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65話 絶望

ギルド証を発行して貰った流れで譲る事が可能な土地をいくつか見せて貰った。


「街に近い方が良いですよね?」

「そうですね」


騒がしいのは勘弁だが利便性も欲しい。

都心は嫌だけどド田舎も嫌。ちょっと田舎ぐらいに住みたい。そんな感じだ。


「こことかどうですか?」


街からもおっさんの家からも社員寮からもそこそこ近い。かと言って近すぎない絶妙な距離。


「良いですね」


それじゃあ、ここに決定。と言う事で、職人さんの手配までジョーさんがやってくれるそうだ。


市民権の購入。これは身分証の提示と金を払えば直ぐにでも購入出来る。

家を建てる許可の申請。これは1年住んで、納税を怠らなければ許可が下りる。


1年後には俺も一国一城の主か。


いや、まさに城みたいな豪邸に住んだ事もあったな。

数年で全て奪われて逆賊として追われる身となったが・・・。


どんな間取りにしようか?

平屋で良いか?それとも2階建てにするか?

いずれ結婚でもする事を考えると2階建ての方が良いのか?子供部屋も要るだろうし。

まぁ、その為にはまず相手が要るんだけどな・・・。


「そういえば米はどうなりました?」

「あー、炊いて貰った分はもう無いです」

「ですよね」

「それで、新米も無くなりました。古米はまだあります」

「ふむ。でしたら、また新米買われますか?」

「売って貰える分があれば欲しいですね」

「分かりました。準備しておきますね」

「お願いします」


俺のアイテムボックスの容量は無制限で時間経過も遅くしたり早くしたり止めたりと自由自在だ。

なので気になった物は悩まずに買って、とりあえずアイテムボックスに突っ込んでおく悪癖がある。

その為、日々アイテムボックスの内容物は増加の一途を辿っている。


特に飲食物は増えに増えまくっている。

自分で消費する物、仲の良い知り合いに飲食させる物。この辺りはやっぱり美味しい物ばかりでそういう物はどんどん減っていく。


以前、軍事国家に立ち寄った際、武闘派の偉いさんに気に入られた事があったが。その人との絡みで食料を提供する機会があった。

その時に俺の好みじゃない物を大量放出してアイテムボックスを整理したりもした。

その所為で俺をスカウトしようと躍起になられて必死に逃げるハメにもなったのだが・・・。


「あ、そうだ。忘れる所でした」

「はい?」

「今晩はウチにいらして下さいね」

「え?」

「折角なので歓迎会をしようかと」

「おー、ありがとうございます」

「妻も楽しみにしてまして。かなり気合いが入っているようですよ」

「期待しときますね」


夜になるまで街の中をプラプラと見て回る。

数年前と全く変わらないものもあれば全く変わってしまっているものもある。

とは言え、面影があるとまではいかない。ほぼ一緒で部分的にちょっとした変化があるといった程度だ。

数年ごときで街が完全に様変わりする事は流石に無いか。


陽が傾き始めたのでおっさんの家に向かう。


「こんばんわー」

「いらっしゃいませ。もう皆さん集まっていますよ」


皆さん?おっさん一家以外にも来てるのか?


「よぉ」

「あぁ、エーリッヒか」

「なんだよ」

「いや、皆さんって聞いたから誰が来てるのかと思ってな」

「ふーん」


他には・・・従業員の人達かな。

なんとなく見覚えがあるような無いような顔がちらほら居る。


そして、エーリッヒの隣に座るとおっさんも手に酒を持ちながらこっちに来た。


「やっと来たか」

「おう、おっさん」

「土産はあんのか?」

「まぁ、それなりに?」

「色んな国の酒だろ?期待してるからな」

「思いっ切り期待しとけ」

「マジかっ!」

「その分、絶望が濃くなる」

「おまっ」


マーシーさんや女性陣、それから従業員の若手達が配膳をしてくれている。

一応、主賓だろうから俺は大人しくしている方が良いだろう。


最初に出てきたのはお通しの様な感じで小鉢が出てきた。


「よし、じゃあ飲むか。ほれ」

「あ、おっとっとっと」


と、おっさんに酒を注がれたので返杯をする。


「すまんな」


3人で乾杯をしてグラスの中を覗くと・・・。


「ん?透明?」

「気付いたか。まぁ、飲んでみろ」

「え?もしかしてっ・・・」


少し口に含むと・・・。


「あ、違った」

「はぁ?」

「あ、いや、日本酒かと思ったら違った」

「ニホン酒?あれか?先代のカギノ伯爵の故郷のか?」

「あー、そんな伝承もあるのか?」

「いや、知らん。でも、ニホンってそれくらいしか知らんからな」

「まぁ、そんな感じかもな」

「ふむ」



見た目で日本酒かと思ったけど違った。

焼酎か?焼酎はバリエーションありまくりだから似たのは絶対にあると思う。

でも、泡盛っぽい気もする。そして、ウォッカ感もある。


強いて言うなら熟成させてない泡盛っぽいかも。


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