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魔眼の幻創術師 ~勇者パーティに見捨てられた三流幻術師は真の力に目覚めて世界を翻弄する~  作者: 結城 からく


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第83話 暗中模索

 俺は泥の中を泳ぎ進む。

 魔力感知で僧侶の位置を捕捉し、足首を掴んで地中に引きずり込んだ。


 地面の中は光が届かない暗闇だ。

 もっとも、俺の魔眼にそんなものは関係ない。

 目の前の僧侶から離れた場所の軍隊まで、細かい所まで網羅できていた。


 僧侶が魔術を撃ち込んでくる。

 俺は足首を離して防いだ。

 術を受けた両腕が一気に爛れるも、すぐさま再生し始める。

 その隙に僧侶は地上に上がろうとしていた。


(逃がすかよ)


 俺は自分の片手から僧侶の足首まで鎖を創造し、力任せに引っ張って阻止する。

 再び沼の深くまで戻された僧侶は俺を睨む。

 魔力で視力を強化することで、こちらを視認しているらしい。

 彼女は浮上を諦めて攻勢に移った。


 まずは足首に絡まって鎖を外しにかかる。

 魔術で強引に破壊しようとするが、それは無理である。

 かなり頑丈な造りになっており、俺が自発的に解除するか命を落とすまで消えないようにしていた。


 鎖の諦めた僧侶は、俺を狙って魔術を連打する。

 なかなかの火力だ。

 沼の中という環境でも冷静に反撃してくる姿からは、五年前から大きく成長したのが窺える。

 権力を手にした一方で、戦いの勘は鈍るどころか鋭くなっているようだ。


 俺は魔術を食らいながら考える。

 僧侶を殺すのは簡単だ。

 沼になった地面を元に戻すだけである。

 僧侶は何もできずに押し潰されて即死するだろう。

 もし逃れられたとしても、俺が全力で取りかかれば瞬殺できる。


 しかし、それでは満足できない。

 僧侶も復讐相手の一人だ。

 固執するのは良くないものの、しっかりと恨みを晴らしておくべきだろう。

 そうすることで、元勇者への報復の足掛かりとなる。


 俺は不浄剣を前に出した。

 沼の中を沈みながら能力を発動する。

 さらに幻創魔術を上乗せすると、杖から赤い触手が伸び上がった。


 触手は僧侶の右腕に絡み付いて締め上げる。

 容赦のない力に腕が潰されて不気味に変形した。

 あれは骨が粉々に砕けただろう。

 皮膚が裂けた拍子に血も噴き出す。


「……ッ」


 強烈な痛みに僧侶が顔を歪めた。

 触手に絡み付かれる腕を切断すると、魔術の加速で沼を進む。

 そこから一気に俺へと接近してきた。


 僧侶は発光する短剣を首に刺してくる。

 俺は顔色一つ変えずに拳を握り、彼女の頬を殴り付けた。


 赤く腫れた頬が膨張する。

 そこから皮膚を突き破って百足が飛び出した。

 百足は胴体をうねらせて僧侶の顔に張り付くと、見開かれた僧侶の目に潜り込んだ。

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