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魔眼の幻創術師 ~勇者パーティに見捨てられた三流幻術師は真の力に目覚めて世界を翻弄する~  作者: 結城 からく


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第76話 宿敵の今

 腕組みをするノアが俺に確認する。


「今後、我らはどの勢力を狙うのだ?」


「とりあえず最優先なのは、人間や亜人の国を侵略する魔王だな。この五年で蔓延した価値観と勢力図を徹底的に崩してやらないといけない」


 俺達の行動も気にせずに支配と搾取を続ける魔王がいる。

 特に強大な力を持つ魔王だ。

 そいつらを倒したいが、やりすぎるとさらに世界が乱れてしまう。

 配慮は必要ではあるものの、やはりある程度の損害は与えるべきだろう。


 魔王が圧倒的に優位な世の中を否定するところから始めねばならない。

 そうしないと改革はいつまで経っても進められないのだから。


「独立した人間の勢力も、未だ魔王の圧力を受け続けている。このままでは叩き潰されるかもしれない。彼らが成長するだけの土壌を用意するんだ」


「その表現で言うなら、魔王は害虫か?」


「大きくは間違ってはいないな。害虫じゃない魔王だっている」


 たとえば闇の魔王ルイズだ。

 戦乱を上手く乗りこなすルイズは、今や有力魔王の筆頭である。

 俺が用意した荒野の街を拡張させて、順調に勢力拡大を続けているらしい。


 ただし、昔のような恐怖による支配ではない。

 奴なりに民のことを考えて、積極的な戦争は起こさないように配慮している。

 たぶん俺から攻撃される可能性も考慮しているのだろう。

 抑止力になっているのだとしたら、ここまでやってきた甲斐もあったと思っている。


「我らは害虫と呼ばれる魔王に含まれると思うか?」


「今の世界が好都合な奴らからすれば、当然そうだろうな。俺達の行動は厄介極まりない。新たな支配体制を、根本から潰そうとしているのだから。目の敵にしている勢力は、人間にも亜人にも魔族にも多いはずだ」


「レードのことを最も疎んでいる者の見当はすぐに付くがな」


「……確かになあいつらは確実に厄介に思っているだろう。俺達は正体を隠しているが、きっと気づいているはずだ。さすがにそこまで鈍い奴らではない」


 俺とノアが話しているのは、勇者のことだ。

 あいつの動向はとっくの昔に掴んでいる。

 今まで触れてこなかったが、調査も絶やさず実施してきた。

 だから居場所も素性もすべて知っている。


 かつての勇者は、現代では魔王になっていた。

 英雄としての立場を踏み台にして、悪の支配者として覚醒したのである。

 そうして本来なら守るべき民を糧にした挙句、私利私欲のままに暴虐を振り撒いていた。

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