表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どういうわけか、この度バレー部エース(美少女)の専属コーチになりまして。  作者: 暦海


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/20

約束

「…………すごい」



 そう、ポツリと声が。つい先ほど嬉しそうにコートに入っていった三神みかみさんが、それはもう鬱憤を晴らすかのように潑剌はつらつとプレーしているのだけど……うん、やっぱりすごい。もちろん他のみんなもすごいし、みんながそれぞれに重要な役割を果たしているのだけど――それでも、明らかに一人際立っている。相明あいめいの背番号4――三神望夢(のぞむ)がチームの中心であることが、恐らくは誰の目から見ても疑いのないほどに。それこそ、お客さんだけでなく相手チームの選手までもが見蕩みとれちゃってるくらいに。



 その後も、有利に試合を進めていく相明。三神さんが入ってからは、いっそう点を取るのが早くなって。そして、とうとう相明のマッチポイントに――


 


『……精一杯、全力で頑張るからちゃんと見ててね、私のこと』


 ふと、頭をよぎる三神さんの言葉。……うん、分かってる。ちゃんと約束したんだし、そもそも僕は彼女のコーチ――そんな約束なんてなくても、最後まで目を離さず見るのが全く以て当然の責務で。……そう、だからちゃんと最後まで――





「――お疲れさまです、三神さん。そして、おめでとうございます」

「……まあ、まだ初戦だけど……でも、ありがと弥夢ひろむさん」



 それから、数時間が経過して。

 そう、労いと祝福の言葉を送る僕。すると、柔和に微笑み感謝を告げてくれる三神さん。もちろん、本日の試合に関してで。

 

 ところで、今いるのは三神みかみ家に設置されたトレーニングジム――なんと、試合だった今日まで自主練習をするとのことで。なので、もちろんコーチである僕もこちらにいるのだけど……うん、僕はいい。もちろん、僕はいいんだけども……でも、三神さんは大丈夫? 流石に控え目にするとは言ってるけど、それでも明日も試合だというのに……まあ、彼女がすると言うのなら僕にどうこういう権利はない。ないの、だけども――



「……あの、三神さん。本当に、無理だけはしないでくださいね? もちろん、余計なお世話だと分かってはいますが……それでも、三神さんが悲しむような結果には絶対になってほしくないですから」

「……へっ? あ、その……うん、大丈夫……」



 そう、じっとを見つめ口にする。……うん、分かってる。こんなのが、すこぶる余計なお世話だということくらい。……それでも、どうしても言わずには――



「……ねえ、弥夢さん。一応の確認だけど、他の女性ひとにも言ってないよね? そういうこと」

「……へっ? あっ、はい……」

「……あの、綺麗な幼馴染みにも?」

「……? はい、言ってないですけど……」

「……そっか。うん、それならいいけど……」

「……?」


 そんな懸念の最中なか、不意に届いた思いも寄らない三神さんの言葉。……いや、誰にも言ってないけど……えっと、どゆこと? あと、蒼那あおなさんに対しては、同じような状況であれば同じようなことを言うかもしれないけども……でも、今のところはまだ……ところで、結局なんだったのかな? 今の質問とい





「――今日もありがとね、弥夢さん」

「いえ、こちらこそありがとうございます、三神さん」



 それから、しばらくして。

 三神みかみ家の前にて、ほのぼのといつもの挨拶を交わす僕ら。ところで、仕事コーチが始まってから経った時間自体はいつもとさほど変わらないんだけれど――三神さんが事前に言っていた通り、練習はいつもよりも早く終わらせていて。そして、その後は彼女のお部屋にて雑談などをしながらしばしのんびり過ごしていたわけで。


 ……でも、ほんとによかったのかな? その方が回復になるから、なるべく一緒にいてほしい――三神さん自身からそう言われ長々と居座ってしまったけれど……彼女は明日も試合なわけだし、今更ではあるけどやっぱり一人でゆっくり休んでた方がよかったんじゃ――


 ……いや、もしかするとそうでもないのかも。一人でいたら、明日のことを考えすぎて逆に休めないから僕に一緒にいてほしい……うん、そういう事情ことなら確かに僕といる方がまだしも回復になるのかも――

 


「――ところで、弥夢さん。目を逸らしてたよね? 最後の方」

「…………それは」


 そんな推測の最中さなか、ふとそう問いかける三神さん。何の話か……なんて、確認するまでもない。相明のマッチポイントとなったあの時――僕は、目を逸らした。全力でバレーに打ち込むみんなが、三神さんがあまりにも眩しすぎて――つい、目を逸らした。……うん、全く以てコーチとして失格で――



「……別に、怒ってないよ。だって、私が弥夢さんの立場でもそうなっちゃうだろうし。……ううん、私だったらもっと早い段階で目を逸らしちゃうかも。だから、別に怒ってないよ」

「……三神さん」

「……それでも、次は最後まで見ててほしいな。お金のためなのは分かってるけど……それでも、弥夢さんは私のコーチなんだから」

「……はい。申し訳ありません、三神さん」


 そんな自己嫌悪の最中さなか、柔らかに微笑みそう告げてくれる三神さん。そんな彼女に、何とも弱々しく謝意を口にする。……うん、ほんとにごめんね、三神さん。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