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勇者は守銭奴!  作者: 猫田33


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13/32

謎はわからない

空がうっすらと明るくなる前に目が覚めた。

いつもなら身支度・朝食の準備とマリアを起こすと、店の開店準備を一通りする。

だが朝食と店の開店準備はいらない。


「早起きは三文の得」


とりあえずベッドから出ようとしたらなんだか温かいのがある。

まさかベルが潜り込んだか‥?と思い布団をめくると黄色の髪に狐耳が見える。


「クローブ、クローブ」


「うぅ」


クローブを軽く揺すぶったが起きない上にしがみつく。


「はぁ‥‥」


「どうしましたユーグ殿」


いつの間にかウィレームまで目を覚ましていたらしい。

もっと寝てるかと思っていたが違うようだ。


「クローブがいつの間にか入ってきてたんです。それよりもウィレーム様起きるのが早いですね」


「陛下のために早朝に鍛錬をするのが日課でな。ユーグ殿もどうです?」


鍛錬か‥‥。ウィレームの腕がどれくらいなのか知るいい機会かもしれない。どうせ時間があるのだし。


「わかりました。私もします」


そうと決まったら行動が早く。

クローブを寝かせたままにして着替えて一階の厨房に行くと、料理の仕込みをしているベルに出かけ先を言う為だ。


「あれー♪どうしたの」


「ちょっと街の外に行く。鍛錬に良さそうな場所を知りませんか」


「西の平地に行ったら?なぁんにもないし大暴れしても大丈夫♪」


大暴れをするつもりはないんだが。まぁ何もない方が好都合ではある。


「7時には戻ってね?それくらいには出来上がってるから」


「わかりました。楽しみにしています」


「頑張るわ。うふふ♪」


朝から異常にテンションが高いな。

言伝をしたしウィレームを連れて街の西に行くか。


「見事に何もないな。鍛錬にこう都合だが」


「確かにそうですね」


丈の短い草原が広がり橙色に輝く空が見える。

あと一時間で山から日が昇るだろう。


「30分でいいかユーグ殿」


「はい」


それぞれ武器を構えるがウィレームの武器は、クレイモアのようだ。


「騎士といったらエストックだと思っていたのですがクレイモアなんですね」


「陛下の御霊を狙う不届きものには素早い一撃が必要だと思ってな。ユーグ殿こそカットラスとは驚きました。海軍や海賊が好んで使う片手剣であっていますかな」


「あっていますよ。そろそろ始めましょう」


剣をかまえるがウィレームは、どうやらクレイモアを両手持ちするらしい。


ウィレームとクレイモアの大きさから考えると片手でも行けそうな気がしていたのだが‥‥。


「先に行かせてもらうとしよう!」


猪のようにウィレームが走ってくる。

横によけたがよけた先に進路を変えてきたがウィレームは、走った勢いを殺さず上から剣を上から振り下ろす。互いの刃と刃がぶつかり合った。


「くっ」


ウィレームの一撃が非常に重いく、刀身を左手で押さえていなければ押し負けている。

ウィレームは、刃を跳ね返された勢いで後ろに下がった。俺は、ウィレームの体勢が戻る前に近づいて足を払う。だがウィレームはびくともしない。


「これでも鍛錬を欠かさずしている。それくらいで倒れん!」


「それくらい先刻承知です」


俺は手に持った砂をウィレームの顔めがけて投げた。


「卑怯な!」


ウィレームは、剣を横なぎに振るう。


「あぶなっ」


後ろによけたが前髪が少し切れた。

しかもクレイモアとウィレームの腕のリーチが合わさって結構後ろに下がり剣の先が届かない。


「まさか目潰ししてくるとは‥。痛いですよこれは」


「単純な力技では負けますからね。小細工は必要不可欠です」


とりあえずどう攻めたものだろうか?ウィレームの一振りは重く速い。普通に突っ込めば力負けする。


攻めあぐねていたときそれが聞こえた。


「グルルルァァアアァアッー――!!」


血の気が引くような獰猛な遠吠え、鍛錬で少々興奮していた気分がいっきに正気に戻った。


「一時休戦です。姿が見えないので相手がどこにいるのかわかりません」


「確かにな。我々が闘っていた場所以外は足まで隠れる草場。体勢が低い奴は見えん。ここを離れるより迎撃したほうがよさそうだ」


「はい、それがいいかと。とりあえず後ろは任せます」


右手にカッツバル、左手に魔導銃を持った。ウィレームは一気に断ち切るつもりなのかクレイモアを両手で持つ。


「勇者がここで負けるなよ」


「私の死に場所は、ここではありません」


草むらから何かが襲いかかるが、ソレに標準を合わせ迷わず引き金を引いた。

どうやら人食い狼だったらしい。


「さぁ、取引開始といたしましょう」


狼は次にウィレームに襲いかかるが、狼は二枚に捌かれてしまった。


「ずいぶんすごいことをしますね」


「これで生きてるわけがないから安心だ」


なんて言っていると二匹の狼がいっせいに襲いかかり片方は、玉があたり死んだ。もう一匹は、銃で間に合わずカッツバルで心臓を一突きする。


「ユーグ殿二人あわせて七匹倒しているがまだいると思いますか!?」


「親玉みたいな狼を見ていません。もしかしたらまだ何匹かいるかも」


互いに緊張が走る。すると一部の草むらが大きく揺れた。息をのんで剣を向けるとそれが出た!


