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これで、今日の1日2悪戯は終了ってことで

 と、決意したものの。騎士団に入るには騎士科を専攻しなければならない。

 15歳になったら貴族は学園に通うことが義務づけられていた。

 

 ヒロインの父親はゲームが始まる前に男爵の位を賜ったらしく、ゲームでは成り上がりの癖に。不作法者。とよく罵られていた。物理的なイジメにもめげず努力して意中の男性を射止め確固たる地位を手に入れる。


 現実にこのような事があったら私は耐えられるのだろうかと思案する。

 否、アウェーなところに一人放り込まれ罵られ続けたら脱兎の如く逃げるだろう。だからだろうか、ヒロインがひたむきに頑張る姿がとても眩しくてカッコイイと、今世は努力しても平凡から脱却できそうにないし生まれ変わったらヒロインのように頑張れる人間になれるだろうかと思いを馳せた高校の夏。

 

 それから十数年。私は悪役令嬢の体を乗っ取ったわけで……。

 悪役令嬢からみたらヒロインには手も足も出ず、婚約者を奪う泥棒猫なわけでステファニーから見たらヒロインは悪役ヒロインだろう。見方が変わればどちらも悪役になれるのかと当事者になった今理解した。

 って脱線している。正義と不義についてはどんなに熟考したとろで答えは出ないだろう。

 それよりも今後の事について考えなくてはいけないと乙女ゲームの学園に意識を戻す。


 ヒロインの父親はどのような社会貢献をしたのかゲームでは語られていなかった。私もステファニー・ファリムスとしての記憶が無く、上手く喋れないし書けないしで知りようもない。まぁ知ったところでなんの意味もないのだろうが。貴族という地位を手に入れたことは素直に凄いと感心する。


 貴族の仲間入りをしたということでヒロインは王都最大の学園。

 バスケニア高等技術学園に入学する。

 王都には貴族の学園がいくつかあるが、高等技術と書いてある通り貴族のエリートに成りうる子供を育成する王都最大の学園である。


 卒業後は騎士科。文字通り騎士団に配属される。

 文官科。王国の行事事務やギルド運営など多岐に渡る。

 医療科。診療治療。文官同様多岐に渡る。


 ゲーム通りなら私は文官科を専攻していることになる。どうにかして騎士科に転向したい。


 この世界は4大元素の火・水・風・地を魔力で操ることができる。

 特殊なのがヒロインがもっている回復補助魔法である。

 ステファニーは4大元素持ちだが威力がとても弱い。ポッと出て一瞬で消える。頭を抱えたくなった。

 ゲームではレベルが上がるたびにHPとMPも増えていたから、戦って増やしていくことになると思うが。と、ふと思い出した。

 学園で初めてのバトルのとき、皆レベルが高かった。

 レベル10とかだったよね……ってことはレベル上げれば私も使えるようになるってことかな?

 試してみないことには分からないよなー。

 騎士は男がなる仕事だと周知されているから貴族の女の子が戦うっていう発想もなかったんだろう。

 よし! 善は急げだ! 学園に入るまでに体を鍛えてやる!

 鏡から顔を上げてアルファカーサの手を取る。


「ありゅふかしゃ!」


 フレデリック父とアルファカーサが戦っていたところまでぐいぐい引っ張って離れてからファイティングポーズを取れば頭を傾げてから理解したのか凶悪な笑みが返ってきた。

 こわいこわいこわい! 絶対選択肢間違えた!

 じわじわと獲物を狩るかのように舌なめずりしながらゆっくりと近づいてくる。

 視線逸らしたらやられる!

 目の前でピタリと止まって癒されるような笑みを浮かべた。

 思いとどまってくれたと息を吐いてニコリとほほ笑み返した瞬間、見えない速度で私は床に沈んだ。


 ああ。君の意地悪さを忘れていたよ!


 消えゆく意識の中でレベルが上がった音がした。倒せなかったけど、レベル上がった。それはありがたい。ありがたいけど。もうちょっと手加減して欲しかった。


「これで、今日の1日2悪戯は終了ってことで」


 アルファカーサの楽しそうな声を聞いて私は意識を飛ばした。


学園入学まで、残り3ヶ月。

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