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嫌がらせ少女は大志を抱けない。~めっちゃ強い少女はただ無双する事が出来れば良いなぁって思いました~  作者: せいゆ


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早め早めにすべき その9




 ミナモはドレスを纏い、舞踏会の様子を龍神と共に眺める。

 龍神は何故か子供になっており、一心不乱に用意された食事をとっていた。


「名無し様、竜神様、いかがでしょうか?」


 花より団子な龍神の傍へ、アグレジアンがやってくる。

 様子を伺うというよりは、微笑ましく二人を見ていた。


「美味しい」


「悪くないよ、こら、そんながっつかない」


 ミナモが注意すると大人しくも、常に龍神は食べ続けていた。


「名無し様はこれからどうするのでしょうか?」


「旅を続けるよ、元々私はそれが一番の目的だから」


「そうですか…」


 アグレジアンは寂しそうに俯く。

 自分に似た姿の生物と出会えたのだ、別れたくない気持ちは強い。言葉を交わし、そして助けてくれた、これだけでも強い感情を抱くには十分な行動であった。


「ま、たまに来るから、それにこの子も気になるし」


 龍神の頭を撫でると、龍神は見上げて口を開いた。


「わらわ大丈夫」


 撫でられたにしては龍神の様子はおかしい。

 少し怯えた様子で、目が泳いで幽かに震えている。


「…そんな怯えられても困るけど、私無害だよ」


 無害と言ってるのがミナモを相手ににした以上、言葉は胡散臭く聞こえてしまう。

 龍神は首を振ると、その態度に少しだけミナモが傷ついた。


「ガイア様の臭い…、する」


「え、…ガイアの知り合い?」


 怯えて居た理由がガイアが原因だった事で少し安堵するが、同じ匂いというだけで素直に安堵できない。


「前、仕えてた、けどつまみ食いして、追い出された」


「…まあ、なんとなく分かった」


 食い意地が激しいのは飢餓状態が原因ではない様だ。


「その時、多分あれ、お腹入った」


「あの寄生虫か」


「ん…」


(という事は、ガイアを狙った何かなのか?)


 意図的に混入していたものという推測が浮かぶ。

 解決したのか、未解決のままなのか、それを知るには覚悟が必要であった。


「それから、この世界来た、荒れてたけど、わらわ、力使って正常化させた。

 わらわ、力影響ある生物、竜人言われて、育ってった」


(創世神話かい……)


 寄生虫もかなり長い事寄生していた様だ。

 とは言え、神になると時間の感覚が違ってくる、当人達は長いという認識もないだろう。


「力与えた、空腹感強くなった、だから供物求めた。

 最近なくなった」


「ごめんなさい、供物をささげる儀式が途絶えてしまっていたようで」


「だから夢で見せてた」


「ついでに寄生虫の影響で苦しめてたみたいだけど」


 アグレジアンが苦しんでいた原因は、その寄生虫による影響だ。

 飢餓状態にして、龍神を苦しめ、そして腹から食い破ろうという魂胆だったのだろう。

 ミナモは頭を撫でると、龍神が目を細めて微笑む。


(犬猫か)


