道案内が道を知っていると誰がいう?
「なんでオレがこんなことしなくちゃならないんだ‥‥」
「僕だってまさか襲撃者の一人が案内役なんて予想外です。他にも適任だと思われる人物がいたでしょうに」
もうちょっと血の気がない人物のほうが助かる。
どうせこいつは、俺たちの監視役なんだろう。
「くじ引きで当たったんだよ。30人でやったのに‥‥糞!カロアスが交換すればいかずに済んだのに」
「くじ引きで決めちゃうんだね~。ってうわぁ!ウィレームふらふらするなよ」
「うむ、どうも。今朝から頭が痛くてな。ぐっすり寝たはずなのに眠いときている」
もしかして睡眠薬の副作用か?
「ウィレーム様一つお尋ねしてもよろしいでしょうか?」
「なんです」
「ふだん、病気などで薬を飲む機会はありますか」
意外な質問だったのかウィレームはぽけっとした顔を浮かべる。
普段の会話でこんな質問をするような人は早々いないだろう。もしかしたらまたお世話にかもしれないしな。
「ないですね。よく食べ寝れば大概はよくなります。すぐに薬を頼るようでは体が逆に衰えてしまうと、学院の医務員に聞いたことがあった。そのおかげか風邪を15年ひいたことがない」
「ふん!オレなんか病気どころか風邪すらひいたことないぞ」
「馬鹿は風邪ひかないって聞いたことあるよ。おっさん馬鹿なんじゃない?」
ケロっとした顔でクローブがいった。後で事実だとしても言わないほうがあるということを教育しましょう。
「クーちゃんたとえ馬鹿でも馬鹿って言っちゃだめだよ~。言葉には、力があるから本当にいっちゃん馬鹿になっちゃうよ?」
「そうだそうだ!って、いっちゃんってオレのことか?しかもたとえ馬鹿ってことは結局オレ馬鹿扱い!?」
「イフラさん、エルフのいる森へ案内するつもりはあるんですか。さっきからさわいでいるだけでまったく進んでいませんよね」
本当に場所を知っているんだろうか?
「もちろん連れてってやるよ。っといってもくわしい場所知ってるわけじゃないんだがな」
「それ大丈夫なのか?俺かなり不安なんだけど。おっさん、迷子になるなよ」
「ふん、ここらへんに住んでんだ迷うわけ‥‥」
「どういう奇跡が起きたらはぐれる上に迷子になるんですか‥‥」
イフラとマリアとクローブが前を歩いていた。だが草むらに足をつっこんだとたんに先が崖になっていて、イフラとマリアが下に落ちた。クローブがマリアを掴んだが支えきれず一緒に落ちてしまったのだった。
「今回はマリアさんだけでなく、クローブ君が一緒のようですから前回よりマシです。まさかイフラ殿までいなくなるとは思いもしませんでした」
「確かに何をしにきたのやら。それにしてもここはどこでしょう」
四方八方に青々とした葉を茂らせた木が生えている。
さきほどウィレームが木に登って周りを見たが、ずっと木が続いていて人も見えなければ目印になるようなものもなかったらしい。木と木の間から見える太陽の位置で方角がわかる。だがやはり合流は、絶望的だ。
「ユーグ殿の地図には、谷の記載はないのですか。すくなくとも我々は、プーカ村とエルフの村の間にいると仮定していいはずです。なら谷の近くに行ってから周辺の森を探せば、エルフとマリアさんたちに会えるかもしれません」
「たしかにそうですね。今確認してみましょう」
チャロアイトに積んでいた地図を開いて、プーカ村の位置を確認して近くの谷を探す。だが地図には、谷が書かれていなかった。
「どうしましたか」
「地図に谷が描かれていないんです。たしかに正確な地図かといわれればそんなことはないのですが‥‥まったく描いてないなんてことはないはず」
俺が旅していたとき聞いた話や店に来た客から聞いた話もかきたしてある。さらにいえばベルにも地図を見てもらって細かい情報を仕入れたつもりだ。
「エルフが関係しているのですからエルフが魔法で谷を隠しているのかもしれないですな。エルフに関して知っていることなど微々たるものでしょうから」
「エルフが魔法で隠してる‥‥」
そういえば地図に何もかかれていない場所があった。てっきり森だけがあるのかと思ったが、ドラゴンの谷かエルフの村がある可能性もある。
「ここにいってみましょう。なにもしないよりはましなはず」
「それではユーグ殿に案内はまかせます。何がでてくるかわからないので私は周りを警戒しておきます」
「頼みます」
無事にたどりつけばいいが‥‥。




