64話 才媛
この街。オーパスポーカスに定住するのであれば。いっその事、家を買いたい。
そうなると市民権を買う必要がある。金自体はあるので買えるには買えるが市民権を買う為に身分証が必要になる。
その為にはどこかのギルドで登録をしてギルド証を発行して貰うのが手っ取り早い。
ただ、商業ギルドとは数年前に揉めているので除外。
冒険者ギルドも他所の冒険者ギルドだが揉めている。錬金ギルドも同じく。
その事をジョーさんに相談した所。農業ギルドを勧められた。
「紹介も出来ますよ」
「あー、確かお母さんがギルマスなんでしたっけ?」
「はい」
「ギルド員の義務とかって何があります?」
そう、これが意外と厄介で・・・。
商業ギルド員なら毎月ギルドに会員費を納めなければならない。
冒険者はクエストの消化。ランク毎に期限が違うがB以上なら無制限、Cなら半年に1回、Dなら3ヶ月、E以下は1ヶ月に1回以上クエストを達成しなければ罰金もしくは降格になる。
しかも、登録する時にこんな説明はされない不親切さだ。
錬金ギルドもランクによって条件が違うがポーションの納品が義務だ。
他のギルドは登録した事が無いので知らないが似たようなものだろう。
「えっと、厳密には農業ギルドじゃないんです」
「あー、農協でしたっけ?」
「はい。農業協同組合です」
組合=ギルドじゃないのか?
「相互扶助が目的なので義務とかは無いんです。そういう意味で他のギルドとは違うって意味ですが」
「だったら登録し放題って事ですか?」
「当然、審査はありますよ」
「あ、ですよねー」
「なのでウチの家が紹介すれば、その審査も通りますから」
「良いんですか?」
「構いませんよ。あ、ちなみにコネとかではないので安心して下さい」
「え、あれ?違うんですか?」
「何と言いますか・・・ウチから紹介してウチで働いてるっぽいから登録したけど実は働いていないって感じで・・・」
「良いんですか?それ」
「まぁ、ウチを辞めた方でも登録はそのまま残ってたりしますし」
「そんな緩い感じなんですね」
「そうですね。農家だからって登録の義務も無いくらいには緩いです」
「ふむ」
「ギルドというよりは同好会ですかね。そっちの方がスタンス的にしっくりきます」
「同好の士が集まって、お互いに助け合ってるグループですか」
「ですです」
という訳で。早速、ジョーさんに連れられて農協に向かい。登録をして貰う事になった。
「既に登録されていますね」
「「え?」」
「あら?ジョーじゃない、どうしたの?」
「あ、母さん」
お・・・これが、おっさんの元奥さんか。
おっさんが農協のトップなのが気に入らなくて引き摺り下ろして自分がトップになった女傑。
「いや、ウチの関係者の登録をしようと思ったらもう登録されてるって」
「んー?ちょっと見せて?」
と、係りの人から書類を受け取ると。
「あぁ、何年か前にあの人が来て登録したわよ」
「あの人って親父?」
「そう」
「勝手に?」
「どうしてもしろってうるさいから私が登録したはずよ」
「本人不在なのに?」
「しつこいんだもの。面倒臭い」
「どうしたら良い?」
「再発行で良いんじゃない?」
という事で、ギルド証を発行して貰った。正確には組合員証か・・・。
そして、再という事はおっさんの家にあるんだろうか?勝手に発行されたギルド証が・・・。
農協のギルド証を発行して貰い。これが身分証明書になるので市民権を購入する権利を得た。
そして、その諸々の手続きはジョーさんがやってくれるそうだ。
「家はどこに建てる予定ですか?」
「え?新築?空き物件とか買うつもりだったんですけど・・・」
「そうですね・・・空きはあまり無いです」
「そうなんですね。でも、建てるとなると結構時間掛かりますよね・・・」
「でも、買える様になるまで時間もありますし」
「え?」
「ん?」
「市民権と金があれば買えるんじゃ?」
「市民になってから一定期間住んからじゃないと買えないですね」
「そんなルールが・・・」
「じゃないと外部の人間が勝手に買い占めれるようになってしまいますから」
「確かに・・・」
「確か、1年くらいだったと思います」
「そこそこ要るんですね」
「建てるにもそのくらい掛かりますから。新築にされるのかと勝手に思ってました」
「だったら、新築で良いかもですね。後は、土地探しか」
「ウチの余ってる土地ならお譲り出来ますよ」
「マジすか」
田んぼ用に土地は買っているらしいが、いざ水を張ってみたら水はけが悪いとか良すぎるとかで向き不向きがあるらしい。
土壌改善は直ぐには無理なので時間を掛けてやる場合と諦めて放置になる場合があるらしく。その諦めた土地であれば売っても構わないそうだ。