 しかしペットと言われて浮かぶのは、カルフやイトウの姿だ。


「ま、これでこれからは大丈夫でしょう」


 平穏になったのだから、もう怯える事はないだろう。

 今回の事でしばらくは語り継がれていく事だろう。


「かしこまりました、この命に代えても永劫を願い儀式を遂行いたします」


「ん」


 その反応に満足したのか、食事を再び始める。


「その姿は大丈夫?」


「はい、龍神様や名無し様の様な御姿を取れて今は光栄に思います」


「そう…」


 辛くなったなら他の世界へ、その言葉は出ない。

 それは彼女の面倒を見ていくことに繋がる。

 見ず知らずの地で、地位を落とし生きていくことはとても難しい。

 常識、言語、それらを身に着けていかなければならないのだから。


「…ま、気が向いたらたまに来るよ」


「たまに降臨する」


「有難き幸せです…、わたくしのような」


 目に涙をにじませ、嬉しさに涙を零す。

 アグレジアンの頭を撫でる。

 そこへ此度の起きた事を説明していたザルガネアがやって来た。


「お疲れ様」


「うむ、…アグレジアン?」


「あ、お、お兄様。

 えへへ、名無し様も龍神様も、ここを去ってもまた来てくれるそうです」


 ザルガネアは思わぬ言葉に頬が緩む。


「ならば我の妃に―――」


「ならんって言ってるだろ」


 ザルガネアは少し落ち込み、その表情を隠しながら笑みを向ける。


「皆に紹介したい。

 流石に派手にとはいかぬが、…あの時の様な演武を披露してくれないだろうか?」


「別に良いよ」


 招かれ、最奥にある二階から龍神と共に中央ホールの場所へ向かう。

 その場所は見渡せるが、下側からは見れないような場所で、人型であるミナモ達が見えず話にもなっていなかった。

 表に姿を現せば、皆がその姿に驚くどよめきがおきる。

 そしてホールの中央に移動し、一礼後。


「この方は龍神様である、先に話した我々の祖となる存在であらされるぞ」


(え? 話してたの? 聞いてなかったんだけど)


