルバ殿」


ウィレームのあいさつを待っていたかのようにピアンは、大きな空に向かってはばたきそのおおきな体を浮かせたのだった。


「うわぁ!」


「良い眺めですね」


「そうそう見れるものではないでしょうね」


たくさんの木があたり一面に生えその上を日が照らし輝いている。



「世界はこんなにきれいなんだね」


「でも強く、大きく、理不尽だな」



そんな世界が大好きだった両親は、冒険の途中で死んでしまった。子どもの俺だけが生き残って途方に暮れたもんだ。自分たちが死んだときのために子どもの俺になんにも残してないってありえないだろ。一歩間違えたら死にかねない職業だってのによ。唯一残したものっていえば。


「でも、世界は好きだ」


世界の良さだろうか。どんなことになってもこの世界を嫌いになれなかった。

父は世界の強さが好きで風によって削られた岩、遠くからきた星がおちてできたクレーター、見たこともないような怪物を見に行った。


母は世界の美しさが好きでさまざまな気象の花が一度に咲く秘境、地下に広がる鍾乳洞、オーロラと呼ばれる空にかかる虹色のカーテンを見に行った。

どれもすばらしいとしか言えない。目をつむれば父や母の姿よりも連れて行ってくれた場所が出てくるくらいだ。もしかしたらかたくなに商人になりたかったのは、そこからくるものなのかもしれない。


商人とは、金を儲けるということもあるが商品を売るというのがまず一番最初にくる。俺の売る商品は、俺が自分で仕入れてきた珍しい物。

それを見てもらい想像してほしい世界の素晴らしさを未知なる可能性を。


「ユーグさんが素直に好きなんていうのは、珍しいですね」


「そうか?」


「そなたは、ひねくれているからの。悪いといっているわけではありませんよ?それくらいのほうがマリアさんとつり合いがとれますからね。おやおや」


アルバは、エルフらしからぬにやにやした顔をしている。これでエルフの上にたつものなのだから恐ろしい話だ。それにしてもなぜにやにやした顔をしているのかわからない。


「ねぇ、おじいちゃん。下りる場所あそこでいい?」


「えぇ」


示している箇所をみるとあきらかにおかしいものが見える。林檎、蜜柑、さくらんぼう、かりん、栗などが木にたわわと育っている。これらの果物は、同じ時期に実をつけることはありえない。ましてやここは、ユルルガ連邦の治める土地に入っている。果物が育ちにくくヤーマから輸入しているのだ。


ただし農業の機械化が進んでいて大量に栽培するものには適している。麦や大麦、トウモロコシなどがはいる。大量に作られたそれらは、ヤーマへ輸出されていく。


「なぜ?」


「あの果物たちのことですか。彼女の力ゆえの環境ですよ。みればわかるでしょう」


「うわわっ!」


どこからか蔓がのびてピアンの足に絡みついた。足をばたつかせて蔓をとろうとするがまったくとけない。それによりバランスがとれないらしく急激に落下していく。


「さすがにまずいですね」


アルバが手を顎にあてて考え込む。


「そんなこと言ってる場合か!」


俺は、袋から角にロープをつけた布をとり出した。その布には、風属性の魔法を発現させるための魔方陣をぬいつけてある。


「ピアンこれを持って魔力をこめろ!」


「わかった!」


ピアンがロープを持ち魔力をこめると風属性の魔方陣が光り輝きだした。魔方陣から風が吹き荒れた。それぞれ叫び声をあげながら森へ落ちていった。


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