そういう関係?
さて、何とも恥ずかしい時間を終え再び賑わう道を歩いていく僕ら。……うん、暑っついね。たぶん、来る前よりは気温は下がってると思うんだけど。まあ、それはともあれ――
「それで、次はどこに行きます? 花火には、まだもう少し時間がありますし」
「……うーん、そうだね。これでもアスリートだし、あんまり食べすぎるわけにもいかないし……あっ、射的とかは? 確か、タコ焼き屋さんの近くにあったよね」
「はい、いいですね。明陽の与一さんと称される僕の腕前を、とくとご覧に入れましょう」
「……うん、弓だけどね、与一さん」
和やかにそんなやり取りを交わしつつ、引き返し目的地へと向かっていく。まあ、最後の方はちょっと呆れてた気もするけど、それはともあれ久しぶりに――
「――あれ、望夢?」
刹那、鼓膜を揺らす声。ハッと驚き振り返ると……そこには、同じくたいそう驚いたご様子で僕らを見つめる女の子達の姿があって。
「……あっ、えっと、その……」
突然の思いも寄らない展開に、ただただ言葉に詰まる僕。……えっと、何と言おう。外見、そして望夢と呼んでいることからも、きっと同世代の――三神さんの通う相明中学のご友人だと思う。……いや、というか何人かには見覚えがあって。それも、つい最近――京都府内の予選大会にて、三神さんと共にコートに立っていた子達で。つまり、彼女達は――
「……あの……男の人、ですよね?」
「……へっ? あっ、その、はい……」
すると、その中の一人――見覚えのあるショートカットの女の子が、控え目に僕へとそう問いかける。……うん、そうなるよね。突然、チームメイトが知らない異性――それも、同じ学校の生徒でもなく明らかに歳上の相手と二人でいるところに出会したら。そして、いくら僕なんかとでも、この状況であればそういう関係だと思う可能性も皆無じゃない。それは、言うまでもなく三神さんにとって不名誉この上もない話。なので――
「……あの、僕らは決して――」
「……うわぁ、めっちゃ可愛い。あっ、こんな言い方は失礼かもだけど……でも、女の私から見ても羨ましいくらいです!」
「もしかして、望夢の彼氏!?」
「ふふっ、実はそうなんだ。黙っててごめんね?」
「三神さん!?」
誤解されないよう口を開くも、僕の言葉に被さる形で楽しそうに話す女の子達。そして、そんな彼女らへと楽しそうに答える三神さん。……あの、三神さん? 大丈夫ですか? そんな嘘ついちゃって。それに、そもそもなんでわざわざご自身の名誉を傷つけるような嘘を……あっ、もしかして――
「……ねえ、望夢。その人、すごく驚いてるけど……もしかして、ほんとは――」
「――ああいえ! 僕は、その、三か……いえ、の、望夢さんが、僕のことを彼氏だと正直に答えたことに驚いただけでして、その……はい、恋人です……」
ふと疑問を口にする女の子へと、慌てて言い訳を試みる僕。……うん、流石に苦しいかな? そもそも、これだとまるで三神さんが今まで僕のことを彼氏だと言いたくなかったみたいだし。……いや、実際に言いたくはなかったと思うけども。僕なんかが彼氏だなんて、三神さんにとっては不名誉この上ない話だろうし。
……だけど、それでもそのように――僕が彼氏だなんていう嘘を吐かざる言わざるを得なかったのは……きっと、本当のことを言えなかったから。というのも……専属コーチがいるなんて聞いたら、チームメイトから嫉妬や非難を受けてしまう可能性も皆無とは言えない。全国でも名高い強豪校とはいえ、中学生で専属コーチまでいる選手はきっとそこまで多くはないだろうから。……まあ、そもそも嫉妬を受けるような優秀なコーチではないんだけどね、僕。




