歩く18禁様のお通りだーーー!
騎士団に通う事が決まった後、ヒロイン親子と会話をした。
ヒロインであるソフィーナ・ボナールはとてもいい子であった。
この人ならばアルファカーサといい関係が築けるだろう。
騎士団入りも決まったようなものだし楽観視してもいいのではないだろうか。
私はこのとき、期待と不安で胸がざわめいていたのだと思っていた。
それが間違いだと気づいたのは数年先の未来の話。
初めて城に登城した。
集中式城郭という作りの石壁に囲まれている城は圧巻だった。
今日から父上が登城するとき一緒に登城し騎士団で銃の指導をしながら騎士団でやっていけるか見極められるらしい。
ぶっちゃけ、銃を教えるってなによ。鉛だったら私よりも騎士団の方が上手いと思う。そんな事を思いながら父上についていく。
城の中にあるからてっきり軍事施設は小さいと思っていたがそうでもなかった。
庁舎にある執務室に通される。
父上は「娘をよろしく頼む」と告げると部屋を出て行った。
「すてふぁにぃ・ふぁりむしゅでしゅ。よろしゅくおねがいしゅましゅ!」
「よろしく頼む」
「たのむ?すてふぁにぃ、するましゅ。たのむするましゅ」
「あ゛ーー。頼んで、ない。よろしく」
「はい。よろしゅくおねがいしゅましゅ」
「でだ、服を着替えてほしい」
「?」
「ドレス、着替える」
「はい!」
イグナーツは肺にある空気を吐き出すように溜息をついた。
伝わらないことに早速イライラしているのだろう。
日常会話はマスターしたと思ったのに、全然分からない。
家族に甘やかされていたんだと痛感する。
イグナーツは指を鳴らすと隠れていたのかパーティションの裏から女性が沢山出てきて引きずられた。
全裸にされ色々測られ凄い速さで服が縫われていく。
ヴェールも作ってくれるらしいが危険かもしれないけれど脱ぐと決めていた。
ヴェールかぶって銃もってるアニメや絵が多すぎるんだよ!キャラかぶりはごめんだ。
必死に説得したが伝わらなかったので必要なときがあれば使おうと決めた。
完成したのか服を着せられる……。
これは軍服と言えないだろ。どう考えてもアダルトが好む服だ。
ヒロインの軍服はミニスカだったけど高校のとき着た制服だと思えば着れる格好だった。
普段のドレスも体のラインがでるが余裕もあるスッキリした服に対し、黒いドレスがぴっちりと体に吸いつき、体のラインがめっちゃ浮き出ている。少しでも太ったら服が破れそう……。
もっと恥ずかしいのは腰まであるスリット。パンツ丸見えぇぇ。ボタンで膝上まで留められるけど太ももにはレッグホレスターをつけられ銃を入れられる。お尻のところまでしかボタンとめられないじゃんか。
三十路だった私にはきつい。恥ずかしすぎて死ねる。誰の趣味だよ。ほんと誰の趣味だよ。
イグナーツたちが着ている制服はボタンが右側についている学ランと言えばいいのだろうか。襟には階級によって色が変わってくる。
この服にしてもらうようにイグナーツに直談判しよう。
そう決意してヴェールを脱ぐ。
驚愕に目が真ん丸になった女性たちに苦笑いしてパーティションからひょっこり顔を出す。
こちらに気づいたイグナーツと、いつの間にか来ていたアランとローラントも固まる。
珍獣になった気分だと思いながら顔を引っ込め、ヴェールかぶっていくかと手を伸ばしたら後ろから腕を引っ張られ抱きしめられる。
そのまま顎をクイッと持ち上げられ上を向けばイグナーツと目が合う。これが世にいう顎クイか。
ってのんきに考えている場合じゃない!
『太もも撫でてんじゃねぇぇええッよ!』
顎クイされながら叫び思い切り足を踏んづけてグリグリした。
ウッって呻いて痛さを耐えているのか太ももを撫でていた指に力が入る。
いたいいたいいたい!
痛くて睨んだがなんの効果もない。力づくで太ももにある手を掴んで外そうとするけどびくともしない。
太ももを掴んでる指にもっと力を入れられて声がもれる。
「ァアッ」
「いい、声」
耳元で重低音が響き甘噛みされてやっと解放された。
歩く18禁様のお通りだーーー!
急いでイグナーツから離れて抗議する。
「どれしゅ。きるない!へしぇるだちょう。きる!」
頭を傾げるなーー! イグナーツ達の制服着るって言ってるんだよぉぉぉ!
「婚約者候補になって舞い上がっているのはいいですけど、自制が効かないと解消されましてよ?オホホホ」
女性たちは執務室を出て行った。え゛!? なんで出ていっちゃうのぉぉ。
制服論争は終わってないよ! カムバーーーク!
空しく扉が閉まる。
扉の方を向いていたのがいけなかった。ペロッと軽やかにスカートを捲られ太ももがあらわになる。
「あと、ついてるな」
『死にさらせぇぇぇぇええ!』
イグナーツには絶対背中を見せないと誓う。
そして私の渾身の拳は受け止められオデコに唇がふれた。
私のHPは0通り越してマイナスよ……。