「きゃ!何をするんですかユーグさん!酷いですよぉ」


なんとそれはマリア。よく見ると背中に何かを背負っている。嫌な予感がする。


「マリア、背中のものはなんだ」


「これはここにくる途中で襲いかかってきたおっきな狼です。しかも悪そうな顔してるんで恐かったです」


マリアは腕で肩を掴んで震えた。


「マリアさんそれはたぶんこの狼達のボスです!どうやって倒したんですか」


「?これで叩いただけですよ」


出てきたのは、柄頭に宝石を埋め込んだメイス。


「きゃー――!なんで狼さんが真っ二つになってるんですか?!よく見たら狼さんがいっぱいいる~~~!!」


「マリアさん落ち着いてください!狼は全て死んでますから」


「‥‥そうなんですか?でも死んでても恐いっていうのは変わりませんよ~~」


親玉の狼をメイスで殴打したやつの言葉に思えんな。親玉の狼もこんなのに負けるとは不憫過ぎる。


「とりあえずこの狼をどうしたものですかね?私が撃った狼はたぶん売れますけど」


「えっ、ユーグさん。狼を埋めてあげないんですか?」


「埋める狼もいますよ。まっぷたつの狼は、商品価値があまりありませんから」


剥製には出来ないし狼自体の血のせいで毛皮が黒くくすんでしまっている。


「狼さんは仲良く全部土に埋めなきゃだめです!」


「そうですよユーグ殿。ユーグ殿がしようとしているのは死者への冒涜です」


「死者への冒涜?なら猟師が仕留めた鹿を食べたり剥製にしたり角をとるのは死者への冒涜ですか?」


「猟師さんはそれがお仕事です!ユーグさんは商人で勇者なんですよ?猟師さんじゃありません」


「そう、私は商人です。売れるものがあれば売ります。これは間違いですか?」


マリアが黙るが、売れると思ったものを売らなければ商人としてやっていけない。

だが意外にもウィレームが食いついてきた。


「ユーグ殿は論点を変えている。売る売らないの問題ではありません」


「だから‥‥」


俺が言い返そうと口を開こうとすると何かが頭に当たった。あまりの痛さに言葉がでない。よく見たらウィレームも同じ状況になっている。


「せっかく私が愛情込めて朝ご飯を作ったんだから早く帰ってきなさい!朝ご飯抜きにするわよ!!」


「すっすみませんベル殿」


ウィレームは、顔を青くしてすぐに謝った。何も言わない俺をベルが眉を上げて睨みつけてくる。


「‥‥‥すみませんでした」


「わかればよろしい。あと、その狼達ずいぶん悪さをして懸賞金が懸かってたから尻尾切り取って出したら?」


「懸賞金がでてるとは、ずいぶん被害を被った人物が多いのですな」


「そうねぇ、おかげで街と街の行き来が少なくなっちゃって」


ベルはため息をついた。


「あの?尻尾切り取ってしまうんですか??なら尻尾以外は土の中に埋めて上げてもいいですよね」


「‥‥以外にしつこいですね。いいですよ」


「わぁ、よかった!」


マリアが満面の笑みを浮かべる。だが途端に尻尾をどうやって切り取るのか慌てだした。


「私がしますから下がりなさい」


見かねて俺が結局尻尾を切り取る。


「それじゃあたしの出番かしら?土にいづる竜よ。鋭き爪で大地を切り裂け!」


ベルが詠唱すると大人が4人くらい楽々に入りそうな穴が出来た。その中に狼を次々入れる。入れ終えたあとは土を被せた。


「大inaru父。彼raga来世heno輪廻ni迷wazu行keruyuni光woo与ekudasai」


最後にマリアが祈る。


「マリアちゃんこの国の人間じゃないのね。初めて聞いたわそれ」


「そうですか。それよりお腹が空いたので朝ご飯が食べたいです!希望としてはふわふわで少し焼き目がついたフレンチトーストとカリカリベーコン。あったかーい野菜スープがいいです!!」


「えっ?全部今日の朝ご飯のメニューだけど見てたっけ??」


「鼻が効くんです♪ユーグさん、ウーさん早くいきましょう!」


ウキウキと街に帰ろうとするマリア。さっき無理やり話の内容を変えたのはなぜなのか。

この中では、比較的長くマリアといる。だがマリアに初めて会ったのは二年前。それ以前のことはあまり知らない。

マリアは、おしゃべりが多いが自分のことは話さない。俺もマリアに話していないからおあいこなのだが‥‥。

マリアが話したくないことがこの旅の支障にならないことを祈るだけ

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