クラウスのほしいって言ったらくれてやる
この世界の魔法はアルカナを基にできている。
アルカナとは簡単に言えば、タロットカード。
22の大アルカナと56の小アルカナで構成されている。
杖=火。護符=地。剣=風。聖杯=水。の小アルカナで構成されている。
火属性の杖で説明するならば、ワンドのA。ワンドの2。と続いてワンドの10。ワンドの王子。ワンドの騎士。ワンドの女王。ワンドの王となる。
Aから4までは下位魔法。5から10まで中位魔法。王子から女王が上位魔法。王は究極魔法。
レベルを上げれば下位魔法は使えるようになるが中位魔法からは熟練度に応じてなので魔法を使わなければいくらレベルが上がったところで習得することはできない。
そして、解放。展開。解除。この3つは詠唱するときに必ず必要となる。
解放は単体攻撃。展開は全体攻撃。解除することで攻撃を止めることができる。
基本は、物理攻撃を主体として敵と相性がよければ魔法を使うという感じだ。魔法は一人1属性が常だが、ステファニーのような4属性持ち、2属性持ちというのも稀にいる。
物理攻撃で使われるのは、剣、斧、槍、双剣、鞭、弓、杖。
アルファカーサは鞭。ハインツは双剣。ギルベルトは剣。クラウスも剣。ヒロインは杖。
近接武器が3人もいるが騎士団編のシークレットキャラで他の武器が埋まる。
シークレットキャラだけにステファニーには影響が無いので今は気にしないでおく。
貴重だと言われている回復補助魔法。
20年に1人しか発現しない魔法らしい。ゆえに庇護され国お抱えの魔導師となる。
回復補助魔法は大アルカナで構成されている。
0愚者=下位回復。
1魔術師=麻痺治し。
2女教皇=毒治し。
3女帝=気絶治し。
4皇帝=バリア。
5教皇=中位回復。
6恋人=防御力アップ。
7戦車=攻撃力アップ。
8力=攻撃力大幅アップ、防御力大幅ダウン。
9隠者=隠れる(スキル不可)
10運命の輪=属性付与。
11正義=フラッシュ。
12吊られた男=上位回復。
13死神=反射。
14制約=スピードアップ。
15悪魔=拘束。
16塔=防御力ダウン。
17星=攻撃力ダウン。
18月=防御力大幅ダウン、攻撃力大幅ダウン。
19太陽=生命力吸収。
20審判=魔力吸収。
21世界=瀕死回復。
小アルカナに対して大アルカナは解放とかの詠唱はいらないが、手を対象に向けなければならない。
敵に愚者を使えば回復するし、味方に月を使えば防御力大幅ダウン、攻撃力大幅ダウンがつく。
混戦中は使いづらく苦労した記憶が蘇る。
そしてスキル適当に振っただろう感が満載である。
吊られた男で上位回復とかなんか嬉しくない……。
「分かった?」
「はい!」
アルファカーサの説明が理解できたのかと言われれば否だ。ゲームのときと説明は同じだろうと頷いておく。
「おい、銃も武器に含まれてるだろ」
「銃は採用されたんですか?」
「ぁあ、使いづらいみたいでまだ使うヤツがいないそうだ」
クラウスが懐から取り出したモノを見て私は飛びつきマジマジと眺める。
これはオートマチックピストル。ってこの世界には無かった気がする。作るとしてもそんな技術があるとは思えない。
もしかして私の為の武器って事? それだったらすごく嬉しいんですけど!
「おい。いつまで見てる……欲しいのか?」
「ほしゅいでしゅ!」
「護身にもなるだろうから俺様はかまわねぇけど」
「父上にそうだ「ほしゅい!くらうしゅしゃまほしゅい!ほしゅーーい!……め?」
アルファカーサの言葉を遮って駄々をこねてみたけど、いい大人がなにやってるんだと我に返って顔を窺うように聞いてみればクラウスが顔を赤くしていた。
「あ゛ー。そんなに、俺様の、ほしいのか?」
「ほしゅい!」
「クラウスのほしいって言ったらくれてやる」
「くらうしゅのぉぉぉおお! いたいいたい!」
アルファカーサに後ろから口を塞ぐように頬を鷲掴みされた。
「クラウス様、下品な事言わせないでいただけますか?」
「てめぇが勝手に妄想してんだろ」
「では、普通に銃が欲しいと言わせればいいのでは?」
「うるせぇなてめぇは姑か!」
「ちょ、ちょっと! ステファニーの頬が可哀想だからやめなって!」
パッと手が離れた頬に手を当てて揉む。骨が砕けるかと思った。
何がアルファカーサの逆鱗に触れたのか分からないけど私は銃が欲しいんだ諦めてたまるか!
頬を掴まれるのは堪ったもんじゃないとクラウスに抱き着いて見上げる。
「くらうしゅしゃまのほしゅい」
首まで真っ赤にして固まったクラウスに理解した。コイツはウブだ。と
ステファニーの可愛らしさを武器にしないでどうすると瞳をウルウルさせて首に腕をまわす。
「め?」
にゅっと腕が入ってきてラリアットが炸裂した。
地面に叩きつけられるであろう衝撃に耐えるように目をつぶって耐えていると、軽い衝撃が背中にあたる。
ギルベルトが受け止めてくれたらしい。
「ありとうごじゃましゅ」
「いや、ああいう事はするな」
「はい!」
「分かってないだろう」
苦笑いしながら体を起こしてくれた。
ああいうってどう意味があるのか分からないが、するなっていうのは理解できたので、はしたないことはするなって事だろう。
それよりも今はアルファカーサの蔑んだ目が怖い。気絶した方がよかったとギルベルトの後ろに隠れる。
「あ、あるふぁかしゃ。め?」
「……ハァ、分かりました。父上から許可が出ればステファニーに渡しますのでクラウス様それを頂いても?」
「あ、ぁあ」
「あ、それとも俺も言いましょうか?クラウス様のほしいって」
「結構だ!」
「遠慮なさらず。ステファニーだけでは物足りないでしょう?」
「や、やめろ! 近づくんじゃねぇええ!」
ギャーーー!と逃げるクラウスと追うアルファカーサ。
標的がクラウスに移ってくれてよかったと胸を撫で下ろしてギルベルトの背から離れる。
クスクスと笑って見ているとギルベルトが振り返って私を見る。
「楽しいか?」
「はい」
「そうか」
頭をポンポン撫でて優しく微笑んだギルベルトに心が高鳴ったが気づかないフリをして無邪気に笑った。




