89話 部活
「重いわっ」
「すまんすまん」
エレノアの幼馴染で元パーティーメンバーの重たい話を聞かされてちょっと気が滅入ってしまった。
「俺がへこんだのはな」
「うん?」
「アイツらが一切気にしてなかった事だな」
「ん?」
「幼馴染が死んでも何とも思ってなかった」
「マジ?」
「元々、眼中になかった上に勘違いして言い寄って来ただけでもキモいのに次から次へととか死んで当然。みたいな事言ってた」
「それは・・・強がりとかじゃなくて?」
「本心で」
「それは辛いな・・・」
何だろう・・・強く生きてくれっ・・・と、思ったけど死んでたわ。
そんな話をしている間もエレノアはどんどん罠を見つけては解除し進んでは魔物を倒して進んでいく。
「この後の予定は?」
「一応、次に拠点を敷ける様な広場に出たら一旦仕事は終了だ」
「もう?」
「一旦だ一旦」
「ふむ」
「そこで次の先行隊と交代して俺等は一旦外に出る」
「ふむ」
「そこで英気を養うなり補給をして次の交代に備える」
「なるほど」
ちなみに、俺には関係の無い事だから聞かされていなかったが。他のパーティーは外にある拠点に食料や消耗品に予備の武器なんかも預けているらしい。
極力身軽な状態でダンジョンに入り攻略していく。エレノアがテントなんかを持ち込んでいたのは女の子だからで男のみのパーティーだとマントに包まって寝るそうだ。
そして、攻略が進むほどに戻るのが大変になるので物資を中の拠点に移動させる。
戻って進んでを繰り返して進んでいく。これが大人数でのダンジョンを安全に攻略する方法の1つだそうだ。
「わざわざ戻らなくても持って来てくれれば良いのにな」
「バカお前」
「え?」
「ずっと中に居たら気が滅入るだろ」
「あー、そういうアレか」
「そうだよ」
暗くて狭い場所にずっと居たら狂うやつも居るかもな・・・。
そりゃ、定期的に外に出ないとだ。
俺がダンジョンに放り込まれた時はそんな事を気にする余裕すら無かったからな。
必死過ぎたからか辛過ぎたからか全然覚えてないや・・・。
「にしても、最初の交代早くないか?もっと進んでからの方が効率良さそうだけど」
「あー、アイツらの進みが早いからだな」
「なるほど」
「さっきの広場な」
「うん」
「あそこに行くのに3-4日の予定だったぽいな」
「へー」
「んで、次の広場までで1週間って予定でな」
「1週間交代って事か?」
「そ。1週間働いて1週間休むって訳じゃねぇぞ」
「分かってるよ。移動とか運搬もあるからだろ?」
「分かってるじゃねぇか」
実際どうなんだろうか?
戻るだけなら1日もあれば十分だろう。1日掛けて戻って荷物を持って3日掛けて中の拠点に向かう。
そうなると外で3日休めるって感じか。
いや、それは流石に皮算用過ぎるか。
来た道を戻り、ダンジョンの入口の側に拠点を設営して、そこで数日を過ごした。
そして、再びダンジョンに入り最前線を目指す。
先遣隊と交代して前線の押し上げを再開した。
「うーん、休憩にする」
「「「「はい」」」」
「寝てないからか動きが鈍いな。見張りはしてるから仮眠取れ」
「「「「はい」」」」
「ちょっと強い目の酒出してくれ」
「ん?あ、俺か」
「これで良いか?」
「おう。ほれ皆1杯づつガッと飲んでサッと寝ちまえ」
「「「「はい」」」」
「何か毛布とか出した方が良いか?」
「いや、んー、そうだな、頼む」
人数分の毛布を渡した。当然、新品の毛布なのでおっさんの臭いなんかは付いていない。
「俺も寝て良いか?」
「おう、ただ・・・」
「うん?」
「軽く食い物と酒は置いてってくれ」
「おーけーおーけー」
テーブルと椅子をエーリッヒ用に出して。ご要望の酒とツマミも出した。
そして、俺は旅で使っていた古ぼけたテントを引っ張り出してその中で毛布に包まって寝た。
「おーい、そろそろ起きろー」
と、何か夢を見ていた気がするがエーリッヒの声で現実に引き戻された。
「どんくらい寝てた?」
「1時間くらいか?」
「そんなもんか。もっと寝た気がする」
何というか、15分とか30分だけ昼寝をした時の謎の充足感というか寝覚めもスッキリでしっかり寝た満足感もあった。
「どうだやれるか?まだ調子悪いなら俺が前に出るがどうする?」
「「「「やれます!」」」」
「そうか。お前らがやれるっつったんだからな?その言葉に責任持てよ?」
「「「「はい」」」」
いや、だから部活か。て・・・。
何部だろうなー?女バスとか?ソフト部は女監督なイメージだしなー。しかも、超怖い鬼監督。
陸上部かバスケ部かな。
仮眠を取って集中力の上がったエレノア達は順調にダンジョンを攻略していった。
後ろから激を飛ばす熱血監督の思いに応えるように。
バスケだと4人で人数足りないから陸上部だな。
きっと監督は元投擲系の選手。




