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【完結】守法人〜白でも黒でも好きな様に変えてさしあげますわ! 私に差し出せるものがあるなら……ね?〜  作者: ルシトア


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同種族と異種族  sideリアラスタ

コルの威圧が広がる。


「がはっ……」


それに応じて、ダビッドは、うめき声を上げ真紅の絨毯にひれ伏す。

苦々しく睨みながらも息苦しいのか、言葉すら発せられないようだ。


けれど、私とダルサスには、何か幕のような物が張っているかのように、避けられている。


威圧は、場の空気圧と重力を上げ、冷や汗と、上から押さえつけられる様な拘束感、息苦しさを感じるはずだ。けれど、私は何も感じない。ダルサスも同様だ。


私は、守法人であるが、法律の勉強ばかりしていたため魔法はからっきしだ。私も、本来ならダビッドの様にひれ伏すだろう。

ダルサスなら、私と自身に、結界を張ることも可能だろうけど、そのような事をした様子もない。

女神の加護が発動した様子も見受けられない。


つまりは、コルが意図的に私達を避けているのだろう。


(器用な人)


心の中で呟く。

威圧とは、魔法攻撃の一種だ。

魔力を圧に変え、場を自分の魔力で満たして、自在に重力や空気圧を変える魔法なのだ。

基本的に威圧の魔力範囲は、自分を起点として円形に広がる事が殆んどだ。後ろ側は、少し弱まるとは言え、全く無くなることはない。

 一部分だけ、範囲の外にするには高度な魔力操作が必要である。


コルは、それを涼しい顔でやってのけている。魔力操作が得意なのだろう。

あれ程、緻密な魔力操作は血の滲む努力が必要だったはずだ。

コルは、決して恵まれた環境では無かったはずなのに、それでも腐らず努力を重ねた。ダビッドとは大違いだ。


コルの手の甲にある【審判印】が、淡く赤に光出す。

コルは少し眉を顰め、周りを一瞥したあと、何事もなかったかの様に、ダビッドを見下ろした。

【審判印】の赤い光も消えている。


【審判印】が赤色に淡く光るのは、警告だ。

威圧は、自身の魔力によって身体拘束も行える為、相手への身体的暴力と捉えられる。

威圧の圧力に応じて、何段階か警告から【審罰】まで反応があるが、あれは1番最低ランクの警告だ。


ダビッドの威圧に関しての罰ならば、計画ではなく【審罰】が下るだろう。威圧が解けるまで、のたうちまわるくらいの痛みを伴うはずだ。

ダビッドに対して威圧も解いていないのに、警告が終わるはずがない。



では、誰に対しての警告かと言えば、隅で転がっていた破落戸達だった。破落戸の山が、先程まで淡く光っていた。

あの光は女神の加護だ。

威圧から女神が守ってくれている保護の光。

つまり破落戸に対する威圧への警告という事だ。


(やっぱり、破落戸は獣人だったのね)


女神の『同じ種族同士は、争う事ができない』と言う【理】がある。

つまり、コルと破落戸は、同じ種族という事だ。

更に言えば、コルとダビッドは、別の種族という事になる。



コルは、獣人と人間の子だ。

両方の血を引き継ぐ子は、成人するまでは両方の種族の権利を有する。成人する時にどちらかの種族に属する事になるが、コルは獣人の種族を選んだ。

見た目は、人間に近いのに、獣人を選ぶことは勇気がいっただろう。そうまでして父親と決別したかったのだろうか?


獣人とは、ある種の動物の中から進化して言語と知能を備えた種族の総称である。人間から派生した種族ではない為、人間と獣人は、種族が異なる。


獣人は身体能力もさる事ながら、魔力も豊富である事が多い。見た目も動物に似通った容姿になる為、どの種族の獣人なのかは見るだけで、わかる事が多い。

例えば、トラの獣人であれば、二足歩行で意思疎通は出来るけれど、顔や体は、ふさふさの金の毛に覆われていて特徴的な黒の毛の模様があるし、猫耳を持っている様な感じだ。



同種族に威圧を当てた場合は、女神様の神罰の範囲だ。

けれど、異種族には、適用されない。

異種族にまで、理を適用すると、肉や魚を食べる事が出来なくなるからだ。


獣人を食べる人間は居ないが、法律上の規定と照らし合わせると遺伝学的な観点から獣人は人間と異種族に分類するしかないのが辛いところだ。

今の所、獣人と人間を同種族に分類できる法律は出来ていない。

こういった法律の枠からこぼれ落ちることもある。それが、とても悔しい事でもある。

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