むしゃくしゃしてやった。反省はしていない
楽しい宴が始まるはずだった。
双子の妹ステフは異常な程の白い肌と髪。真紅の瞳は宝石のように美しい。
父上は青く。母上は緑。俺は二人の色を引き継いだ。双子なのだから俺もステフと同じ色が良かったと1日1回は白と赤の美しいステフに想いを馳せ色を変えられない鬱憤を晴らすように1日2回大人しいステフに悪戯を仕掛ける。
この国では真っ白な髪に赤い瞳で生まれることは滅多に無い。生まれて白髪と赤目同士で子を成しても違う色の子供が生まれるらしい。それ故か、神の使い。食べたら不老不死になれる。体の一部でも持っていたら幸運をもたらす。
そんなバカバカしい迷信を信じるバカ共から守る為にステフは髪の毛をヴェールで覆い屋敷の外に出ることも禁じられてきた。
15歳になったら貴族は学園に通わなくてはいけない。父上と母上は外は危険だからとステフの入学を渋っていた。
危険な目にあうかもしれない。けれど家から出たいアルフと一緒にいたい結婚したいと言われたとき俺はステフの為に全力を出して説得した。
従者のイアンはステファニー様は結婚したいとは言ってないと言っていたが、そんな事ないはずだと父上とイアンをまとめて物理という名の説得をする日々だった。
やっとの想いで父上を説得して学園に通うならお祝いをしないとですわね。と母上が頑張ってくれた今日。
楽しい宴が始まるはずだったんだ。
ステフがスープを口にするまで和やかに談笑していた。スープを飲み込んだステフは蹲って吐いた。
阿鼻叫喚。いつも冷静沈着な父上でさえも声を荒げて執事に指示を飛ばす。
母上はステフの背中をさすって声をかけた。
「どこか痛いところはない?」
『なにをいってるのかわかりません』
空気が凍った。ステフが何を言ってるのか分からない。
まるで俺たちを覚えてないかのような態度。怯えたように周囲を窺っている態度に苛立ちが募る。
父上が話しかけても返ってくる言葉は意味の成さない音ばかりだ。
吐いて言葉が出ず怯えている以外は大丈夫だと父上は判断したのか、母上を安心するように声をかけ、執事たちに指示を出していく。
ステフを見れば吐いたものを片付けてる従者を見て慌てたように座って手を伸ばした。
汚れに触れないように急いで腕を掴めば不思議そうに頭をかしげる。
無理やり立たせれば吐いたやつを指さして掴んでない方の腕をまくってガッツポーズ。
掃除は基本、メイドたちがやる仕事だ。メイドたちの仕事を手伝うことは暗に無能だと言っているようなものだ。
言語だけでなく俺たちを覚えてないのだと確信する。
イライラする――。
力任せに椅子に座らせてスープをすくってステフの口に突っ込んだら吐いて倒れた。
むしゃくしゃしてやった。反省はしていない。
「アルファカーサ!」
「毒を以て毒を制す。です」
「同じ毒では意味がないだろう!? お前はバカか! バカなのか!?」
「バカで結構。言葉も記憶も無くしたようなステフにお仕置きをしたまでです。1日2悪戯も終わってませんでしたし……それにステフが死んだら俺もついて行くので安心してください」
「どこをどう安心したらいいのかな!? ステフを苦しめた毒で悪戯するとか鬼の所業ですから! ……ハァ。アルフやけを起こすなよ」
「ステフ次第ですよ」
父上と話しているうちにステフは部屋に戻され、指示された執事が毒を入れた人間を捕まえて戻ってきた。
本当にソイツなのか疑う目を向けたら私の鼻は人の4、5倍良いのです。と返ってきた。犬か。




