アゼアル国の実情 sideリアラスタ
「それに、これは初めての試みではありませんの」
「まさか」
「アゼアル国では、実際に運用して、成果も出ています。
治安は悪くなっていませんよ?
寧ろ、今までよりも良いくらいですわ」
アゼアル国は、混血で虐げられていた者たちの為に作った。
女神リデルが心を痛めていたのは、自分の作った理から漏れることにより、格差が生まれた事だ。
女神の理から漏れる人達を助けたかった。
具体的な話だと、まずは混血の者たちが虐げられている現状があったから。
それを聞いた私は、まず、混血の人をどちらかに割り振る選択をし、最低限の権利を確保した。
けれど、結局、どちらを選んでも混血の人たちは、受け入れられず、肩身の狭い思いをする事が多かった。
混血の人が生まれる環境がそうさせているのもあるが、人々は環境の変化を嫌がる傾向にある。受け入れられるのには時間がかかるだろう。
それならば、いっその事、女神の理が通用しない場所を作ってはどうかと、リデル様に提案した。
勿論、女神信仰のヨールは激怒し、反発したが、リデル様は、私の意見を真摯に向き合ってくれた。
そして小さい領土であればと、認めてくれたのである。
アゼアル地方は、元々、魔の森と同じ様に管理が大変な場所だった。
瘴気と呼ばれる澱んだ空気が漂っているために、瘴気から魔獣に生まれるのだ。アゼアル地方はダーゼア国にしか接していない為、必然的にダーゼア国が管理する必要がある。
ただ、魔獣討伐と瘴気の浄化に莫大な管理費がかかる。
アゼアル地方は、その領土を管理するダーゼア国にとって悩みの種だった。
私は、ダーゼア国に、アゼアル地方の3年分の予算と引き換えにアゼアル地方をダーゼア国から割譲し、統治をする権利をもらった。
アゼアル地方の特徴を知らないものからすれば、領土と莫大なお金を手に入れた強欲な女と思われるが、アゼアル地方の特徴を知っている者達からすれば、バカな奴と思われていただろう。
それでもやる価値はあった。
瘴気を抑える事に成功したのは偶然の産物だったけれど、瘴気があったとしても、アゼアル国に移住してきた者達は、ハングリー精神が凄かったから、きっとなんとかなったはずだ。
元々、虐げられていた人たちの集まりもあって、暴動等、乱暴な事は起きなかった。
いくつか小競り合いはあったが、その都度、話し合い妥協点を見つけて行った。
今でも、改善の余地はあるけれど、日々の暮らしは、皆が笑い合い和気藹々としていている。良い国になっていると思う。
「リアラスタ様は、アゼアル国の自治を見事に整えられ、賢君と呼ばれているのだ。
リアラスタ様が手にしたアゼアル国の予算3年分も全て、改革のための予算としてアゼアル国に当てておられる」
「コル。それは内緒の話でしょう?
それに、3年分の予算を2年で使い果たしてしまったのだから、暴君なのは確かよ?
まぁ、でも、改革には、権力と必要以上のお金は必要なのよね」
「それ以上に利益は出ています。問題ないかと」
ダルサスが、つかさずフォローしてくれた。
改革をするには、普段の予算より多く経費がかかるのは致し方ない。2年でアゼアル国が、黒字国家になったのは、国民全ての努力の賜物なのだ。
話はそれたが、要は、漏れる者達がいるのなら、その者達の居場所をつくればいい。それには権力とお金は重要だ。
法律を作る守法人としての立場、法律を守らせることの出来る領主としての権力、そしてそれを動かす財力。
全て揃って、初めて大きな物事が動く。
強欲や金の亡者と言われようとも、やりたい事する為には必要な事なのである。
綺麗事だけでは、成せるものは何もない。
何かをやりたいのであれば、それ相応の対価が必要なのだ。




