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おっさんバックパッカーは異世界へ行っても自由気ままに旅をする。  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第28話 乗合馬車

「へえ~一日中ずっと日が昇らなかったり、沈まないなんてことがあるのか」


「それは面白いわね。一度行ってみたいわ!」


「しかし、それほど寒い場所なのか。それにここからだとだいぶ遠いから、実際に行くのは難しそうだな……」


「果てない夜と永遠の朝。時期によって見える景色が全然違うから面白いぞ。それに果てない夜の方はオーロラといって夜空に美しい様々な色がカーテンのように浮かび上がるんだ」


 乗合馬車の中、移動中に今日初めて出会った冒険者の3人組とこれまでの旅の話をしている。


 王都を離れ、瞬間転移スキルで目的地から一番近い街まで移動し、そこから乗合馬車へと乗った。今回の目的地は今まで行ったことのある街から多少離れているので、数日間は乗合馬車の中で過ごさなければならない。


「ガクトさんはいろんな場所を旅しているんだな」


「この歳でフラフラとしているだけだから、あんまり褒められたものじゃないけれどな。さあ、次はそっちの冒険の話を聞かせてくれないか?」


「おう、もちろんだぜ!」


 リーダーであるヴァルドが率いるこの3人組の冒険者はまだ20歳前後の若さなのにCランク冒険者とかなりの実力者だ。それなのに先日王都で依頼を受けた冒険者の若者のように、増長した様子も見られない。個人的な経験上、傍若無人な冒険者よりもこういった礼節をわきまえた冒険者の方が成功するイメージだ。


 どうしても冒険者という職業はかなり危険な職業なので、自身の実力を正しく評価でき、周りの者と連携できる方が生き残れるものである。ただし、稀にそういった性格など関係なく、ソロで名を残すとんでもない実力を持った冒険者もいたりする。この異世界ではたった一人でも一騎当千の力を持った実力者も存在しているからな。


 ただでさえ暇な乗合馬車の中、俺のこういった旅の話は結構ウケが良かったりする。俺も暇つぶしになって何よりだ。一人で長時間馬車に乗っているほど退屈な時間もないものだからな。


 そして冒険者の冒険譚というものは俺の日常にないものなので、この3人組の話を聞くのも楽しみである。




「うおっ、こいつはうめえ!」


「本当! 香辛料がたっぷり効いていておいしいわ!」


「いやあ~これは見事な料理ですね!」


 魔物や盗賊に襲われることなく、乗合馬車は無事に今日の目的地まで到着した。そして野営の準備をして、晩ご飯を食べているところだ。


 最初は自分の分だけ作って食べようとしていたところだが、料理をしていたところ、例のヴァルドたち3人組も食べたいということでみんなの分も作ってあげた。ついでにということで、この乗合馬車の御者と護衛の人の分も作ったところ、だいぶ好評のようだ。


 もちろんしっかりとお金は受け取っている。俺が村などを訪れた時と同じように、こういったものはしっかりと対価を渡したりもらったりしなければ、お互いにとって良くないからな。


「これは俺の故郷のタコスという料理だ。中身をいろいろと替えてみてもおいしいぞ」


 今日の晩ご飯はタコスをイメージして作ってみた。


 この異世界では違う名前で呼ばれていたが、トウモロコシの粉や小麦粉で作られたトルティーヤと呼ばれる薄く焼かれたパンに様々な具材を挟んで食べるメキシコ料理である。


 バックパックから取り出した調理道具で食材を切り、魔道具のコンロで刻んだタマネギ、豆、ひき肉を炒め、トマトと香辛料を混ぜ合わせたタコミートを作った。ちなみにタコミートとはひき肉とスパイスを炒めたもので、タコライスやオムレツの中に入れるものだな。


 コショウと一緒に少し辛味のするビミレの実を入れて味付けした。ビミレの実は一度鍋に入れたら辛すぎて女神と一緒に汗だくになって食べたから、今回はだいぶ少なめに入れたのは大正解だったようだ。


 トルティーヤにタコミートと野菜とチーズを包んでかぶりつくと、まずトルティーヤ柔らかな感触が伝わり、そこからタマネギと一緒に炒められた肉の旨みとスパイスの風味が合わさり、シャキッとした野菜の食感と酸味が加わって、チーズの塩っけが後味を引き締めた。


 やはりタコミートはできたてで温かい方がうまいんだよなあ。


「まさか野営でこんなにうまい飯が食べられるとはな! これなら倍払ってもいいくらいだぜ!」


「ええ、本当ね! それにとってもいい香りがするから、他の商隊の人たちもこっちを見ているわ!」


 旅先で作る料理は基本的には材料費くらいしか受け取っていない。どちらにせよ食材は瞬間転移スキルで街や村まで購入しに行くことができるからな。


 そしてこの場には俺が乗ってきた乗合馬車だけでなく、別の行商人の荷馬車2台も一緒だ。この世界は危険なことが多いので、街を移動する際はこうやってできるだけ大勢で固まって移動することが多い。


 その分護衛も多く同行するし、盗賊たちが見逃す可能性も増えてくれる。


 他の商隊の人の分も作ってあげたいところだが、それは材料がなくなるという理由で断らせてもらった。本当はバックパックにかなりの食材が入っているのだが、このバックパックが魔道具であることはできる限り秘密にしているからな。


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