 城には龍神についての書物が幾つもあった。

 ただし殆どが紛失しており、断片的なものになる。


「これから未来永劫龍神様に祈りを捧げ信奉を捧げると、今この場に宣誓しよう。

 本来なら古来から受け継がれていた儀式を今ここに復活させる」


 そして二階にいるアグレジアンへ視線を向けた。


「そして龍神様に選ばれた巫女、その強い影響を受けた、…我の妹を紹介したい」


 アグレジアンが驚く。

 侍女がその手を取り、そして頷いた。

 人前など出た事が無い、その奇異な姿は周りを踊ろ貸すには十分であった。

 アグレジアンはおっかなびっくりにホールの兄たちを見て、そしてミナモと視線が交わされると、勇気が湧いて来る。

 一歩一歩踏み出し、アグレジアンが表舞台へと飛び出した。

 龍神に似た姿、そして。


「お初にお目にかかります、わたくしはアグレジアン、ドランダー王国、第二王女、ゲルニカの子、アグレジアンン・ゲルニカ・ドランダー」


 そして彼女は宣誓した。


「この身は龍神様に、そしてこの国の為に捧げる事を誓います」


 ザルガネアがミナモへと視線を向ける。

 それを見て、手を叩くと、世界が広がった。

 その場はミナモと龍神の世界へ変わり、その周りに観客たちが居る。


「私ともう一度踊ってくださいませ」


「ん」


 煌びやかな剣を持ち、二人は踊り続ける。

 その演武は全てを黙らせるほどの美しさがあった。

 その世界から見たミナモ達の様な人型に対する嫌悪感も、突然現れた龍神も、隠された妹君も、仕来りも。

 花火の様にこの世ならざる美しさを奏で、舞踏会という力を示していった。

 祭りはつつがなく終わる。

 この場にプレイヤー達が居れば、新たな交流の場となっていたのだろうが、彼等はまだ森の中であった。


 ☆☆


「と、言う話だったのさ」


 事の次第を明かされ、バルトハイネは再び尋ねた。


「…つまり、……神を相手にしないと、行けない感じの、イベント?」


 理解した。

 それを飲み込めるかは別だが、高難易度のレベルの高さを知り頭を抱える。


「さあ? 何かの解決法があったかもしれないけど、もしかしたら連鎖する話だったかもしれないし」


「連鎖?」


「まずは今回のイベントのみを遂行させるなら、花嫁を見つける事じゃない?」


「…そうか?」


「元は花嫁探し、その裏で色々あるけど、それがメイン目標でしょ?」


「……確かに、そうかも?」


 バルトハイネは納得したが、それをパーティクルが止めた。


「そうじゃないよ。

 その王子がたとえ選んでも、確実に姫君の事や体調の事が出てくるだろうし」


「それにその龍神が腹を食い破ってくる寸前だったんでしょ?」


 ナガレは寄生虫の事が気になっていた様である。

 神という存在なら、確実に龍神並みに強いはずである。


「封印があったからそこまででてこれないだろうけど、その後は大変だったかもね」


「…三日で恋人候補を得て、そこから派生っていう流れになるか?」


「別イベントで妹を救って、それからまたイベントで龍神降臨。

 腹を食い破って出てきたのを、回復させた龍神と一緒に叩く、なら、どう?」


「机上の空論だな。

 寧ろ龍神が暴走してるから、弱らせて、弱った所を寄生虫がっていう流れになると思う」


 パーティクルの推測をミナモは潰した。

 どちらにしろ確実に強力な神との戦闘になる、そうなるとなにからなにまで対策した上で戦闘班もこのゲームで上位に食い込む実力者が必要であった。


「解決したのは良い、…だが、問題はここからだぞ、ストーリーに重要な、同じくらいの難易度があるんだ。

 メインストーリーみたいなものだと思う」


「公式サイトに掲載した奴?」


「それだ」


 場の空気が重苦しくなる。

 ミナモも眉間に皺を浮かべ、小さくため息をつき、何かを考え始めていた。


「…今かなり騒ぎになっているわね。

 今回のイベントでも阿鼻叫喚だって言うのに。

 …私達がもっと早く気付いていれば」


「それ以上責めると、あのテイマーの様になるよ、自責やめなぁ」


 ミナモに言われるとナガレもこれ以上は考えるのを止める。ただ無意識に思ってしまい、心の中で渦巻いている。


「ってか、イベントしてたからってこれどうにかなる問題でもないよ。

 君等全員アウトセンスか、疑似的にアウトセンススキルを得られないと、……やり合えんだろ?」


「疑似的なアウトセンスなぁ」


 ナガレは一応その疑似的なアウトセンスの領域に踏み込むスキルは所持している。

 しかしそれは自身の浸食を加速させる行為に等しい。


「お前あるのか?」


「ない、システム的に必要ないという裁定されたのかもしれないけど」


「バケモンかよ」


「ふっふっふっ、ついに私もそう言われる領域に到達したのか。

 …けど、マジで私より上いるから、調子乗れないのがなぁ…」


「マジかよ…」


「…本当に居るの?」


「このゲームにも居るよ。

 絶賛とある世界に引き篭もってたり、どっかの世界をぶらぶらしてると思うよ。

 あれはもうほとんどあそこから出てこないだろうし、……他の奴等は、う~ん、我関せず、かあ」


 ミナモは数名該当する人物を思い出し、さらに一人の人物に対してだけはあまり考えない様にしていた。


「何でイベント参加したいんだ?」


「理由は分かるけど、今は純粋にログインしてない。

 他の面子は、スタンスが分からん」


 イベントは子供向け、みたいな事を思ってそうな者も多いだろう。

 ミナモも今回の失態が無ければ参加するつもりは無かった。


「ミナモさんが一番フレンドリー?」


「う~んどうだろ、私もどちらかと言えば、…フレンドリーな立ち位置かもしれないけれど」


「頼れないって、事かしら…」


「そうだねぇ、あ、私も頼られても困るよ。

 今回はガチで特別な感じだから、そうじゃなければ聖獣の監視してただろうし」


「聖獣…そっちもなんだか慌ただしいみたいだけど。

 …え?」


 ナガレは顔が青くなっていく。


「…ひょっとして、結構聖獣関係って、地雷地帯?」


「そうだねぇ」


「…エルニカちゃんを呼び戻さないと」


「おー、地雷に突っ込んでくねぇ、なむなむ」


「まだ死んでないわよ…」


「んで、話し戻すけど、マジでイベントどうしよう」


「どうもこうも、ある程度情報公開してるなら、他の人達にした情報を調べて貰って、判明し情報が上がってくるだろうし」


「そ、う、だな…」


 それが行ける世界、そして簡単に情報が転がっているなら話は早い。


「公式サイトの何処?」


「見てないのかよ! …ったく。

 今だとトピックの二行目」


「サンキュー」


 ミナモは早速公式サイトにアクセスし、件の重要イベントを確認する。


「えっと、…天よ花よ、白き花弁を開かせて。

 あっ」


「ん?」


「この世界、無理無理」


「…あ? なんか知ってるのか?」


「これは無理だって」


「いや、無理って、なんだよ」


 ミナモが無理というだけで全員が嫌な予感ばかりが浮かぶ。


「…う~ん、ネタバレになるから秘密。

 ただその世界に行けば分かるよ、空に浮かぶ白い花が見えるから」


 パーティクルはかなり嫌な予感を感じた。

 皆よりも確実に深い程の予感だ。


「…ポコ」


「ん?」


「それって、さ」


「ん」


「……宇宙にあったり、しない?」


 ミナモは答えない。

 しかしそれが一番の答えであった。


「バッ、ばか、やろ…え? マジで言ってんの?」


「き、きっとどこかにワープ装置とか、……ある、わよね?」


「んふふ~」


 ミナモはその世界の攻略を考える。

 力が無いのならば知恵を振り絞るしかない。

 そして世界を渡れるのならば、必ず他の世界の知識が必要だろう、そしてその素材なども。


「もしかしたら、他のイベントをする事で難易度下がるかもねぇ」


 そんなアドバイスを送った。

 イベントは順番であるべき、その信念の元イベントを行うつもりであった。

 誘導されたくはない、しかし三人は慌てて他のイベント内容に目を向けた。


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