【幕間 月刊実録ジャーナル】全年齢版
【月刊実録ジャーナル】
〔赤と青の衝撃。映像の先にあったもの。噂のヒーローに独占インタビュー〕
あの映像は、何だったのか。炎と水が交差し、人ならざるものと、人が向き合っていた。ネットでは今も、「フェイクだ」「危険だ」「救われた」無数の言葉が交差している。
本特集では、世間が“ヒーロー”と呼び始めた二人に、あの夜、何を見て、何を選んだのかを問う。
正義を語るためではない。選択を、記録するために。
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■物怪とは何だったのか
筆者
「まず、今回の一連の事件について伺います。世間では怪物事件、フェイク動画など、さまざまな呼ばれ方をしていますが、お二人から見て、あれは何だったのでしょうか」
A
「あれはフェイクではありません。事実です」
B
「信じられないと思います。でも、起きたことです」
筆者
「では、動画に映っていた怪物は、実在すると?」
A
「はい。俺たちは物怪と呼んでいます」
A
「物怪は人の感情、特に愛を好みます。喰われた人間は、感情や記憶を失うことがある」
筆者
「危険な存在ですね。それほどの存在が、なぜ今まで問題化しなかったのでしょうか」
B
「最近、急に増えたんです。行方不明とか、理由のわからない記憶喪失とか」
A
「多くは、物怪が関係していると見ています」
B
「たぶん……裏で糸を引いてるやつがいる」
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■なぜ、トドメを刺さなかったのか
筆者
「二つ目の動画について伺います。ゴルフ場で撮影された映像ですが、お二人は物怪にトドメを刺しませんでした。あれは、最初から決めていたことですか?」
A
「違います……刺せなかったんです」
B
「あの物怪は、罪を裁くことを糧にする存在でした」
A
「『子を成すことで命が繋がり、人の世が続く』その理屈自体は、完全には否定できなかった」
筆者
「物怪の言い分に、正義があったと?」
B
「正義っていうより……一つの価値観、だったんだと思います。おれたちみたいな生き方も認めてほしいけど、その生き方だけが正しいわけじゃない。価値観って更新されて、重なって、繋がって……広がっていくものだって思えたんです」
A
「命を繋げなくても、社会と繋がることはできる。想いを繋ぐこともできる。そう考えました」
筆者
「その対話が、ヒーローと怪物はグルではないか、という噂にも繋がっていますが」
A
「物怪にも、さまざまな思想があります。彼らの思想すべてを否定はできない。でも……」
B
「人の命や感情を利用したり、奪うってことだけは、絶対に違う」
A
「だから、命がけで戦ってます」
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■危険だと言われることについて
筆者
「世間では、正義だという声と、危険だという声が同時に上がっています。それを、どう受け止めていますか?」
A
「危険な行為だという自覚はあります」
B
「でも……俺たちは、大事な人を奪われました」
B
「きっかけは成り行きでしたけど、これ以上、同じ思いをする人を増やしたくない」
A
「一人でも多くの人を守りたい。それだけです」
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■二人の関係について
筆者
「お二人は、常に一緒に行動しています。戦いの中でも、互いを最優先しているように見えました。それは相棒だからですか。それとも……」
B
「お互いが、大切な存在だからです」
A
「どちらが欠けても、生きていけない」
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■力の正体
筆者
「映像を見る限り、お二人の力は、単なる訓練や技術ではないように感じました。あの力は、どこから来るものなのでしょうか」
A
「正直、俺たちにも分かっていません」
B
「昔から繋がれてきた人たちの想いを、少しずつ借りてるんだと思います。うまく説明できなくて……すみません」
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■責任について
筆者
「恐怖を感じた人、傷ついた人もいます。それについて、責任は感じていますか?」
A
「俺たちの行動で、恐怖を与えてしまったなら……申し訳ない」
B
「それでも、一人でも守れたなら、やった意味はあったと思っています」
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■これからも、表に立つのか
筆者
「最後に。お二人は、これからも表に立ち続けるつもりですか?」
A
「物怪が人を襲う限り、俺たちは、戦います」
B
「……必要とされるなら」
(筆者注)
インタビュー中、二人が時折見せた沈黙。それは正義への葛藤というより、もっと個人的な、深い覚悟のように思えた。彼らをヒーローと崇めるのも、化け物と忌むのも自由だ。だが、その瞳に宿る熱だけは、欺瞞ではないと断言できる。人々の注目を浴びる二人のヒーロー。今後も彼らの動向に注目していきたい。
インタビュー・鷹宮 透真




