↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/16

ありうふああしやあ

「アルフ、毒見の件はそれでいいな?」

「はい」


 決着がついたのか二人は身なりを整えて戻ってきた。

 イケメンにお礼を言ってなかったと思いだし『ありがとうございます』と頭を下げれば伝わったのか頭を撫でられた。

 おおう。頭を撫でるなんて年上にすることではないぞ。と思いながらも伝わらないから成すがままになった。


「あとは、言葉だな。言葉も分からないのなら文字も覚えてないのだろうな」

「再教育が必要ですわね。アルフが頑張ってくれた学園も辞退せざる得ないでしょう」

「待ってください! ステフがどれだけ楽しみにしていたのか知らないわけではないでしょう!?」

「記憶もなく言葉も通じず文字も書けない。それでこの子を外に出せばどうなるかぐらいわかるでしょう」

「……入学まで3ヶ月ほどあります。それまでに記憶が戻るかもしれません」

「記憶が戻らなければ入学は取り消します。よろしいですわね」

「はい」

「私たちも時間が許す限り尽力するつもりです。ですが双子であるアルフ、一緒にいた時間が誰よりも長い貴方の方が適任でしょう。ステフのことよろしくお願いしますね」

「はい!」

「あとはエリザに任せる。私は毒を盛った者のところに聴取をしに行ってくるよ」

「かしこまりましたわ」


 ダンディーと美人は執事Bさんを連れて部屋を出て行った。


「さてと、ステフ。こちらを向いて」


 またしてもこのイケメンは私の首をグキャッと力任せにグキャッとしやがった。2回もグキャッと思うほど痛かった。

 無理やり向かい合ってせめてもの抵抗だと睨めば指を指された。


「ステファニー」


 首をかしげればまた言われて、もしかして私の名前の発音を教えてくれてるのかなと思案した。

 私の名前ってこんな音になるんだと感心する。


「ステファニー」

「すてい」


 首を振られた。違うらしい。


「ステファニー」

「すにぃ」


 バカにするように笑われた。発音が難しくて真ん中が聞き取れない。


「ス」

「す」

「テ」

「て」

「ファ」

「ふあ」

「ニー」

「にい」

「ステファニー」

「すてふあにい」


 おお。教え方がうまいぞ。イケメンも満足げだ。

 今度はイケメンを指さしたからイケメンの名前を教えてくれるらしい。


「アルファカーサ」

「ありうふああしやあ」

「ぶふっ」

「じゆふっ」

「違う違う」

「ちやうちやう」

「待ってっふひっあはははははははは!」


 突然笑い出してソファーをバシバシ叩く。発音が上手くいってないのだろう。笑う程ひどいのか。

 笑うのを待っていたら美人が戻ってきた。


「あら。楽しそうね」


 ありうふああしやあさんは爆笑しているのを鎮めようと深呼吸している。途中何度か笑っていたが収まったのか美人に話しかける。


「あまりにも可愛らしい喋り方で。聞いてください」


 また私が指さされた。


「ステファニー」

「すてふあにい」

「アルファカーサ」

「ありうふああしやあ」

「可愛いわね」

「ああいあにえ」


 今度は美人を指さして


「ははうえ」

「ああうぇえ」

「は は う え」

「ははうぇえ」

「う」

「う」

「え」

「え」

「ははうえ」

「ははうえ」


 ははうえは嬉しそうに笑った。なんだか心が温かくなる。

 その後はメイドAさんの名前とか色々と教わった。

 教わるたびに爆笑の渦に襲われてるけど大丈夫なんだろうか。


 笑い疲れたのか休憩してるときに鏡を渡され顔を確認するように言われ顔を見た瞬間。絶句した。

 見たことある。めっちゃ見たことある。

 イケメンはアルファカーサ・ファリムスだ。ダンディは宰相のフレデリック・ファリムス。攻略対象者の兄と父だ……。

 ってことはこの美人はゲームで出てこなかったステファニーの母だということになる。

 私は、乙女ゲームの悪役令嬢。ステファニー・ファリムスになっていた。


 ここでは日本名は音が変わるものだと思ってたんだ。だって私の事知ってるみたいに接してくるんだもん。鏡見るまで気づかなかった。


 Destiny of Arcana~学園編~

 乙女ゲームに本格的な戦闘があって恋愛そっちのけでレベルを上げていた。

 曖昧な記憶を引っ張り出して考えてみれば恋愛はおまけだった気がする。戦いより乙女ゲームがやりたくて買ったのにおまけぐらいしかないとかナメているのか。と乙女には不評なのだと友人が言っていた。

 私はこの乙女ゲームの戦闘が好きだった。皆詠唱ダサイ適当だろとかいうけど、絵も綺麗で詠唱したときに出る魔方陣とか中二病心が疼いたほどだ。

 

 ゲームを軽く説明するのならば、ヒロインは最初に選んだキャラと必ず結ばれる。浮気絶対ダメの一直線のチョロい乙女ゲームだった。ヒロインが選んだ攻略対象者が悪役令嬢の婚約者となる。魔法も武器も使えない劣等感と婚約者に近づくヒロインをイジメる。悪役令嬢にイジメられると好感度の高い人が助けてくれてまた好感度があがる。

 チョロイゲームでもヒロインが戦闘中に失敗したら好感度が下がる。

 ハッピーエンドはヒロインと攻略者が付き合うところまでいき、悪役令嬢は貴重なヒロインの能力を脅かしたからと国を追い出される。一律して国を追い出されるのは続編への下手くそな伏線である。

 ノーマルエンドはお友達でいましょうねで終わり。悪役令嬢はハッピーエンドと同じ国を追い出される。兄が攻略対象者だった場合、二人で国を出る。

 バッドエンドは逆に攻略対象者と悪役令嬢がくっつき、ヒロインは仕事に生きがいを感じはじめる。


 国を追い出されたあとどうなるかと言えば、ここから騎士団編になる。好評の第2作は18禁である。

 何の能力もないから生きていけるわけもなく瀕死の状態で小さな村に保護され介護される。で、しばらくしたら攻略対象者たちと視察にきたヒロインが楽しそうにしてるのを見て悪の道に落ちてヒャッハーと化す。そして18禁がこれでもかとちりばめられヒロインはめでたくゴールイン。悪役令嬢は殺されるが兄が攻略対象者だった場合、監禁され美しいまま傍にいてほしいと蝋人形にしてしまう。

 ノーマルエンドもバッドエンドもあるが、学園編と同じ。友達でいましょうね。悪役令嬢と結婚します。といった具合に。


 兄のストーリーは悪役令嬢と引き離され瀕死になったことで目の前から消えてしまう恐怖に無理やり犯し関係をもってしまう……。兄を選ばなければいいわけで。学園編ではシスコンだなぁで終わるけど騎士団編は狂愛だよ。ヒロインには兄を選んでもらいたくない。ほんとやめてほしい。バッドエンドを選んだときは兄との関係は公にできないが家族には認められる形となる。

 ヒロインには悪いがハッピーエンドとノーマルエンドは絶対さけたい。バッドエンドだったらまだなんとかなると思う。あとは学園入る前にシナリオを変えるぐらい。


 私が悪役令嬢の体を乗っ取ったってことはもうシナリオが破綻していると思っていいのだろうか?

 シナリオを変えてヒロインを邪魔しなければとてもいい結果になるんじゃないかな?

 それに体を借りている以上、帰ってきたとき幸せな環境になってるようにしてあげたい。

 うしっ。恋愛はしない!能力は低いけど、魔法使ってみたいから騎士団にいけるように頑張ろう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。